砂糖と精神疾患について、以下ような文章を読みました。
 
(1)「4 Ways Sugar Could Be Harming Your Mental Health」、Psychological Today、 David Sack、2013年9月2日
 http://www.psychologytoday.com/blog/where-science-meets-the-steps/201309/4-ways-sugar-could-be-harming-your-mental-health
依存性を専門とする精神科医David Sack氏は、次のように述べておられます。
 
「砂糖は次の4通りの方法で、精神を蝕む。
①砂糖により、血糖値が、急上昇し急下降することによって、気分障害の症状が悪化する。砂糖を多く消費すると、うつ病のリスクが増え、統合失調症の予後が悪化する。砂糖を多く消費する国では、うつ病になる割合が高い(うつ病)。
②砂糖に依存性があることについて、多くの根拠が集められている。ある動物実験では、動物はコカインよりも砂糖を選択した(依存)。
③動物に普段は砂糖を与えておいて、ある時から急に与えないようにすると、動物は不安に駆られる(不安)。
④果糖の水溶液を6週間飲んだラットは、迷路で、帰り道を忘れる(記憶力の低下)」。
 
(2)「Dietary Sugar and Mental Illness: A Surprising Link」、Psychological Today、Stephan Ilardi、2009年7月23日
http://www.psychologytoday.com/blog/the-depression-cure/200907/dietary-sugar-and-mental-illness-surprising-link
カンサス大学准教授のStephan Ilardi氏は次のように述べておられます。
 
「英国の優れた精神医学研究者のMalcolm Peet氏は、砂糖の消費量と、うつ病や統合失調症の発生頻度との間に強い関係があることを見い出した。
 
これには、2つの機序が考えられる。第1の機序は、砂糖は、BDNF(脳内栄養因子)と呼ばれる脳内の成長ホルモンを抑制することである。うつ病や統合失調症では、BDNFの量が減っている。動物実験でBDNFを抑制すると、動物はうつ病を発症する。
 
第2の機序は、砂糖が慢性的な炎症を引き起こすことである。慢性的な炎症は、うつ病や統合失調症のリスクとなる。
 
私は、うつ病の患者さんに、試しに2週間、砂糖を食べないことをお勧めしている。また同時に、クラッカーや白いパンを食べないことをお勧めしている。何人かは、それを実行して、気分・活力・精神的明瞭さの点で、目だった改善があったと私に述べている」。
 
(3)「International variations in the outcome of schizophrenia and the prevalence of depression in relation to national dietary practices: an ecological analysis」 Malcolm Peet、British Journal of Psychiatry (2004),184,404-408
http://bjp.rcpsych.org/content/184/5/404.long
Malcolm Peet氏は、次のように述べておられます。
 
「世界保健機構WHOによる国際的統合失調症予備的研究(IPSS)のデータと、国連食料農業機関FAOによる14種類の食品に関するデータを用いて、両者の関係を調べたところ、精製糖の消費が多いと、統合失調症の2年後の予後が悪いという関係が認められた」。
 
「また、Weissmanらの研究によるうつ病の有病率のデータと、FAOによる食品に関するデータを用いて、両者の関係を調べたところ、魚や海産物の消費が少ないと、うつ病の有病率が高いという関係が認められた」。
 
「統合失調症の予後を規定する要因や、うつ病の蔓延を規定する要因は、冠動脈疾患や糖尿病を引き起こす要因と類似している」。
 
(4)「Los Angeles Probation Department Diet - Behavior Program - An Empirical Analysis of Six Institutional Settings」S J Schoenthaler 、International Journal of Biosocial Research  Volume:5  Issue:1  Dated:(1983)  Pages:88-98
https://www.ncjrs.gov/App/Publications/abstract.aspx?ID=92810
著者のS J Schoenthaler氏は、次のように述べておられます。
 
「3ヶ所の少年院に収容された1382人の少年少女に、砂糖を減らした食事を与えたところ、その後の3ヶ月の間に、反社会的行動が44%減少した」。

(5)「食事崩壊と心の病」 大沢博、2007年
この本の中で、岩手大学名誉教授の大沢先生は、砂糖によってもたらされる低血糖を重視しておられます。大沢先生は、菅原明子博士の実験を紹介しておられます。菅原明子博士は、砂糖が摂取2時間後に低血糖をもたらすと述べておられます。菅原博士は、疫学教室の先輩です。
 
(6)「Nutrition and Behavior」 Russell Blaylock、2008年11月20日
Russell Blaylock医師は、次のように説明しておられます。

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 (7)「砂糖をやめればうつにならない」 生田哲、2012年
この本の中で、生田博士は次のように述べておられます。
 
・ブドウ糖不足でイライラ、混乱、集中力の欠如
・砂糖はうつを引き起こす
・甘いものをやめればうつもイライラもなくなる
・甘いもので記憶力が低下する
・記憶と学習に障害を起こす糖尿病
・砂糖水を飲み続けるネズミ
 
(8)「Consumption of Soft Drinks and Hyperactivity, Mental Distress, and Conduct Problems Among Adolescents in Oslo, Norway」 Lars Lien、Am J Public Health 2006;98(10):1815-1820
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1586153/
オスロ大学の研究所に所属するLars Lien氏は、次のように述べておられます。
 
 「15歳と16歳の生徒5547人に、質問紙により、次のような感情の強さを4段階に評価してもらった(パニックに陥っている、不安である、めまいがする、緊張した、眠い、悲しい、無価値な、希望が無い)。また、食物摂取の多寡を6段階に評価してもらった。ソフト・ドリンクを多く消費する生徒は、精神衛生の面での問題を抱えていた」。