以下のような文書を読みました。
(1)「進化心理学の観点から見た人間の攻撃性 Human Aggression in Evolutionary Psychological Perspective」、David Buss
http://labs.la.utexas.edu/buss/files/2015/09/human-aggression-1997-clin-psych-rev.pdf
http://labs.la.utexas.edu/buss/files/2015/09/human-aggression-1997-clin-psych-rev.pdf
「ベネズエラのヤノマノの人々のうち、大人の男性の4分の1は、他の人に殺されて命を落とす」
「性比が1対1の場合、1人の男性が2人の女性を妻にすれば、別の1人の男性は妻を持てないことになる」
(2)「暴力の進化心理学 The evolutionary psychology of violence」、Aaron Goezt
https://www.unioviedo.es/reunido/index.php/PST/article/viewFile/8995/8859
https://www.unioviedo.es/reunido/index.php/PST/article/viewFile/8995/8859
「進化心理学の見方によれば、心とは、情報を処理するメカニズムの集合体であり、我々の種の歴史を通じて、繰り返す適応の問題に対処するために存在している」
(3)「男の攻撃性 Male Aggression」、Dorian Furtuna
https://www.psychologytoday.com/blog/homo-aggressivus/201409/male-aggression
https://www.psychologytoday.com/blog/homo-aggressivus/201409/male-aggression
男性が攻撃的である理由について、次のように述べています。
・男性はより攻撃的であるように教育される。攻撃的な社会的役割を担う。
・進化心理学的には、自分の子孫を繁栄させるために、同性間で激しく争う。
・解剖学的にも、男性の方が筋肉質で、骨も頑丈である。反応時間も短い。
・テストステロンの影響により、攻撃的となる。
(4)「暴力はどこからきたか」、山極寿一
書いてあることが、観察記録なのか、科学的真実なのか、学会の通説なのか、著者の意見なのか、よく分かりません。また、参考文献は、巻末にまとめて列挙するのではなく、個々の記述の根拠を示す形で示して欲しいと思います。確かめることができません。
私のよく知っていることについて書いてあるのは、次のような内容です。「子どもの死亡率は、どの社会でも1歳までの乳児期に高(い)」。これはその通りです。「親の保護体制にほころびが生じることが、原因と考えられるものが少なくない」(p189)。乳児死亡の内訳で最も多いのは、先天異常です。未熟児の死亡率も高いです。乳児期には、感染症に対して弱く、重症の病気があってもあまり症状が出ないこともあります。「親の保護体制のほころび」の場合は、新生児はどのような形で死亡するのでしょうか。またそれは、乳児死亡のうちどのくらいの割合を占めるのでしょうか。
(5)「人を傷つける心」、大淵憲一
「加害者が非意図的である場合には、被害の発生自体に気がついていないこともあります。そうした場合には、被害者は加害者にそれを伝えて、弁明の機会を与えます。時折、被害の伝達をしないで、被害者が勝手に加害者の意図を推測している場合があります。弁明の機会を与えないことは、加害者・被害者の双方にとって好ましいことではありません。それは不必要な誤解を招くからです」(p256)
(6)「暴力にまつわる社会的通念」、TED、スティーブン・ピンカー
https://www.ted.com/talks/steven_pinker_on_the_myth_of_violence/transcript?language=ja
この講演によれば、狩猟採集生活をする人々では、他人に殺される人数が、全死亡数の10~50%にもなるとのことです。人間の歴史を通じて、そうした暴力は減ってきているとのことです。