次のような文章を読みました。

(1)「高齢者の生きがい」健康長寿ネット
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000800/hpg000000723.htm

内閣府が行った調査が紹介されています。

内閣府は、平成15年に60歳以上のお年寄りに対して「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」を行いました。2860人から回答を得ました。

「生きがい(喜びや楽しみ)を感じるのはどのような時か」という問いに対して、最も高かったのが「孫など家族との団らんの時」で45.5%であり、次が「趣味やスポーツに熱中している時」が42.9%であり、次いで「友人や知人と食事、雑談をしている時」が39.3%であったとのことです。「仕事に打ち込んでいる時」は多い方から7番目であり28.7%であり、「社会奉仕や地域活動をしている時」は10番目で14.3%であったとのことです。

生きがい(喜びや楽しみ)には、家族や友人との交流が重要であると分かります。

(2)「予防戦略Prevention Strategies」米国国立老人虐待センターNational Center on Elder Abuse
http://www.ncea.aoa.gov/Stop_Abuse/Prevention/Strategies/index.aspx

米国国立老人虐待センターは、米国厚生省の機関です。この文書では、年齢だけで能力が劣ると判断するのは、性差別や人種差別と同様の差別であるとしています。そして、この年齢差別Ageismは、虐待が行われる一つの要因になっているとしています。また年齢差別は、お年寄りの人を社会の周辺に押しやると述べています。

定年や後期高齢者を年齢で定めるのは自然なことではない、と分かりました。

(3)「老人施設での虐待Nursing Home Abuse」米国国立老人虐待センターNational Center on Elder Abuse
http://www.ncea.aoa.gov/Resources/Publication/docs/NursingHomeRisk.pdf

この文書によれば、お年寄りの収容施設は、家庭における逃げ場のない人間関係から離れる場でもあるとのことです。つまり施設は安全弁でもあります。

施設の職員が行う虐待を防止するために、職員全体が協力する雰囲気が重要であるとのことです。そのための一つの方法として、職員全体で、虐待が行われるハイリスクな状態を考えることが勧められています。

私が今、考えてみますと、家族が毎日面会に来る人より、めったに来ない人の方がハイリスクです。言葉を話せる人より、話せない人の方がハイリスクです。頻回にナースコールするひとは、ニグレクト(無視)されやすいでしょう。職員の側では、患者さんの物取られ妄想とか、帰宅願望とかにうまく対応できない人は、虐待を起こしやすいかもしれません。

この試みを行う目的は、疑わしい職員を見つけることでなく、職員のみんなで協力する雰囲気を作ることにあるそうです。例えば、患者さんに対する正しい対応の仕方を確認し合うということです。

(4)「良好な状態の概念Well-being Concepts」米国疾病予防センターCenters for Disease Control and Prevention
http://www.cdc.gov/hrqol/wellbeing.htm

「健康のために重要なものは、身体的活動性、健康的な食事、社会的なつながり、レジリエンシー(立ち直る力)、ポジティブな感情、自律性autonomyである」

自律性(autonomy、自立性、自治)が、健康のための一つの重要な要件とされています。情報をお伝えして、自分で選択してもらう必要があります。

「良好な状態well-beingとは、ポジティブな感情、人生への満足、ポジティブな機能、身体の良い状態を含む」

「良好な状態well-beingは、一般的に言えば、良好な健康状態、ポジティブな社会的関係、利用可能な基本的な資源(住居、収入など)などが必要な条件である」

このような基本的な資源は、必要条件に過ぎません。例えば、英国政府は最近、戦後に物質的には豊かになったが、国民の幸福度は上がっていないとする反省を行っています。この文章でも、収入と良い状態well-beingの関係は、複雑であると述べています。収入がある値になるまでは、良い状態well-beingは、収入に伴って上昇するが、収入がそのある値を超えると、良い状態well-beingは、頭打ちになるとのことです。必要が満たされれば、それで終わりです。

(5)「なぜ運動は重要かWhy is exercise important? 」英国関節炎研究Arthritis Research UK
http://www.arthritisresearchuk.org/arthritis-information/arthritis-and-daily-life/exercise-and-arthritis/why-is-exercise-important.aspx

関節炎に対して運動を行う目的は次のようであると述べています。
・関節を柔らかくする
・関節の動きを良くする
・筋肉を強化する
・心臓を健康にする
・体重を減らして、関節にかかる負担を減らす
・骨を強化して骨密度を保つ
また運動は、精神にポジティブな影響を与えると述べています。

(6)「運動は変形性関節症に良いBenefit of Exercise for Osteoarthritis」関節炎基金Arthritis Foundation
http://www.arthritis.org/living-with-arthritis/exercise/benefits/exercise-knee-osteoarthritis.php

「変形性関節症の痛みに対して、運動は、非薬物治療の中では最も効果がある」とのことです。

関節に良い運動は次のようであると述べています。
・関節可動域訓練
・有酸素運動
・筋肉トレーニング
・歩行
・水中運動

関節に必要な運動量は、中等度の強さの運動を週に150分であると述べています。ただし、関節に衝撃を与える運動は避けるべきであると述べています。ジョギングやバスケットボールよりも、歩行や自転車乗りが好ましいとのことです。

(7)「関節炎へのアドヴァイスArthritis Advice」、米国国立加齢研究所National Institute of Aging
https://www.nia.nih.gov/health/publication/arthritis-advice

「お年寄りの方に多い関節炎には、変形性関節症、リウマチ性関節炎、痛風などがある」

「関節炎に際して、全身に熱があったり、身体的な不調があったり、関節が急に腫れたり、関節を使うことにトラブルがあるような場合は、直ちに、主治医や専門医を受診すべきである」

「そうした症状は無くても、関節の疼痛、関節の腫脹、関節の硬直、関節の圧痛、関節の熱感や発赤などの症状が、一つでも2週間以上続くようなら、主治医や専門医を受診すべきである」

「正しい医療を受けて、関節を適切に休ませると共に、運動を行えば、関節炎の痛みを減らせる場合がある。関節炎がある場合には、次のような運動が適切である。
・関節可動域訓練
・筋力増強運動
・有酸素運動」