(1)「生き物をめぐる4つの『なぜ』」 (長谷川、2002年)を読みました。

「一般に、動物は、自分自身の子ではない赤ん坊に対しては、無関心であるか、忌避するか、または攻撃的にふるまいます」(p138)

このように、血がつながっているかどうかで、反応が全く異なります。

「ラットの母親の世話行動がずっと維持されていくためには、赤ん坊側からの働きかけがあることも重要です。母親は赤ん坊を舐めたり嗅いだりしながら世話をしますが、そのときの赤ん坊の匂いや動きが、さらに母親の世話行動を誘発していきます」(p139)

「子ども側からの働きかけも、親の世話行動をさらに引き出して維持するために大事であることがわかりました。まさに、親子の関係は相互作用で成り立っているのですね」(p147)

子どもと親との相互作用が少ないと、親子関係が切れてしまうことがあります。親子関係を維持するためには、充分な相互作用が必要です。

「親がなんらかの子の世話をすると、子の生存率は多少なりとも上がると考えられます。そして二匹の親が両方とも世話をすれば、一匹だけのときよりもさらに生存率が上がると考えられるでしょう」(p150)

子どもの利益を優先して、二人で子どもの世話をするのがお勧めです。

(2)「動物の生存戦略」 (長谷川、2009年)を読みました。

「『雌がすでに卵に多くの投資をしているから』という理由で雌が将来も子に対する世話を継続するだろうと論じるのは、誤りなのだ。(中略)。雌が子の世話をする場合にも、状況によっては、雌は子育てをやめてしまうことがある。それは、子に対するさらなる投資による適応度上の純利益が、やり直したときの純利益を下回るときである」(p120)

母親が子どもの世話をやめなくてよいような環境整備が必要です。

「雄親による子育てが進化しにくい理由としては、『父性の不確実さ』をあげることもできる。(中略)。自分の子である可能性が高くなければ、『親の子に対する投資』は進化しにくくなるだろう」(p141)

DNA検査をして父性を確定させたほうが、父親の養育費の支払いが良くなる可能性があります。DNA検査も安くなりました。

(3)「Parental Care by Genetic Fathers and Stepfathers : Reports from Albuquerque Men」 (Evolution and Human Behavior 20: 405-431 (1999) Kermyt Andersonら) を読みました。

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このグラフは、大学に入学した子どものうちで、大学のためのお金を受け取る子どもの割合を、親の婚姻状況別に示したものです。「実子で、かつて夫婦関係」の場合を基準にしています。実子の方が、継子よりもお金をもらう割合が高くなっています。