問題の発端
1950年から1953年まで、朝鮮半島にて戦争がありました。この朝鮮戦争で死亡した韓国と米国の兵士は、解剖されました。韓国の若い兵士の冠動脈(心臓自身へ行く血管)は正常でしたが、米国の若い兵士の冠動脈は、プラークで9割方、詰まっていました。これだけ詰まっていても、ほとんど無症状でした。
脂肪か?
冠動脈が詰まっていることに衝撃を受けた米国政府は、兵士を含めた国民の栄養の改善に乗り出しました。当時、米国の兵士は、ステーキやアイスクリームを多く食べていました。韓国の兵士は、日本食とよく似た炭水化物の多い食事をしていました。両者の食事の比較から、脂肪の摂りすぎが原因であると考えて、国民に脂肪を減らすように呼びかけました。その後、10年経ち、20年経ち、30年が経ちました。そうして、米国国民の脂肪摂取は順調に低下しました。しかし、肥満する人の割合は減らないどころか、増える一方でした。また、心筋梗塞で死亡する人も増える一方でした。どうやら、脂肪は、冠動脈の詰まりの原因では無かったようです。

コレステロールか?
米国政府は今度はコレステロールが原因であると考えました。そうして、コレステロールを減らすように呼びかけました。しかし、コレステロールの9割は体内で作られます。食事に由来するコレステロールはわずかに1割です。だから、食事の違いで米兵と韓国兵のような大きな差がつくはずは無いのです。また、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の正常値は、120までということになっていますが、最近ある学会では男性では178までが正常値であると述べています。極端な違いがあります。コレステロール対策をしても、肥満する人は減らず、心筋梗塞で死亡する人は減りませんでした。どうやら、コレステロールも、冠動脈の詰まりの原因では無かったようです。
砂糖か?
英国の生理学者のジョン・ユドキン博士は、1972年に砂糖が心臓病の原因になっている可能性を指摘しました。2009年に、米国の小児内分泌学者であるロバート・ラスティグ教授は、「Sugar: bitter truth」というカリフォルニア大学テレビの講演の中で、根拠を示して、砂糖が心臓病を引き起こすと述べました。
英国の生理学者のジョン・ユドキン博士は、1972年に砂糖が心臓病の原因になっている可能性を指摘しました。2009年に、米国の小児内分泌学者であるロバート・ラスティグ教授は、「Sugar: bitter truth」というカリフォルニア大学テレビの講演の中で、根拠を示して、砂糖が心臓病を引き起こすと述べました。
米国心臓病協会AHAは、女性は1日に25gまでの砂糖摂取、男性は1日に37.5gまでの砂糖摂取に止めるように勧めています。世界保健機構は、1日2000kcal摂取する人なら、新しい基準では1日に25gまでの砂糖摂取を勧める予定です。
砂糖は、原因のすべてではないとしても、少なくとも原因の一つになっているようです。
砂糖は、原因のすべてではないとしても、少なくとも原因の一つになっているようです。