(1)外国の親権の政策
「親権、面会交流、親の責任」(Child Custody, Access and Parental Responsibility、カナダのEdward Kruk著、2008年)の第7章「外国の親権の政策」には、以下のように書いてあります。
-----------------------------------------------------------------------
1.アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、親権については、各州政府の管轄である。次の6つの州では、原則的に共同養育が適用され、おおむね平等な養育時間が割り当てられている。
アメリカ合衆国では、親権については、各州政府の管轄である。次の6つの州では、原則的に共同養育が適用され、おおむね平等な養育時間が割り当てられている。
アイオワ州では、裁判所は、片方の親が要求すれば、身体的共同親権を適用することができる。裁判所がそれを適用しない場合には、それが子どもの最善の利益に合致しないことを示す特別の事実を必要とする。
カンサス州では、養育の決定に際して、身体的共同親権が優先して選択される。
オクラホマ州では、裁判所は、おおむね等しい養育時間を両方の親に与える。ただし、裁判所が、それが子どもに有害であると判断した場合を除く。
テキサス州では、家族法には「共同の保護者」を原則的に適用するという規定がある。これにより、子どもの時間の少なくとも42%が非同居親に割り当てられる。
ウィスコンシン州には、「『原則的に、共同養育は、子どもの最善の利益にかなう』と、裁判所は判断しなければならない」という規定がある。
アーカンサス州には、「子どもに頻回で継続的な交流が両方の親との間に可能になるように、親権が与えられなければならない」とする規定がある。
他の20州では、家族法に「子どもは、両方の親と頻回で継続的な交流を行う」とする規定がある。2州では、判例法を適用している。3州では、「法的共同親権が望ましい」としているだけである。7州では、両方の親が望んだ場合にのみ、共同養育を原則的に適用する。13州では、共同養育を推進する文言が見当たらない。
2.イギリス
1991年に施行された「子ども法」では、「子どもが可能な限り両方の親と良い関係を維持することにより、子どもの福祉は提供される」とされる。しかし、この法律では、共同養育は、選択肢の一つとして適用されるに過ぎず、小さい子どもでは母親の単独親権が子どもの最善の利益にかなうと判断される場合がある。
1991年に施行された「子ども法」では、「子どもが可能な限り両方の親と良い関係を維持することにより、子どもの福祉は提供される」とされる。しかし、この法律では、共同養育は、選択肢の一つとして適用されるに過ぎず、小さい子どもでは母親の単独親権が子どもの最善の利益にかなうと判断される場合がある。
3.フランス
近年、フランスの家族法は、離婚の法的過程に人間性を与え、平和化する目的で、大幅に改正された。「フランス民法」は、解決法として、双方の親が「交互の住居」を選択するように勧めており、裁判所にそのような決定を行う権限を与えている。
近年、フランスの家族法は、離婚の法的過程に人間性を与え、平和化する目的で、大幅に改正された。「フランス民法」は、解決法として、双方の親が「交互の住居」を選択するように勧めており、裁判所にそのような決定を行う権限を与えている。
4.スウェーデン
「子どもと親の法律」では、両方の親が子どもに責任を持つことを強調している。裁判所は、片方の親の希望に反しても、共同養育を命じる権限を持っている。裁判所は、子どもが両方の親と密接で良好な関係を維持するという子どものニーズを、特別に大切なものとして考慮する。
「子どもと親の法律」では、両方の親が子どもに責任を持つことを強調している。裁判所は、片方の親の希望に反しても、共同養育を命じる権限を持っている。裁判所は、子どもが両方の親と密接で良好な関係を維持するという子どものニーズを、特別に大切なものとして考慮する。
5.オーストラリア
修正された家族法(2006年)により、平等な共同養育が原則的に適用される。別居や離婚の後は、裁判所は「等しい時間の共同養育」をまず第一に考慮しなければならない。もし、等しい時間が不可能であるとしても、子どもは相当に多くて意義のある時間を、両方の親と過ごさなければならない。
修正された家族法(2006年)により、平等な共同養育が原則的に適用される。別居や離婚の後は、裁判所は「等しい時間の共同養育」をまず第一に考慮しなければならない。もし、等しい時間が不可能であるとしても、子どもは相当に多くて意義のある時間を、両方の親と過ごさなければならない。
------------------------------------------------------------------------
(2)北ダコタ州の住民投票
北ダコタ州は、人口67万人の州です。来たる11月4日(火曜日)は、米国の中間選挙の投票日ですが、北ダコタ州では同時に、等しい共同養育に移行するかどうかの住民投票が行われます。
1.ワシントン・ポスト紙によれば、次のようです。Fathers' rights initiative makes North Dakota ballot(2014年7月23日)
父親の権利グループである「北ダコタ親の権利イニシアティブ」は、州の法律の修正を求めて署名を集めた。このグループの支持者たちは、15,001筆の署名を集め、うち14,400筆が有効と判定された。北ダコタ州では、住民投票のためには13,452筆が必要である。これにより、州の法律を修正するかどうかの住民投票が行われることになった。この修正案が成立すれば、両方の親は、離婚後も原則的に、親として等しい権利を持ち、子どもの養育を等しく行うことになる。
2.住民投票に関するNPOの情報提供サイトBallotpediaによれば、次のようです。North Dakota Parental Rights Initiative, Measure 6 (2014)。
・北ダコタ州では、2006年にも同様の修正案の住民投票が行われたが、その時は、賛成43%、反対56%で否決された。
・この修正案の共同提案者25人は、全て女性である。
・この修正案を支持するのは26団体で、反対するのは7団体である。
・修正案への賛成運動を行うための活動資金として、主に個人から計268万円が寄付された。修正案への反対運動を行うための活動資金として、北ダコタ弁護士会から500万円、北ダコタ弁護士会の家族部門から200万円、計700万円が寄付された。
・賛成派は次のように述べている。
社会科学の研究は、共同養育を支持している
現在の法律は、親の敵対を招いている
多くの子どもは、父親の顔を見ずに育っている
共同養育は、70%以上の人々に支持されている
法律家は、親同士が親権を争うと儲かる
・反対派は次のように述べている。
等しい共同養育では、母親が受け取る養育費が減ってしまう
現在の法律でも共同養育は可能であり、裁判官が子どもの最善を判断している
両親が遠く離れて暮らしている場合には、往復が煩雑である
・この修正案の共同提案者25人は、全て女性である。
・この修正案を支持するのは26団体で、反対するのは7団体である。
・修正案への賛成運動を行うための活動資金として、主に個人から計268万円が寄付された。修正案への反対運動を行うための活動資金として、北ダコタ弁護士会から500万円、北ダコタ弁護士会の家族部門から200万円、計700万円が寄付された。
・賛成派は次のように述べている。
社会科学の研究は、共同養育を支持している
現在の法律は、親の敵対を招いている
多くの子どもは、父親の顔を見ずに育っている
共同養育は、70%以上の人々に支持されている
法律家は、親同士が親権を争うと儲かる
・反対派は次のように述べている。
等しい共同養育では、母親が受け取る養育費が減ってしまう
現在の法律でも共同養育は可能であり、裁判官が子どもの最善を判断している
両親が遠く離れて暮らしている場合には、往復が煩雑である
3.実際の修正案は、次のように書かれています。
https://vip.sos.nd.gov/pdfs/Portals/ParentalRightsCirculatedPetition.pdf
「あらゆる親は、等しく親としての権利を持ち、等しく親としての義務を持ち、等しい時間の養育を行い、等しく子どもを住まわせる責任を持ち、等しく意思決定の責任を持つ。子どもの最善の利益とは、両方の親が、等しく親の権利を持ち、等しく親としての義務を持ち、等しい時間の養育を行い、等しく子どもを住まわせる責任を持ち、等しく意思決定の責任を持つことである。こうした親としての特質は、明白で確実な事実を示すことによってのみ制限されうる」
https://vip.sos.nd.gov/pdfs/Portals/ParentalRightsCirculatedPetition.pdf
「あらゆる親は、等しく親としての権利を持ち、等しく親としての義務を持ち、等しい時間の養育を行い、等しく子どもを住まわせる責任を持ち、等しく意思決定の責任を持つ。子どもの最善の利益とは、両方の親が、等しく親の権利を持ち、等しく親としての義務を持ち、等しい時間の養育を行い、等しく子どもを住まわせる責任を持ち、等しく意思決定の責任を持つことである。こうした親としての特質は、明白で確実な事実を示すことによってのみ制限されうる」
4.事前の世論調査は次のようです(2014年10月15日)The Bismarck Tribune "Measure 6 supporters claim lead"。
賛成:44%、反対:30%、まだ決めていない:26%。これは、北ダコタ大学の一部局が行った世論調査です。
賛成:44%、反対:30%、まだ決めていない:26%。これは、北ダコタ大学の一部局が行った世論調査です。
