「親権、面会交流、親の責任」Child Custody, Access and Parental Responsibility(2008年)という文書は、A4で約100枚の文書です。これを書いたEdward Kruk氏は、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の準教授です。次のように述べておられます。
 
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「親の権利」(親権)の視点が、現在広く採用されているが、子どものニーズと利益を考慮する「親の責任」の視点が、新しく現れている。この両方の視点の限界を考慮に入れて、親権と面会交流の政策を分析しなければならない。
 
離婚後に「訪問」や「面会」を行うのではなく、子どもが双方の親と意義のある関係を日々維持する時に、子どもは最もうまく育つ。子どもが、少なくとも40%の時間を、各親と過ごす共同養育において、その環境は最もよく実現される。共同養育は、子どもを片親から隔離する場合を除いて、全ての場合に適用されなければならない。
 
研究より明らかなように、親の間の争いは、共同養育では減少する。なぜなら、どちらの親も、子どもを失って親としての立場を失う恐れが無いからである。
 
共同養育では、時間の経過と共に、親の間の争いが減少し、協力が増加する。単独親権では、逆に、時間の経過と共に、親の間の争いが増加し、協力が減少する。
 
母親の単独親権は、しばしば片親疎外を引き起こす。そして父親が不在になると、子どもの将来が悪化する。子どものうつ状態、犯罪行為、家出、退学、自殺の率が高まる。
 
単独親権では、非同居親の目が届かない所で行われる虐待や暴力から子どもを守ることができない。
 
最近の研究は、単独親権の枠組みで「一つの基準を全員に当てはめること」や「勝者が全てを取ること」を止めるように推奨している。
 
共同養育では、子どもの行動異常がより少なく、自己評価がより高く、家族関係がより良く、学業成績がより良い。
 
親が離婚した子どもの70%は、両方の親と同じ時間を過ごす制度が最も良いと答えている。また実際に両方の親と同じ時間を過ごしている子どもは、離婚後も、両方の親と良好な関係を維持している(Fabricius 2003による)。
 
子どもの世話をする時間は、共働きの家庭では、母親が週に11.1時間であり、父親が週に10.5時間である。父親が子どもの世話をする時間が以前より増えて、時間の性差が無くなってきている。それで、共働きの家庭では、法的な争いによらない離婚の場合には、共同養育が標準になっている(Statistics Canada 2004による)。
 
次の4つを柱として提案する。
1.家族法により、共同養育を原則的に適用すること
2.養育計画を作ること。調停を行うこと。争いの激しいケースへ介入し支援を行うこと
3.共同養育についての教育を行うこと
4.虐待の有無を法的に判断すること。無ければ共同養育を強制すること
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著者のKruk氏は、次の文章中にも名前があります。
 
米国の「全国親組織」の「科学は共同養育を支持する」という文章
 
Kruk氏が、National Post紙 に書いた「半分ずつの共同養育は、親にとっても最高、子どもにとっても最高」という文章
 
ブリティッシュ・コロンビア大学にあるKruk氏の紹介文