以下のような文書を読みました。

(1)「現代病の一つとしてのうつ病:有病率が増加する理由Depression as a disease of modernity: explanations for increasing prevalence」Brandon Hidaka(J Affect Disord. 2012 Nov; 140(3): 205-214.)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3330161/

「2007年に計約7万人の大学生・高校生に、ミネソタ多面的人格目録(MMPI)が行われた。1938年に行われた結果と比較して、臨床的うつ病尺度の点数は、6~8倍に増加していた」

「縦断的研究は、たいてい、うつ病の有病率が増加していることを確認している」

「うつ病と関係する要因
・肥満があるとうつ病になりやすい
・地中海ダイエットのような良い食事をするとうつ病が少ない
・運動量が少ないとうつ病が多い
・日光に当たり、充分に睡眠を取ると、うつ病が少ない
・競争的で、脅威があり、個人が孤立する社会には、うつ病が多い」

(2)「現代の狩猟採集生活者を見れば、我々が体をよく動かすように進化していることが分かるModern Hunter-Gatherers Show We Evolved to Stay Active」Christopher Bergland(Psychology Today, Posted Nov. 29 2016)
https://www.psychologytoday.com/blog/the-athletes-way/201611/modern-hunter-gatherers-show-we-evolved-stay-active

「ハッザの人々は、毎日75分ほど中等度~強度の運動をする。そして高血圧や心臓病が非常に少ない」

「アメリカ合衆国では年を取るにつれて運動量が落ちてゆくが、ハッザでは年を取っても運動量は落ちない」

「産業化された国の人々は、体を動かさずに、加工食品を多く食べ、相互に孤立している。ハッザの人々は、相互の結びつきが強く、常に運動を行い、バランスの良い食事をしている」

(3)「甘い飲み物は、うつ病になるリスクを高めるSweetened Drinks Associated with Increased Depression Risk」Joseph Mercola, January 21, 2013
http://articles.mercola.com/sites/articles/archive/2013/01/21/sweetened-beverages-increase-depression-risk.aspx

砂糖が精神に悪影響を与える仕組みは次の3つであるとのことです。
・砂糖は、インスリン抵抗性やレプチン抵抗性を高める。
・砂糖は、脳由来神経成長因子BDNFの働きを抑える。
・砂糖は、体に慢性炎症を引き起こす。

うつ病を克服するためにカギとなる重要なことは次のようであるとのことです。
・運動すること
・健康的な食事をすること
・消化管を良い状態に保つこと
・ω3脂肪など、脳に良いものを摂取すること
・日光に当たること
・ストレス対策をすること

(4)「ジャンク・フードとうつ病との奇妙な結びつきThe Strange Link Between Junk Food and Depression」Time, Mandy Oaklander, Jun 29, 2015
http://time.com/3939974/sugar-junk-food-depression/

「『女性の健康のための観察的研究』では、うつ病を持たない約7万人の女性を1994~1998年から3年間観察した。加えられた砂糖は、うつ病と強く関連していた。これに対して、食物繊維、全粒穀物、果物、野菜、乳糖、乳製品の糖分、ミルクなどGI値の低い食物は、うつ病を減らす働きがあった」

(5)「食べ物の中の砂糖と精神疾患:驚くべき関係Dietary Sugar and Mental Illness: A Surprising Link」Stephen Ilardi, Psychology Today, Posted Jul 23, 2009
https://www.psychologytoday.com/blog/the-depression-cure/200907/dietary-sugar-and-mental-illness-surprising-link

「砂糖は、脳の中の鍵となる重要な成長ホルモンである脳由来神経成長因子BDNFの働きを抑制する」

「砂糖は、体の中で化学反応の連鎖の引き金を引いて、慢性炎症を引き起こす」

「私の患者さんのうち、砂糖を除去した人は、2週間後には、気分、活力、精神的明瞭さが目立って改善したと述べた」

(6)「アレルギー:一つの炎症であるAllergies: an inflammatory subject」British Society for Immunology
https://www.immunology.org/publications/bsi-reports/60-years-immunology-past-present-and-future/allergies-inflammatory-subject

「寄生虫は、宿主の免疫系を抑制するように進化している。人類の歴史の中で、ほとんどの場合、この『古い友人』は、人間の免疫システムの中で、ある種の平衡状態にあったので、我々の免疫細胞は、彼らがそこにいることを当然とするほどであった。彼らがいなくなって、我々の免疫細胞は、活動しすぎるようになった」

(7)「進化医学」井村裕夫、2013年
「競争社会がうつ病を招く」(p227)