砂糖の害について、以下の文献を読みました。
 
(1)「Fetal programming, fructose, and insulin resistance」 Mi Zou、
http://docs.lib.purdue.edu/dissertations/AAI1479966/
パデュー大学のMi Zou氏は、同氏が書いた本の要約の中で、次のように述べておられます。
 
「妊娠期間中や授乳期間中に果糖を消費することは、ブドウ糖不耐症や脂肪肝を来たす。そうした母親から生まれた子どもは、糖新生の能力が亢進しており、出生後の栄養補給に対して代謝の反応が正常とは異なる。果糖を多く消費する母親から授乳を受けると、新生児の成長は障害される」。
 
(2)「Role of advanced glycation end products in hypertension and atherosclerosis: therapeutic implications」 Sudesh Vasdev、Cell Biochem Biophys. 2007;49(1):48-63http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17873339
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17873339
ニューファンドランド・メモリアル大学教授のSudesh Vasdev氏らは、次のように述べておられます。
 
「高血圧や動脈硬化症には、インスリン抵抗性が認められる。インスリン抵抗性が生じる原因は知られていないが、遺伝的要因や生活習慣によるものと考えられる。インスリン抵抗性があると、ブドウ糖代謝や脂質代謝が変化し、過剰のアルデヒドが生産される。過剰なアルデヒドは、アミノ酸などと反応し、安定した化合物である糖化終末産物AGEsとなる。糖化終末産物は、細胞内や細胞外の多くのタンパク質の機能を障害する。血管内皮細胞には、炎症が生じ、酸化ストレスにさらされ、機能障害に陥る。ヒトや動物において、増加した糖化終末産物はこのような変化を作り出すことが確認されている。これらの変化は、高血圧症や動脈硬化症の特徴である」。
 
(3)「Dietary advanced glycation end-product restriction for the attenuation of insulin resistance, oxidative stress and endothelial dysfunction: a systematic review」Nicole Kellow 、European Journal of Clinical Nutrition (2013) 67,239-248
http://www.nature.com/ejcn/journal/v67/n3/full/ejcn2012220a.html
モナシュ大学のNicole Kellow氏らは、次のように述べておられます。
 
「糖化終末産物AGEsの摂取を制限する利点は明確にされていない。1997年から2012年までに英語で出版された研究のうち、糖化終末産物AGEsの制限を実施する研究は計12編あり、その被験者は計286人であった。観察期間は、12編のうち9編が6週間以下であった。糖化終末産物AGEsの摂取制限により、8-イソプロスタン(酸化ストレスの指標)が減少し、腫瘍壊死因子αが減少したとする研究があった。また、糖化終末産物AGEsの摂取制限により、HOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)が減少し、2型糖尿病の大人の患者でAGEsが変質させた脂質タンパクが減少したとする研究があった。AGEsを制限する効果を調べるには、もっと多くの被験者を対象としてた長期間にわたる研究が必要である」。
 
(4)「Advanced Glycation End Products:」 Alison Goldin、Circulation. 2006;114:597-605
http://circ.ahajournals.org/content/114/6/597.full
ハーバード大学のブリガム女性病院のAlison Goldin氏らは、次のように述べておられます。
 
「糖化終末産物AGEsは、糖と反応して糖化したタンパクや脂質のことである。糖化終末産物AGEsは、糖尿病患者の血管にも分布し、動脈硬化症の進展をもたらす。多くの異なった細胞におけるAGEsの存在とその蓄積は、細胞内外の構造や機能に影響を与える。AGEsは、細胞外マトリックスの基底膜の分子間にクロスリンクを形成することにより、マクロやミクロのレベルの血管障害をもたらす。AGEsは、AGESレセプターを活性化させ、転写因子、核因子κB、その標的遺伝子の増加調節をもたらす。AGEsと結合したAGEsレセプターは、内皮細胞における巨大分子の透過性を高める。AGEsは、内皮細胞における一酸化窒素の活動をブロックし、活性酸素の産生を引き起こす。糖尿病患者の血管におけるAGEsの有害な作用について、多くの証拠が集まっているので、AGEsを抑制する多くの異なった治療法について、現在、研究が行われている」。
 
(5)「Researcher Blocks the Harmful Effects of a High-Fructose Diet」American Diabetes Association
http://www.diabetes.org/research-and-practice/we-are-research-leaders/recent-advances/archive/researcher-blocks-the-harmful.html
アメリカ糖尿病協会は、ホームページ上で、フロリダ大学のYuri Sautin氏の研究を紹介して、次のように述べています。
 
「果糖の消費は、健康に有害な影響を与える。例えば、肝臓やその他の重要な臓器に、脂肪を急速に蓄積させる」。
 
「果糖が多くあると、脂肪を産生する遺伝子が活性化され、肝臓内に脂肪が蓄積される。その結果、時間の経過と共に、非アルコール性脂肪肝、肝臓におけるインスリン抵抗性、2型糖尿病への進展が発生する」。
 
(6)「The Men Who Made Us Fat, BBC Two, review」Terry Ramsey 、2012年6月14日
http://www.telegraph.co.uk/culture/tvandradio/9332421/The-Men-Who-Made-Us-Fat-BBC-Two-review.html
テレグラフ紙のTerry Ramsey氏は、BBC放送の「The Men Who Made Us Fat」という番組を紹介して次のように述べています。
https://www.youtube.com/watch?v=iE-H__aIEFE
 
「コーンシロップが普及した問題点は、それに含まれる果糖がレプチンを抑制する点にある。レプチンは、『もう満腹だから食べるのをやめよう』というメッセージを脳に伝えるホルモンである。果糖がレプチンを抑制すれば、その結果として、全ての人はどこで食べるのを止めるべきか分からなくなる。つまり、多くのアメリカ人のように肥満する」。
 
(7)「Effect of Fructose on Blood Pressure」Vanessa Ha、Hypertension. 2012;59:787-795
http://hyper.ahajournals.org/content/early/2012/02/13/HYPERTENSIONAHA.111.182311.full.pdf
Vanessa Ha氏は次のように述べています。
 
「ヒトにおいて、果糖の消費と血圧との関係を調べた論文を検索したところ、2012年までに319の論文があり、うち条件に合う11の論文を検討した。実験期間は2編が10週間で、他の9編は6週間以下であった。これら11編の論文によれば、カロリー消費を一定とする条件の下では、果糖の消費は血圧に影響を与えなかった」。