(1)もうろく
中国文学研究者の吉川幸次郎先生は、「老いて将(まさ)に知ならんとして、耄これに及ぶ」(老将知而耄及之)という言葉を次のように説明しておられます。「年よりになれば、経験がその人間を知恵者にしかける。ところがちょうどそのころ、もうろくもまた彼においつく」。「他山石語」(1973年、p271)

小生は愚考するのですが、認知症の予防を行えば良いのではないでしょうか。体をしっかり動かすことと、頭を使うこと、また、充分な栄養を摂取して、家族や友人と楽しい時間を過ごすことです。

(2)海馬
海馬は大脳の側頭葉の内側にあります。海馬の部位に障害を受けた患者さんの症状や、この部位を破壊する動物実験などから、海馬は、記憶に関する働きをする部位であると考えられています(特に、近時記憶と長期記憶の形成(記銘)を行う部位であると考えられているとのことです)。
東京都医学総合研究所の「脳科学辞典」による
http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC

東大教授の池谷裕二先生によれば「海馬は、虚血や無酸素症に脆弱である」とのことです。
「海馬の基礎知識」
http://gaya.jp/research/hippocampus.htm#8-1
(認知症で最初に目立つ症状は、記憶の障害です。アルツハイマー型認知症では、海馬が萎縮して小さくなることがよくあります。有酸素運動は、認知症の予防に効果がありますが、海馬を鍛えてるということでしょうか)

海馬は、後大脳動脈より血液を供給されています。
「Hippocampal Lesion Patterns in Acute Posterior Cerebral Artery Stroke」(Szaboら、Stroke. 2009;40:2042-2045)
http://stroke.ahajournals.org/content/40/6/2042.long
(私は、後大脳動脈が閉塞する脳梗塞はあまり多くないと理解しています。脳血管性認知症の場合は、アルツハイマー病と比較して、記憶障害は、より軽度であるとのことです)

(3)カルテ開示
メイヨークリニックに勤務しておられる反田篤志先生によれば、メイヨークリニックでは、患者さんはいつでも自由に自分の電子カルテにアクセスできるとのことです。
http://ameilog.com/atsushisorita/2015/07/26/040612
(カルテとネットを直結させると、ウイルスがいくらでも入り込んで来ます。また、パソコンが重くなって、動かなくなります。たぶん、定期的にコピーを取って、それを見せているのでしょう)。

また、李啓充先生によれば、米国では「診療情報は患者の身体・疾病に関する情報であり、これは一義的に患者本人に帰属する」という立場が主流であるとのことです。
(カルテの情報は、患者さん本人のものであるとする立場です)。
国立科学技術振興機構JST、日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ringe1998/65/supplement/65_supplement_197/_pdf

また、ある人は、米国でカルテの開示を請求して、3000ページのコピーを受け取ったとのことです。
http://www.cancer-patient.net/KEN/essay/part2-2.html

厚生労働省の「カルテなどの診療情報の活用に関する検討会」の報告書概要を再度読みました。
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1006/h0618-2.html
以下のような文がありました。

「より良い効果をもたらす医療は、一方的に提供されるものではなく、患者が自らの病気の内容、治療方針について理解することにより、医療従事者と患者が情報を共有し、患者の自己決定の尊重及び相互の信頼と協力に基づいて、共同して病気を克服するというものでなければならない」

「患者への診療情報の提供、特に診療記録の開示を進めるに当たって指摘される問題点としては、1.コスト論、2.記録の質の低下、3.医療技術者と患者との信頼関係を損なう、4.患者が内容を誤解し、治療効果を妨げる、5.患者がショックを受ける、等が挙げられるが、これらは診療情報の提供を推進するに当たって解決を要する重要な課題ではあるが、診療情報の提供を妨げる決定的な要因であるとはいえないであろう」

(がんや精神病についても、まず本人に情報を提供することを原則とすべきであるとのことです)

(特に悪化傾向がある時など治療経過が思わしくない時に報告しておかないと、患者さんは転院する機会を逃すことになります。患者さんは、もっと良い病院で治療を受けたいかもしれません。あるいは、報告しないと、患者さんは生活習慣を改善する機会を失うかもしれません。あるいは、患者さんは残された貴重な時間を、無為に疑いながら過ごすかもしれません。医療技術者は、患者さん本人の絶対の味方になる必要があります)