砂糖と糖尿病について、いくつかの論文を読みました。
(1)「Sugar-Sweetened Beverages, Weight Gain, and Incidence of Type 2 Diabetes in Young and Middle-Aged Women」 Matthias Schulze JAMA, Vol.292,No.8, 2004年8月25日
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=199317
ハーバード大学のMatthias Schulze教授らは、次のように述べています。
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=199317
ハーバード大学のMatthias Schulze教授らは、次のように述べています。
「糖尿病や他の重症な慢性疾患を持たない9万1249人の女性看護師さんを、1991年より8年間、前向きに観察したところ、741人が2型糖尿病を発症した。砂糖で甘くしたソフトドリンクを毎日1杯以上飲む人は、月に1杯未満しか飲まない人に比べて、糖尿病の発症率は、1.83倍であった」。
(2)「Consumption of sweet beverages and Type 2 diabetes incidence in Europian adults: results from EPIC-InterAct」 D Romaguera、Diabetologia (2013)56:1520-1530
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-013-2899-8
インペリアル・カレッジ・ロンドンのDora Romaguera博士は、次のように述べています。
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-013-2899-8
インペリアル・カレッジ・ロンドンのDora Romaguera博士は、次のように述べています。
「『ヨーロッパ、栄養とがんの前向き調査』に登録されている2型糖尿病患者1万1684人と、糖尿病の無い人1万5374人を比較した。砂糖で甘くしたソフトドリンクを1日に336g飲むごとに、糖尿病の発症率は1.22倍に増加した。また人工甘味料で甘くしたソフトドリンクを1日に336g飲むごとに、糖尿病の発症率は1.52倍に増加した」。
(3)「Diabetes warning over soft drinks」 BBC news 2013年4月25日
http://www.bbc.com/news/health-22280297
BBCニュースは、Dora Romaguera博士の研究を次のように伝えています。
http://www.bbc.com/news/health-22280297
BBCニュースは、Dora Romaguera博士の研究を次のように伝えています。
「ある研究によれば、砂糖の入ったソフトドリンクは、後年、糖尿病となるリスクを上昇させる。この研究を行ったDora Romagueraは次のように述べた。『イギリス、ドイツ、デンマーク、スペイン、スウェーデン、オランダにおいて、がん研究のために登録された約35万人の人に、食事について尋ねた。砂糖で甘くしたソフトドリンクの消費量は、糖尿病になるリスクを上昇させた』。この研究で、BMIが増加する影響を除いて考えても、糖尿病のリスクの上昇は認められた」。
(4)「Is Sugar Toxic?」 The New York Times、Gary Taubes、2011年4月13日
http://www.nytimes.com/2011/04/17/magazine/mag-17Sugar-t.html
「良いカロリー、悪いカロリー Good Calories, Bad Carolies」など、一般向け科学書の著者のGary Taubes氏は、次のように述べています。
http://www.nytimes.com/2011/04/17/magazine/mag-17Sugar-t.html
「良いカロリー、悪いカロリー Good Calories, Bad Carolies」など、一般向け科学書の著者のGary Taubes氏は、次のように述べています。
「1924年に、コロンビア大学公衆衛生研究所所長のHaven Emerson氏は、ニューヨーク市の糖尿病死亡者数が、南北戦争の頃と比較して、15倍に増えていることを報告した。また、いくつかの市では、1900年から1920年の間だけでも、糖尿病の死亡者数が4倍に増えていることを報告した。そして、砂糖の消費も、これと同じように増えていることを指摘した」。
「Emersonの主張は、Elliott Joslin によって反論された。Elliott Joslinは、糖尿病の最高権威である。Joslinは、この論争に勝った。Joslinは次のように述べた。『日本人は多くの米を食べる。しかし日本人には糖尿病はまれである。米は、ほとんど炭水化物であり、糖に変わる。つまり、糖は糖尿病を起こさない』。しかし、糖と炭水化物は同じではない。Joslinは、果糖がどのように代謝されるのかを知らなかったのである。またJoslinは、日本人が砂糖をわずかしか消費しないことを知らなかった。1960年代の初めの頃では、日本人の砂糖消費量は、100年前のアメリカ人の砂糖消費量と同じくらいであった」。
「Joslinは、その後の糖尿病の教科書においても『砂糖は糖尿病とは関係が無い』と述べている」。
(5)「Hypothesis: Could Excessive Fructose Intake and Uric Acid Cause Type 2 Diabetes?」 Richard Johnson、Endocr Rev. 2009;30(1):96-116
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2647706/
Richard Johnson氏は、以前はフロリダ大学にいましたが、現在はコロラド大学教授です。「The Sugar Fix」という本の著者です。同氏は次のように述べています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2647706/
Richard Johnson氏は、以前はフロリダ大学にいましたが、現在はコロラド大学教授です。「The Sugar Fix」という本の著者です。同氏は次のように述べています。
「我々は、果糖を1日に50g以上摂取することがメタボリック症候群と2型糖尿病をもたらすとする仮説を提案する。果糖の主な供給源は、砂糖(ショ糖)と液糖(高果糖シロップ)である。
理由1:世界中で、果糖の摂取量は、糖尿病の発症率と高度に相関する。
理由2:他の糖と異なって、果糖は、実験動物でもヒトでも、メタボリック症候群の状況をもたらす。
理由3:果糖は尿酸値を上昇させる。これが果糖がメタボリック症候群をもたらす仕組みの一つであると考えられる。現在の多くの実験的研究や臨床的研究は、尿酸がメタボリック症候群を産み出す要因であるとする説を支持している。
理由4:環境や遺伝について考慮すると、なぜ特定の集団は糖尿病に罹りやすいのかを理解できることが多い。
もし、糖尿病が過剰な果糖摂取によって生じるのなら、人々の健康改善に大きなインパクトを与えるような簡単な公衆衛生的対策が可能となる」。
理由1:世界中で、果糖の摂取量は、糖尿病の発症率と高度に相関する。
理由2:他の糖と異なって、果糖は、実験動物でもヒトでも、メタボリック症候群の状況をもたらす。
理由3:果糖は尿酸値を上昇させる。これが果糖がメタボリック症候群をもたらす仕組みの一つであると考えられる。現在の多くの実験的研究や臨床的研究は、尿酸がメタボリック症候群を産み出す要因であるとする説を支持している。
理由4:環境や遺伝について考慮すると、なぜ特定の集団は糖尿病に罹りやすいのかを理解できることが多い。
もし、糖尿病が過剰な果糖摂取によって生じるのなら、人々の健康改善に大きなインパクトを与えるような簡単な公衆衛生的対策が可能となる」。
(6)「Sugar and Global Diabetic Pandemic」 Robert Lustig 「Fat Chance」p126、2013年
カリフォルニア大学教授のRobert Lustig氏は次のように述べています。
カリフォルニア大学教授のRobert Lustig氏は次のように述べています。
「私は同僚と共に、食料農業機構FAOの世界食料供給量調査のデータと、世界糖尿病連盟IDFの罹患率データと、世界銀行の国民総所得のデータを比較した。154の国の2000年から2010年までのデータを比較した」。
「この10年間で、世界の糖尿病の罹患率は、5.5%から7.0%に増加した。世界の総カロリーは、世界の糖尿病罹患率とは相関していない。砂糖や砂糖穀物からのカロリーが食事全体に占めるパーセンテージは、糖尿病罹患率と高度に相関する。肥満の影響を除外した後でも、100キロカロリーが砂糖によって供給されるごとに、糖尿病の罹患率は0.9%上昇するという関係がある。摂取総量を一人当たり150キロカロリー増やしても糖尿病の罹患率はわずかしか上昇しないが、150キロカロリーを炭酸飲料で摂取すると、糖尿病の罹患率の上昇はその7倍になる」。
(7)糖尿病発症の一つの経路

参考にした図は、以下の図です。
「糖質はいらない」 白澤卓二教授、p93、「糖尿病発症のメカニズム」の図
「The Glycemic Index」 David Ludwig JAMA Vol 287, No 18 2002年5月8日、p2418の図
http://www.direct-ms.org/pdf/NutritionGeneral/Glycemic%20Index.pdf
http://www.direct-ms.org/pdf/NutritionGeneral/Glycemic%20Index.pdf
もちろん、糖尿病発症には、他の経路もあります。自己免疫性の疾患により、膵臓が障害される経路もあります。また、おたふく風邪ウイルスを始めとする病原微生物により膵臓が障害される経路もあります。嘔吐により吐物が膵管を逆流して急性膵炎となり膵臓が自己消化されるという経路もあります。