(1)「利己的な遺伝子」(ドーキンス、増補新装版、2006年)(既出)の第9章「雄と雌の争い」を読みました。

「お互いに遺伝子の50%を共有し合っている親子の間にも利害の対立があるというのなら、互いに血縁関係にない配偶者間の争いは、それをどれほど上まわる激しさを呈することになろうか。配偶者が共有しているものといえば、同じ子どもたちに対して互いに同じ50%の遺伝子を投資していることだけである」(p212)

「雌雄のいずれの個体も、その生涯における繁殖上の総合成績を最大化することを望んでいる」(p246)

(2)「進化と人間行動」(長谷川ら、2000年)(既出)の第9章「雄と雌の葛藤」を読みました。

「親の投資とは、『親が以後の繁殖機会を犠牲にして今いる子の生存率を上げるようにする世話行動のすべて』です(Trivers、1972)。具体的には、卵の保護や抱卵、育雛、授乳、子守りなどが含まれます。親はそのような世話をすることによって子の生存を助けますが、その分、他の繁殖機会を犠牲にします」(p192)

(3)「動物の生存戦略」(長谷川、2009年)(既出)の第八章「性淘汰と配偶の機会をめぐる競争」と第十章「配偶者防衛と雌雄の対立」を読みました。

「配偶の機会をめぐる同性間の競争と、配偶相手の選択をめぐる異性間の交渉とによって生じる淘汰を、ダーウインは、性淘汰と呼んだ」(p131)

「雄においては、配偶者獲得の競争に勝つことが一番重要であるが、雌においては、子どもの生存率や自らの寿命がもっとも重要な要因である」(p139)

「ペアになった相手とは異なる相手が、いろいろな意味で『好ましい』場合や、より多くの雄と交尾することが有利になる場合には、雌はつがい外交尾をするのだろう」(p172)

(4)「動物の行動と社会」(日高、1996)(既出)の第14章「性淘汰」を読みました。

「魅力的なオスは子育てをさぼって新たなメスを獲得しようとし、魅力的なメスはまず自らの魅力によって優れたオスとペアになれるうえ、オスに子育てを押しつけることで負担を軽減して寿命を伸ばしていた」(p136)

(5)「第三のチンパンジー」(ダイアモンド、秋山訳、2015年)を読みました。

「進化における競合という点で生命を考えれば、自分の子どもを一番多く残した者が勝者だ」(p83)

(6)「赤の女王 性とヒトの進化」(リドレー、長谷川訳、2014年、早川文庫)を読みました。

「夫は自分の子どもを産ませるために妻を利用し、妻は子を作り、子育てを手伝わせるために夫を利用するのだ。結婚というのは、協力的事業と相互搾取との境界線を、絶えず揺れ動いているものなのである」(p41)

「(男にとって)富と権力は女性を手に入れる手段である。そして女性とは、遺伝子を継承させる手段なのだ」(p391)

(女の考え)
「子どもに食物を与え、世話をやく扶養者としての夫を捕まえてやろう。あるいは子どもに一流の遺伝子を与えてくれる恋人を見つけてやろう」(p391)

(7)「女と男のだましあい」(バス、狩野訳、2000年)を再度読みました。

「いまこの本を読んでいる読者の祖先の女性たちはすべて、少なくともひとりの子供を繁殖年齢まで育てるための投資を、男性から引き出せるだけの魅力をそなえていたはずだ。また、祖先の男性たちも、ひとりの女性に子どもを産ませられるだけの魅力の持ち主だった。つまり、われわれはみな、とぎれることなく続いてきた成功の長い連鎖の産物なのである。いま生きている人間ひとりひとりが、進化的なサクセス・ストーリーを体現しているのだ」(p189)

「パートナーの本来の欲求を満たしてやることは、配偶者確保の戦術としてきわめて効果的である」(p219)

「長期的な配偶関係の解消をうながす主要な要因として、三つの状況が考えられる。ひとつは現在の配偶者がその能力や資源を失ったり、当初は供給するはずだった繁殖に必要な資源を提供できなきなった場合。二つめは、本人が豊富な資源を手に入れたり、高い地位についたりして、配偶者の選択肢が以前よりもはるかに増えた場合。そして最後に別の配偶者候補が手の届くところにいた場合である」(p278)

「こうしたことが、配偶関係の解消をつかさどるために進化してきた配偶メカニズムを起動させ、自分が子孫を残すうえで障害となるものを回避させようとする」(p296)

「現在の配偶者がもたらす利益とコストは、つねに他の候補者から見込める利益およびコストとの比較で評価される」(p296)