砂糖と肥満について、以下のように、いくつかの文章を読みました。
 
(1)「あなたを太らせる『塩、砂糖、脂肪』のワナ」、東洋経済オンライン、2014.8.2
http://toyokeizai.net/articles/-/44413
 
これは、「フード・トラップ」という本を紹介した記事です。塩、砂糖、脂肪により肥満がもたらされることを紹介しています。
 
(2)「砂糖入り飲料による肥満関連の死者、世界で年間18万人 米研究」、CNN、2013.3.20
http://www.cnn.co.jp/world/35029737.html
 
CNNは、ハーバード大学公衆衛生大学院の研究結果を伝えています。このハーバード大学の研究は、砂糖入り飲料は肥満をもたらし死亡を増加させると述べています。
 
(3)「The possible role of sugar-sweetened beverages in obesity etiology: a review of the evidence」、international journal of obesity 30,828-836(2006年)、ミネソタ大学M A Pereica
http://www.nature.com/ijo/journal/v30/n3s/full/0803489a.html
 
「多くの調査研究は、1人当たりの砂糖入り飲料の消費量と、肥満の増加とは、明白な経時的な関連があることを示している。(中略)。世界保健機構WHOと国連食料農業機関FAOの2003年の報告書『慢性疾患の予防と栄養』の中で、砂糖入り飲料と肥満リスクの増加について、科学的証拠を基にして『おそらく確実』と評価した。そして、高カロリーで微量栄養成分に乏しい食品を多く摂ることが肥満を引き起こすことについては、『確実』と評価した」。
 
(4)「Sugary Drinks and Obesity Fact Sheet」ハーバード大学公衆衛生、The Nutrition Source
http://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/sugary-drinks-fact-sheet/
http://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/healthy-drinks/sugary-drinks/
 
「甘い飲み物は、肥満の蔓延の主要な原因である」。「ある研究では12万人の男女を20年間調査したところ、甘い飲料を飲む人では、時間の経過により体重が増加した。1日に340ミリリットルの甘い飲料を摂取するごとに、4年後に0.45kgずつ体重が増加した」。「別の研究では、子どもが毎日340ミリリットルの甘い飲料を摂取すると、1年半の観察期間中に、肥満となる割合が60%増加した」。
 
(5)「Is sugar causing the obesity "epidemic"?」NHS 2014年1月15日
http://www.nhs.uk/news/2014/01january/pages/sugar-obesity-qa.aspx
 
イギリス政府の国民保健サービスNHS(National Health Service)は、次のように述べています。
 
「先週、デイリーメール紙やインディペンデント紙は『砂糖は新しいタバコである』と報道したが、これは『Action on Sugar』という組織が報道発表したことを伝えたものである。『Action on Sugar』は、クイーンメリー大学のMacGregor教授ら18名による組織である。砂糖が多い食事の害を述べて、加工食品に含まれる砂糖を減らすように主張している」。
 
「英国に住むたいていの人は、砂糖を摂りすぎている。砂糖の多くは、我々が食べる食品の中に隠れた形で入っている。英国栄養協会British Dietetic Associationは、『砂糖は健康的な食生活には必要が無い』と述べている」。
 
「イギリス政府は、『加えられた砂糖』は、エネルギー摂取総量の10%を超えないことを勧めている」。
 
(6)「Sugar Is a Poison, Says UCSF Obesity Expert」 University of California San Francisco、2009年6月25日
http://www.ucsf.edu/news/2009/06/8187/obesity-and-metabolic-syndrome-driven-fructose-sugar-diet
 
カリフォルニア大学サンフランシスコ校は、「砂糖は毒物である」とするラスティグ教授の主張を伝えています。ラスティグ教授は、同校の小児肥満の研究者です。
 
(7)「Dietary sugars and body weight: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials and cohort studies」BMJ (2013);346、2013年1月15日、Lisa Morenga
http://www.bmj.com/content/346/bmj.e7492
 
この論文は、WHOが砂糖の摂取基準を総エネルギーの10%から5%に引き下げる際に、参考文献として挙げている2つの論文のうちの1つです。
 
「加えられた砂糖や甘い飲料の摂取は、体重を決定する要因である。砂糖の摂取により、エネルギー摂取量が増えるので、体脂肪量が増加するのである。エネルギー摂取量を一定にしておけば、他の炭水化物と砂糖を交換しても、体重の増加は起こらない」。
 
(8)「Understanding the Brain's Response to Sugar Could Help Treat Obesity」NIH NCATS 2013年12月
http://www.ncats.nih.gov/news-and-events/features/glucose.html
 
米国の国立健康研究所NIHの文章は、次のように述べています。
「機能的MRIを使えば、脳内の血流を測定することが出来る。そして、脳内のどの領域が活性化しているかを知ることができる。(中略)。ブドウ糖を摂取すると、食欲をコントロールする脳の領域の活動が低下する。また食物への好意的反応が低下する。被験者は、ブドウ糖の飲料を摂取した後では、満腹感を覚え、満足感を表明する。しかし、果糖では、そうはならない」。
 
(9)「WHO opens public consultation on draft sugars guideline」WHO Media centre、2014年3月5日
http://www.who.int/mediacentre/news/notes/2014/consultation-sugar-guideline/en/
 
世界保健機構WHOは、次のように述べています。
 
「WHOでは2002年より砂糖の摂取を、総エネルギーの10%以下にするよう勧めています。新しいガイドラインの計画案では、『砂糖の摂取を、総エネルギーの5%以下にすればなお良い』としています」。「ここで言う砂糖とは、全ての単糖類(ブドウ糖や果糖など)と全ての二糖類(砂糖すなわちショ糖など)のうち、製造者や調理人や消費者によって後から食品に加えられたり、ハチミツやシロップや果物ジュースの形で初めから食品に入っているものを指します」。
 
(10)「Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Disease」WHO FAO 2003年
http://www.fao.org/docrep/005/ac911e/ac911e00.HTM
 
肥満や体重増加を引き起こす要因や防ぐ要因について、WHOとFAOは、その要因の強さを評価して、表にまとめています。

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(11)「Launch of public consultation on WHO draft sugars guidelines transcript of virtual press conference」 WHO 2014年
http://www.who.int/mediacentre/multimedia/who_food_safety_sugar_consumption_05mar2014.pdf?ua=1
 
これは、世界保健機構WHOが砂糖の新しい摂取制限の計画案を発表する際に、報道機関との質疑応答をネット上で行い、それを文章化したものです。この文章の中で、WHOの担当者は次のように述べています。
「WHOは、砂糖が人々の健康に与える影響の問題に取り組んでいる。特に、加えられた砂糖が、肥満と虫歯という2つの大きい健康問題に与える影響について、取り組んでいる」。
 
「朝食用のシリアルには、1回分に約14gの砂糖が含まれている。肉にかけるソースには、1回分に約7gの砂糖が含まれている。また、1回分のヨーグルトには、砂糖が約6g含まれている」。
 
「砂糖の摂取が増えると体重が増え、砂糖の摂取が減ると体重が減る。これは、対照研究や、コホート研究で示されている。砂糖摂取の変化は、肥満リスクの変化となって現れる」。
 
「小さい子どものうちから砂糖を摂取すると、味覚が確かに変化するという研究がある」。
 
(12)「Potential role of sugar(fructose) in the epidemic of hypertension, obesity and the metabolic syndrome, diabetes, kidney disease, and cardiovascular disease」 コロラド大学教授Richard Johnson Am J Clin Nutr 2007年;86:899-906
http://ajcn.nutrition.org/content/86/4/899.full
 
「実験動物のげっ歯類においても、ショ糖を摂取するとメタボリック症候群が引き起こされる。それは、人間と同様に、ブドウ糖よりも果糖が原因であることが示されている。果糖でげっ歯類を飼育するとメタボリック症候群になるが、同じ量のブドウ糖で飼育しても、メタボリック症候群にならない」。
 
「果糖は、いくつかの異なったメカニズムにより肥満をもたらす。
 
①果糖は、ブドウ糖のような満足感をもたらさない。自由に食べて、飲料に果糖またはブドウ糖を入れた場合、食後に空腹度を翌日に評価すると、満足感が異なる。果糖は、ブドウ糖とは異なって、インスリンを増やさず、レプチンを増やさず、グレリンを減らさない。これらは、中枢神経系の満足中枢を刺激しない。
 
②ユドキンは、果糖(ショ糖)は、食べ物の風味を良くすると述べた。食品産業が高果糖の液糖をクラッカーなどに混入させるのは、味を良くする目的である。これにより、摂取量が増える。
 
③果糖で甘くした水で飼われたマウスでは、同じカロリーのデンプンで飼われたマウスと比較して、体重の増加が大きい。果糖は、基礎代謝を低下させている可能性がある」。
 
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(13)「Carbohydrate intake and obesity」ハーバード大学公衆衛生RM Dam、Europian journal of Clinical Nutrition (2007年)61(Suppl 1),s75-s99
http://www.nature.com/ejcn/journal/v61/n1s/full/1602939a.html
 
「確かに、摂取カロリーと消費カロリーの差により体重増加が起きるのであるが、これは人をだますような単純化である」。
 
「砂糖で甘くした飲料は、同じ熱量の固形の炭水化物と同じほどの満足感を与えない。それで、砂糖で甘くしたソフトドリンクの消費は、体重増加に結びつくのである」。