(1) 「脳と筋肉の連結:運動とヒト神経生物学の進化Linking brain and Brawn: exercise and the evolution of human neurobiology」(David Raichlen、2013年)を、再度読みました。
http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/280/1750/20122250.long
http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/280/1750/20122250.long
有酸素的な身体活動は、ヒトにおいても他の哺乳類においても、新しいニューロンを作り、それを保護し、脳の構造物の体積を増やし、認知能力を改善させる。
直立原人から始まった我々の祖先は、有酸素運動を高度に必要とする狩猟採集生活に移行していった。それは、長距離の移動が増えたことや持久走(5㎞以上を有酸素運動で走ること)を採用したことなどへの適応を示す形態学的な証拠から明らかである。(中略)。我々は、「人間の運動器官の持久走能力に作用する淘汰が、人間の脳の構造と認知機能に、大きな影響を与えた」とする新しい仮説を提案する。
学校に行く年齢の子どもたちにおいて、フィットネスの度合や身体活動の分量は、認知機能向上の度合と、正の相関がある。
有酸素運動は、認知能力(特に実行機能や空間的記憶)の改善や、お年寄りにおける認知機能の改善に結びついている。
(2) 「ウルトラマラソンマン」(カーナゼス、小原訳、2012年)を読みました。これは、あるビジネスマンが、長距離マラソンに挑む話です。これも、なかなか良い本です。
(3)映画「ビッグ」を見ました。これは、早く大きくなりたいという子どもの夢がかなう映画です。この映画は、「走るために生まれた」という本の中で紹介されていました(p216)。
(4)砂糖税についての英国政府文書(2016年8月18日)を読みました。
内容は以下のようです。
・英国では2018年の4月からソフトドリンクへの課税がスタートする
・加えられた砂糖の濃度が5%、8%を超える場合には、そのソフトドリンクを出荷する業者に課税する
・加えられた砂糖の濃度が5%、8%を超える場合には、そのソフトドリンクを出荷する業者に課税する
・業者がそれまでに砂糖濃度を下げれば、課税は行われないことになる
・ソフトドリンクへの課税は、フランス、フィンランド、ハンガリー、メキシコなどの国でも行われている
・世界保健機構WHOは、砂糖への課税を支持している
・料理人のジミー・オリバー氏も、砂糖への課税を支持している
走ったマウスの脳では対照群よりBDNFが増えていて、長く走ったマウスほどその量は多かった。BDNFはとくに海馬で急増していた(p56)
BDNFがニューロンの存続だけでなく、その成長(新しい枝が生える)にも重要で、ゆえに学習にとって重要だということが明らかになった(p57)
(BDNFを手助けするのは)IGF-1(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮成長因子)、FGF-2(繊維芽細胞成長因子)といったホルモンだ。運動するとこれらの成長因子が血液・脳関門を通過し、脳内でBDNFと協力して学習にかかわる分子メカニズムを活性化させる(p65)
IGF-1は活動中の筋肉がさらに多くの燃料を欲するときに放たれるホルモンだ。(中略)。IGF-1はBDNF受容体の生成を促し、ニューロンの結びつきを強くして記憶を確実なものにしている。BDNFはとくに長期記憶にとって重要であるらしい(p66)
運動中に筋肉が収縮したときなど、細胞内で酸素が不足すると出番となるのがVEGFで、体でも脳でも毛細血管を作り始める(p66)