砂糖、ブドウ糖、果糖
 
 
砂糖 (蔗糖、シュークロース)
 
砂糖(蔗糖)は、サトウキビ、サトウダイコンから作られます。サトウキビやサトウダイコンに含まれる蔗糖を精製して作ります。
 
砂糖(蔗糖)の1分子は、ブドウ糖1分子と果糖1分子が結合したものです。
 
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ソフト・ドリンクに含まれる液糖は、ブドウ糖と果糖が混合しているだけで、結合していません。液糖を作るには、まずデンプンを分解してブドウ糖を作ります。次に酵素などを用いて、ブドウ糖の一部を果糖に変えます。こうして液糖が作られます。液糖は、砂糖より甘みが強く、安価です。
 
砂糖を摂取すると、砂糖は腸内上皮の酵素によりブドウ糖と果糖に分かれて吸収されます。
 
ブドウ糖(グルコース)
 
デンプンは消化されてブドウ糖となって消化管から吸収されます。デンプンは、ブドウ糖がたくさん結合してできたものです。たいていの生物は、ブドウ糖をエネルギー源としています。ヒトでも、全身の組織で、ブドウをエネルギー源として使っています。
 
血糖値というのは、血液中のブドウ糖濃度のことです。比較的一定の値にコントロールされていますが、糖尿病の人では、高くなることがあります。
 
逆に、血糖値が下がり過ぎることもあります。糖尿病の薬が効きすぎた場合などに起こります。低血糖になると、意識が無くなる場合もあり、最悪の場合死亡することもあります。
 
細胞内においては、ブドウ糖と酸素が結合して生きるエネルギーを作り出します。窒息により酸素が不足しても、低血糖によってブドウ糖が不足しても、生きるエネルギーを作り出せないという点では同じです。
 
食事をした後では、血糖値が上がります。すると、すい臓からインスリンが血中に放出されます。そのインスリンの作用により、ブドウ糖は細胞内に取り込まれます。そうして、血糖値は元の値まで下がります。
 
果糖(フルクトース)
 
果糖の代謝は、ブドウ糖とは全く異なります。ブドウ糖が全身の臓器で代謝されるのに対して、果糖はほとんどが肝臓で代謝されます。
 
果糖は代謝されて一部は中性脂肪TGになります。肝臓の中性脂肪は、蓄積して脂肪肝の原因になります。国立健康・栄養研究所の安全情報では、果糖の安全性について「フルクトースの多量摂取は、中性脂肪の蓄積をまねき、コレステロールの合成を促進する」と述べています。http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail566.html
 
NHKの「ためしてガッテン」は次のように述べています。「果糖は摂取すると肝臓に取り込まれ、その一部が中性脂肪に変わる性質があります。さらに果糖は、満腹感を感じにくいという特徴があるため、ついとりすぎてしまいがち」(2014年9月24日放送、「サラバ、血液のにごり 心筋梗塞を防ぐ新常識」より)。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20140924.html
 
カリフォルニア大学のラスティグ教授は次のように述べておられます。「果糖は、量依存性の肝臓毒である。果糖は、肝臓と骨格筋にインスリン抵抗性をもたらす。そして、高インスリン血症、脂質代謝異常、脂肪肝、肝炎をもたらす。果糖は、こうした点で量依存性の肝臓毒であるエタノールと同様である」(「The Fructose Epidemic」、Robert Lustig、The Bariatrician)。
http://podcast.uctv.tv/webdocuments/Fructose-Epidemic.pdf
http://podbay.fm/show/354127314/e/1264413600
 
ブドウ糖の代謝は、インスリンなどによってコントロールされています。しかし、果糖はコントロールされていません。砂糖(蔗糖)を多く摂った時や、液糖を多く摂った時に、ブドウ糖と果糖が血液中に多く流入します。ブドウ糖の血中濃度はコントロールされて下がりますが、果糖では思わぬ高値になることがあります。
 
ダイアモンド・オンラインにおいて医師の大西睦子氏は、次のように述べておられます。「ブドウ糖を摂取すると血糖値が上昇しインスリン濃度が上がり、食欲を刺激するグレリンというホルモンの分泌を抑えます。ですから、ブドウ糖を摂取すると満足感を得て、それ以上は食べ物を欲しません。ところが果糖は、インスリン分泌の刺激が弱く、血糖値も直接的には上げません。グレリンの産生が抑制できません。結果、果糖を摂っても満腹感が得られず、また空腹感が減らず、食べ物を欲したり食べ過ぎたりする可能性があると考えられるのです」(2013年12月2日、「天然甘味料でも要注意、米国で使用制限広がる『異性化糖(果糖ぶどう糖液糖)』があふれる日本」)
http://diamond.jp/articles/-/42181
 
果糖は、尿酸値を上げます。帝京大学医学部教授の山内俊一先生は「フルクトースないし砂糖の大量摂取者では、高トリグリセライド血症や高尿酸血症がしばしば見られる」と述べておられます。「フルクトースをめぐって」(Diabetes Frontier、21巻1号、2010年)

また山内先生は次のように述べておられます。「同腹で生まれたラットを出生後すく2群に分け、一方に高濃度のフルクトース含有水を飲ませ続ける(ショ糖群)と、コントロール群に比し18週齢頃より有意な体重増加が認められ、同時に高血糖と高インスリン血症が発現する。ヒトでも10週間、エネルギー比25%の高フルクトース含有飲料を飲用すると、対照としたしたグルコース飲用に比して著明な内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性の増大がもたらされた」(同書)。
 
果糖はメイラード反応をブドウ糖よりも速く行います。メイラード反応の最終産物には、変異原性があります(「Protein fructosylation: fructose and the Maillard reaction」William Dills、Am J Clin Nutr 58巻suppl、1993年)。
http://ajcn.nutrition.org/content/58/5/779S.full.pdf
 
果糖を長期にわたって多く消費すると、加齢の過程を進行させます(「Long-term fructose consumption accelerates glycation and several age-related variables in male rats.」、B. Levi、J Nutr 128巻9号、1998年)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9732303
 
果糖は、栄養学的に見て、必須の栄養素ではありません。生物学的な必要性はありません(「How bad is fructose?」George Bray、Am j Clin Nutr 86巻4号、2007年)。
http://ajcn.nutrition.org/content/86/4/895.full
 
カリフォルニア大学のラスティグ教授は、次のように述べておられます。「果糖は、視床下部においてレプチン抵抗性をもたらす。また、脳の報酬回路を活性化し、異常な欲求を引き起こし、持続的な消費をもたらす。この点で果糖は、アルコールと同様であり、果糖を『酔わないアルコール』と表現することができる」と述べておられます(前掲書)。
 
スイス、ローザンヌ大学のTappy教授は、次のように述べておられます。「果糖を多く消費するのは、思春期の人と青年期の人である。収入の少ない人は、収入の多い人より、果糖を多く消費する。どの年齢でも、果糖を最も多く体に取り込む経路は、ソフト・ドリンクである」(「Fructose and Metabolic Diseases」、Luc Tappy、Physiol Rev 90巻、2010年)。
http://physrev.physiology.org/content/90/1/23.long
 
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アンパン100gには、砂糖30gが含まれます。うち果糖は、約15gです。コーラ350ml には、砂糖が40g含まれます。うち果糖は約20gです。甘いお菓子100gには、砂糖が30g~50gほど含まれています。うち果糖は約15~25gです。なお正確には、100gのショ糖が加水分解すると100×180÷342=52.6gの果糖ができます。