(1)The "Cinderella effect":Elevated mistreatment of stepchildren in comparison to those living with genetic parents. シンデレラ効果:実の親と共に暮らす子どもたちとの比較における継子に対する虐待の増加(DalyとWilson)を読みました。
http://www.cep.ucsb.edu/buller/cinderella%20effect%20facts.pdf
http://www.cep.ucsb.edu/buller/cinderella%20effect%20facts.pdf
「カナダにおいて1974年から1990年までに同居する親によって殺された5歳未満の子どもは、実の親の場合では2.6人(100万人・年あたり)であったが、継父または継母の場合では321.6人(同)であった。120倍以上である」
(2)「人が人を殺すとき」Homicide(DalyとWilson、長谷川ら訳、1999年)を再度読みました。

「役割とは、その経験を積んだ有能な役者ならだれでもが演じることができるものであるが、親と子の絆は個人的なものであり、意思によって形成できるものではない。実際、『役割』の概念は、親であることの動機づけと感情的側面をまったく完璧に無視している」(p155)
「(義理の親たちの)問題は、自分たちがやるべきと思われていること、つまり、通常の感情的報酬を得ることなく、非常に大きな『親としての』努力を投資するということを、自分たちがやりたくないというところにあるのだ」(p156)
「社会生活に関する社会科学の主流の考え方は、『役割理論』のように、異なる関係がかかえている基本的な問題点を無視しており、それゆえ、親と子の間の特定の関係に関して、ほとんどなにも洞察を与えない。進化的適応の概念を取り入れないかぎり、親の愛情や利他行動がなぜときにはうまくいかないかはいうまでもなく、なぜそれがそもそも存在するのかについてすら、なにも理解できないだろう」(p157)
親子関係について、「父親の役割」というような捉え方は全くの誤りのようです。
(3)「Animal Behavior」(Alcock、eighth edition、2005年)の一部分を読みました。
「大多数の動物では、親は子のために指一本動かさない。しかし、いくつかの動物では、親は子の世話をする。その場合、世話をするのは、通常は母親であり、父親はまれである。親の養育行動のこうした違いを説明するためにカギとなるのは、進化生態学者が用いる費用対便益の概念である。親による養育行動の便益は明白であり、子どもの生存率の改善である。もし養育行動に関する重要な進化的な問題を扱うのなら、養育行動のコストを評価しなければならない」(p405)
(4)「行動・生態の進化」(シリーズ進化学6)(長谷川ら、2006年)を読みました。
ヒトとチンパンジーの遺伝子は、98%ほどが共通です。しかしこの本によれば、チンパンジーの命を助けても、自分の遺伝子を増やしたことにはならないとのことです。(p64)
先祖から受け継いだ(遺伝性のある)独特でまれな遺伝子を、子孫が受け継いで増やす確率を高くすることが重要であるとのことです。どの生物でも常に持っているような平凡な遺伝子を、子孫に増やそうとしてもあまり意味がありません。