(1)心理学を学んだだけでは、夜尿症を扱うことはできません

夜尿症(おねしょ)を訴えてくる子どもの中には、慢性尿路感染症を持つ場合があります。慢性的に尿路系に細菌感染が起きて、それが悪化した時に、夜尿症の症状が現れるのです。この状態を長期間放置すると、細菌が腎臓を侵して、腎不全となることがあります。しっかり治療する必要があります。

だから、夜尿症を訴える子どもが来院した場合には、最低でも検尿を行って、尿路感染の所見があるかどうかを確認する必要があります。血液検査や、尿路系の画像検査を行うこともあります。

ところで、腎臓で作られた尿は膀胱へ送って溜められます。腎臓から膀胱へ至る管(尿管)が膀胱へ流れ込む部分は、弁になっていて尿の逆流を防いでいます。しかし、この弁の働きが悪いと、膀胱の尿は容易に腎臓に逆流します。もし、膀胱に細菌がいれば、逆流により、容易に腎臓の炎症を引き起こします。つまり膀胱炎は容易に腎盂炎になります。この逆流(膀胱尿管逆流現象)があれば、手術が行われることがあります。

夜尿症を訴える子どもの中には、このような尿路系の病気を持つ子どもが混じります。心理学の人が夜尿症の子どもを扱う場合には、病気の診断や治療を行うことはできません。こうした尿路系の病気を除外せずに、心理療法だけで夜尿症の子どもを扱うと、取り返しのつかない事態(例えば腎不全)になる可能性があります。ポジティブ心理学とか、認知行動療法(嫌いな勉強を良いイメージと結びつけるなど)を行って経過を見てはいけないのです。

また逆に、夜尿症を訴える子どもの中には、「正常」の子どもが多く含まれます。大人になってから夜尿症を訴える人は多くいません。しかし、小学校くらいで夜尿症を訴える子どもは多くいます。夜尿症を訴える子どもの過半数は、「正常」であると考えられます。つまり、小さい子どもは、おねしょをするものであるということです。病的ではないので、単に待つだけで良いということです。ある医師は「私は中学校でもおねしょをしていました」と言って親を安心させていました。

心理学では、病気が無いことを保証することができません。医学的に「正常」と診断することができないのです。心理学では、おねしょの子どもが来たら、心理療法を行うのでしょうが、過半数の子どもは、正常であるので治療する必要はありません。心理療法も不要であるということです。

心理学を学んでも医学的な治療を行うことはできないことは、他の病気でも同じです。たとえば、心理学ではうつ病の診断も治療もできません。開業して心理療法を行っている人をあまり見かけません。

大きい病院に心理職の人がいる場合がありますが、心理職だけで病院の外来を行うことはできません。必ず医者が診療して、心理職に回すのが適当であると医者が判断した場合にだけ、心理職に回します。多くの病院には心理職の人はいませんが、その場合には、医師が全て対応します。

(2)神戸大学の発達科学部は、教育学部に、文学部心理学科を加えた学部です。枠組みを変えただけで、特に内容が新しいわけではありません。他の大学がこの枠組みに追随する様子はありません(富山大と高松大にあるそうです)。神戸大学は、文部科学省が定めたグローバル大学の37校には入っていません。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H03_W4A920C1CR0000/
神戸大学の世界ランキング(THE)は、601-800位です。

神戸大学の発達科学部(元の教育学部)は、神戸大学の中では一番高い所にあります。見晴らしが良い所です。私は学生時代に、教育学部の図書館に、10回くらい行ったことがあります。卒後にも2回行きました(大学の図書館は、基本的には学外者にも公開されています。ただし、閲覧だけで、貸し出しはできません)。教育学部図書館には、小中校の教科書が置いてありました。こじんまりした使いやすい図書館でした。

(3)映画「HACHI」を見ました。
忠犬ハチ公の映画です。鳥飼先生の本の中で紹介されていました。このDVDには英語字幕がありませんでした。英語音声だけだと1割しか分かりませんが、あらすじを知っているので、1割でも楽しむことができます。

駅員は、映画「プリティー・ウーマン」の弁護士と同じ人です。ホットドッグを売る人は、映画「スターゲイト」の長老と同じ人です。リチャード・ギアは黒澤映画「8月の狂詩曲」の後で、「もうアリとは共演しない」と述べたそうですが、イヌは大丈夫のようです。

私は、大型犬を放し飼いにすることには反対です。小さい子どもに噛みつくかもしれないからです。

しかし、上野教授はイヌのしつけについてよくご存じであったろうと思われます。イヌには上下関係があります。イヌのしつけというのは、人間が上であることをイヌに理解させるということです。イヌの言いなりになると、イヌは、人間が下だと思い込んで、吠えるイヌや噛みつくイヌになります。上野教授は、ハチ公に、人間が上であることを教え、人間を吠えたり噛んだりしないように教え、駅で自分を待つように指示したのでしょう。

上野教授は、この映画のように、講義中に脳卒中を起こして亡くなられたそうです。53歳でした。当時は、血圧の管理や塩分制限は行われていませんでした。