子どもの安全

人間の寿命は80年くらいです。人間が80人いると、平均して1年間に1人が亡くなる計算になります。人口80万人の都市では、年に1万人くらいが亡くなります。人口が8000万人くらいの国では、年に100万人くらいが亡くなります。ニュース性のある死は、報道されますが、多くの死は、ありふれているので報道されません。

亡くなるのは老人だけではありません。子どもや青年も亡くなります。例えば、米国政府の文書によれば、米国では2009年の1年間に15歳から19歳の青年1万1520人が亡くなりました。死因のトップは、事故です。事故で4807人が亡くなりました。1歳から15歳も、死因のトップは事故です。同文書は、子どもが事故に遭いやすい社会的経済的要因の一つとして、一人親であることを挙げています(National Action Plan for Child Injury Prevention 2012)。
http://www.cdc.gov/safechild/pdf/National_Action_Plan_for_Child_Injury_Prevention.pdf

スウェーデンのウメオ大学のRingback Weitoft氏らは、一人親の子ども6万人と、二人親の子ども92万人を比較し、一人親の男の子の死亡率は、二人親の男の子の死亡率の1.5倍であることを報告しました。また女の子では、死亡率は1.2倍でした(Lancet 2003; 361:289-95)。
http://forumdafamilia.com/arquivo/mortality-single-parents.pdf

オーストラリア当局の文書は、「子どもが歩行者として事故に遭う比率は、一人親の子どもでは、1.5倍に増える」という研究を紹介しています。また「一人親であっても、拡大家族の中で暮らす子どもでは、事故に遭う比率は増えない」と述べています(The role of the Family in the Road Safety Behaviour of Children)。
https://www.infrastructure.gov.au/roads/safety/publications/1996/pdf/par_child_safe.pdf

上記の米国政府文書によれば、子どもの事故を減らすには、事故調査、情報提供、子どもへの教育が重要であるとのことです。

上記のオーストラリア文書p9によれば、研究により判明しているのは、交通安全について学校の教室で学んでも、子どもの知識は増えるけれども、子どもの安全な行動の増加には結びつかないとのことです。また、道路における実際的な訓練が効果的ですが、コストの問題があるとのことです。親が子どもに教える必要があります。多くの親は、自分たち自身が、子どもに交通安全教育を行う重要な責任者であると考えています。また実際に交通安全の問題で子ども達にしっかり関与して教育しています。

子どもは、友人からの影響などにより、危険な行動をすることがあります。安全について、理非をわきまえた、思慮深い、分別ある態度が取れるように、親が日常生活の実地の場面で、子どもに手本を示す必要があります。学校は、そこまで行ってくれません。

親の役割としては、家庭の中で、子どもを精神的に支持して、子どもの身の回りの世話をする役割があります(母親の比重が大きい)。また、子どもが次に進む世界を紹介して、その準備をさせる役割があります(父親の比重が大きい)。親の重要な役割の一つとして、家庭の外の世界で、実地に、子どもに安全への慎重な態度を自ら示して、それを身につけてもらうことがあります。


なお、上記の他、次の文書を参照しました。「Parental Attitudes to Road Safety Education」
http://www.scotland.gov.uk/Resource/Doc/26350/0026586.pdf