ジーン・シャープ氏Gene Sharpの文章「非暴力的な運動における権力の役割」(The role of Power in Nonviolent Struggle )を読みました。A4で21枚の文章です。
ジーン・シャープ氏は、アメリカの政治学者で、マサチューセッツ大学名誉教授です。同氏は「独裁体制から民主主義へ」という本を書いており、アラブ民主化運動など、独裁国家を民主主義国家にする運動の理論的支柱になっています。
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詳しく検討してみると、支配者の権力の源泉は、支配される人々の従順さや協力に強く依存していることが分かる。もし、人々が支配者の支配を拒絶するするならば、支配者の統治を可能にする合意や同意は無くなるのである。
詳しく検討してみると、支配者の権力の源泉は、支配される人々の従順さや協力に強く依存していることが分かる。もし、人々が支配者の支配を拒絶するするならば、支配者の統治を可能にする合意や同意は無くなるのである。
問題は、何をどうするかである。何をどうすれば良いかの知識が人々には無いので、効果的に行動できないのである。一つは、人々が専制政府への協力を拒否することを、明確に表明することである。もう一つは、グループ行動など、多くの者と共に行動することである。支配する少数者は結束しているのに、支配される多数者は自分たちの組織を持たないのであれば、反対運動の組織化は不可能である。支配者は、人々を一人ずつ扱えば良いのである。抵抗や反抗は、協力して行わなければならない。
非暴力闘争は、(1)非暴力の抗議や説得、(2)非協力、(3)非暴力の介入の3つに分けることができる。(1)非暴力の抗議や説得は、象徴的なレベルの行動である。行進、ピケ、ポスター貼り、抗議集会などである。(2)非協力には、意図的中断、差し控え、現在ある関係の無視などが含まれる。ボイコットやストライキなどの手段がある。(3)非暴力の介入は、現在の状況に介入して、何らかの変更をもたらすものである。座り込み、非暴力的な妨害、新しい社会機構の樹立、別の経済体制の樹立、投獄を辞さないこと、協力せずに働き続けること、第二政府の樹立などである。
非暴力的な運動は、次のようにして、権力の源泉を弱体化させる。
1.権威‥‥‥‥‥非暴力運動により、支配者の権威は否定される
2.人的資源‥‥‥非暴力運動により、従順さや協力は、差し控えられる
3.技術や知識‥‥重要な技術や知識を持つ人の非協力により、支配者は弱体化される
4.無形の要因‥‥運動により、支配者に対する従順さや忠誠心は、差し控えられる
5.物質的要因‥‥運動により、支配者への物質資源の提供は、差し控えられる
6.制裁‥‥‥‥‥運動により、警官や兵士は、命令に素直には従わなくなる
1.権威‥‥‥‥‥非暴力運動により、支配者の権威は否定される
2.人的資源‥‥‥非暴力運動により、従順さや協力は、差し控えられる
3.技術や知識‥‥重要な技術や知識を持つ人の非協力により、支配者は弱体化される
4.無形の要因‥‥運動により、支配者に対する従順さや忠誠心は、差し控えられる
5.物質的要因‥‥運動により、支配者への物質資源の提供は、差し控えられる
6.制裁‥‥‥‥‥運動により、警官や兵士は、命令に素直には従わなくなる
非暴力の行動がもたらす変革には、(1)転向、(2)和解、(3)非暴力的強制、(4)崩壊の4つがある。(1)転向は、支配者が、非暴力運動の主張を正しいものとして認めて受け入れることである。転向は、たまにしか起こらない。(2)和解では、支配者は、非暴力運動の要求を部分的に容認する。支配者がそうするのは、内紛を終息させたり、損失を最小にしたり、大きい災難を予防したりするためである。(3)非暴力的強制は、支配者の意思が遮断され、人々による支持が地すべり的に無くなった時などに起きる。(4)崩壊は、支配者の権力の源泉が、完全に絶たれた時に起きる。
非暴力の運動は、残忍な支配者や軍事政権を相手にして、強力な力を発揮することができる。なぜならば、非暴力の運動は、ヒエラルキー組織である専制政府の最大の弱点(人々への依存)を攻撃するからである。
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