(1)「ヒトは病気とともに進化した」(太田ら、2013年)を読みました。

「なぜ破壊的な遺伝子は排除されないのだろうか。(中略)。弱有害変異は、集団が大きいときには自然選択が有効に働いて、集団から除去されるが、集団が小さいときには遺伝子浮動の効果で、中立変異のような振る舞いをし、集団中にある程度広がってしまう。(中略)。淘汰が有効に働かない人口縮小(ここではビン首効果)を、出アフリカの際に現生人類が経験したことにより、病気を引き起こすにもかかわらず淘汰されずに残った遺伝的変異がヒト集団中に蓄積した」(p105)

「突然変異がなければ、生活環境の変化に対応できないし、有益な変異も起こらないから、進化はそのような戦略をとらなかった」(p151)

この他、「ヒッチハイキング効果」(p115)や、「平衡淘汰仮説」(p195)の説明があります。

(2)「分子進化のほぼ中立説」(太田、2009年)を再度読みました。

ロバストネス:遺伝子型が複数で、発現型が単数
エピジェネティクス:遺伝子型が単数で、表現型が複数(p116)

「遺伝子発現や酵素反応のパスウェイは、複雑でいくつかのパスウェイがからみあっているため、1つのステップが働かなくなっても、他のパスウェイが補うので全体として安定に保たれる」(p116)

「高等生物の遺伝子発現のかなりの部分は、染色体のクロマチン構造を通して、すなわちエピジェネティクスによって制御されている」(p119)