世界保健機構WHOの文書「腰痛イニシアティブ」の結論の部分(p81-83)を読みました。下記の文章を、Wikipedia 「腰痛」に加筆しました。
The World Health Organization Low Back Pain Initiative: Conclusions (p81-83)
Professor George E. Ehrlich
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/66296/1/WHO_NCD_NCM_CRA_99.1.pdf
Professor George E. Ehrlich
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/66296/1/WHO_NCD_NCM_CRA_99.1.pdf
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(1)一般的に言えば、病歴聴取と体の診察により、可能性のある特異的腰痛を排除することができるので、画像診断などのお金のかかる検査は、慢性化した場合や治療に抵抗する場合に後日行うまで、通常は、差し控えておくべきである。
(2)特異的腰痛の場合は、各疾患ごとに、それぞれの特異的な治療を必要とする。
(3)非特異的腰痛では、大多数のケースでは、症状は2、3週間以内に限局する。どのような治療を行っても、あるいは全く行わなくても、腰痛は自然に収まる。しかし、ひとたび腰痛が慢性化すると、効果のある治療法は、ほとんど無くなる。それで、腰痛の慢性化を予防することが、治療の主な目的となる。運動プログラムは、腰痛のある期間を短くし、生活の質を向上させる。ステロイドは、経口でも非経口でも硬膜外注入でも、使用する利点は無い。椎間関節への薬物注入は、ほとんど役に立たない。
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この部分の文章を書いたGeorge E. Ehrlich教授は、ペンシルバニア大学の特任教授をしておられ、また、世界保健機構WHOの「腰痛イニシアティブ」のChairpersonをしておられました。
同教授は、別の論文で、「急性腰痛から、慢性腰痛への移行は、しばしばイアトロジェニックである」と述べておられます。また、「ステロイドまたは麻酔薬の注入は、せいぜいプラセーボ効果しかなく、避けるべきである」と述べておられます。
「Back Pain」 J Rheumatol 2003;30 Suppl 67:26-31