(1)映画「炎のランナー」を再度見ました。2人の短距離ランナーの話です。英語字幕ではよく分からなかったので、日本語字幕で見ました。

(2)PBSの動画「なぜ性はあるのかWhy sex?」を見ました。寄生生物への対策も重要な目的であるとのことです。

(3)Bussの論文「配偶者取り換え仮説The mate switching hypothesis」を読みました。
http://labs.la.utexas.edu/buss/files/2013/02/The-Mate-Switching-Hypothesis-FINAL-PUBLISHED-2017.pdf

以下のような場合に配偶者の取り換えが行われるとのことです。
・最初に配偶者選択を行ったときには明らかでなかったコストがその後に明らかになった場合
・配偶者としての価値が変化した場合
・元の関係を終了させるコストに見合うような新しい相手が見つかった場合

(4)The New York Timesの記事「デートについてダーウィンは誤っているDarwin Was Wrong About Dating」を読みました。
http://www.nytimes.com/2013/01/13/opinion/sunday/darwin-was-wrong-about-dating.html

女性における短期間の配偶者選択は、これまで進化的心理学で言われていたこととは実態が異なるとのことです。しかし、自分の遺伝子を増やそうとする点では同じであるとのことです。

(5)スライド「雌の配偶者選択Female Mate Preferences」を見ました。
http://www.evostudies.org/Modules/neave-lects/06-fmp.ppt

女性を引き付けるにはどうすればよいかが書かれています(スライド30)。
野心を持つこと、気前が良いこと、服装が良いこと、自信があること、相手の女性より背が高いこと、ヒゲをきれいに剃ってあること、肩幅が広いこと、顔が左右対称であること、スポーツマンであること、匂いが適切なこと、子どもにやさしいことなどです。

(6)進化心理学に関する動画のリンク集がありました。多くは講義です。
http://evostudies.org/multimedia/evos-streaming-videos/

(7)次のような、まとめの文を書きました。
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狩猟採集の時代に、女性が、狩猟の能力が優れた男性を選択することはありそうなことです。実際、現在も狩猟採集生活を送る人々において、そのようなことが実際にあることが報告されています。女性が狩猟能力に優れた男性を選択することは、賢明なことです。

クジャクの雄の立派な羽根は、雌から選択されることには役に立ちますが、生物としての生存のためにはあまり役に立ちそうにありません。一つの可能性としては、クジャクが高度な文明を作って地球を支配し、クジャクの動物園にヒトが展示されるという事態もあり得たわけです。ヒトが実験動物として飼われることもあり得ました。しかし、そのようなことにはなりませんでした。

クジャクの雌が、雄の立派な羽根を高く評価しても、健康度の把握に役立つという程度です。ヒトの女性が、男性の狩猟能力を高く評価することには、もっと積極的な意味があります。

哺乳類では、運動すると脳内のBDNF(脳由来神経栄養因子)の濃度が高まり、神経細胞の増殖が促されます。ヒトは、狩りの新しい技術として、持久走を開発しました。獲物の動物を何時間も追いかけて、消耗させて捕まえるという技術です。野生の動物を捕まえるのは容易なことではありません。体力と知恵と戦略が必要です。

増殖した神経組織を維持するには、多くの栄養と酸素を必要とします。大きなコストに見合った生存上のプラスが必要です。コストのかかる脳の大きさを決めるのに、運動量を指標とすることは、合理的です。居住地にじっとしている分には知性はあまり必要ではありませんが、狩りをするには知性が必要です。知性は、運動に伴って発達しました。神経細胞を増殖させても、すぐに使わなければ死滅してしまいます。ヒトは、長距離の持久走と、BDNFの神経発達と、性選択により、大きな脳と発達した知性を獲得していったのです。

運動と知性の密接な関係は、石器時代に限りません。現代でも当てはまる可能性があります。京都大学の山中教授はスポーツマンであり、昼休みには毎日ジョギングをしておられるそうです。またレイティ教授によれば、アインシュタインは自転車が好きで、自転車に乗っていて相対性理論を思いついたそうです。長谷川教授によれば、ダーウィンは毎日散歩をしていたそうです。二宮金次郎氏は歩きながら本を読んでいましたが、今では交通事故の危険があるので、運動ジムでトレッドミルか自転車漕ぎをしながら本を読むことが考えられます。

小中高校で、体育の授業が週に4、5回あるのは、どんな子どもにとっても少なくともそのくらいの運動が必要であるということでしょう。そして、それ以上の運動については、クラブ活動という形で、(強制でなく)自主的に行うのが良いということでしょう。
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