以下のような本を読みました。
 
(1)「甘さと権力 
 (一週間に8ポンドもの砂糖を消費する鉱夫の家計について) 「それゆえ、彼らの食事の基礎は、白パンとマーガリン、コーンビーフ、砂糖入り紅茶、ポテトである。なんとひどい食事だ」(p408)
 
「食べて下さいと言わんばかりに誘惑する安くてうまいものは、常に存在しているのだ。3ペンスでフレンチ・ポテトを食べよう。外へ出て2ペンスのアイス・クリームを買おう。やかんでお茶を沸かして、紅茶を飲もう。(中略)。少なくとも多くの人はそう考えるだろう」(p409)

「砂糖が全カロリー摂取量の30%程度にも上る人々にとって、砂糖が市場から消えるということは、アルコールや煙草、刺激性飲料が不足するのと同様の反応を引き起こすのである」(p410)
 
上記の食事は、果物と野菜が不足しています。また、白パンよりも穀物パンがお勧めです。バターやマーガリンは摂らないのがお勧めです。脂肪は、魚の脂肪から摂るのがお勧めです。オリーブオイルや透明のごま油を、野菜にかけて摂る手もあります。砂糖やカフェインは摂らないのがお勧めです。紅茶の代わりに、低脂肪の牛乳がお勧めです。
 
「食品会社は、栄養専門家の学会の教育活動や個々の研究者の研究に日常的に資金を提供し、栄養学者は教育や研究やもっと製品に関連した事柄について、日常的に食品会社の相談にのっている。私自身の経験からいって、栄養学者が何らかの形で食品会社と関係をもたないことは不可能である」(p138)
 
著者のマリオン・ネスルは健在で、現在も活発に活動を行っています。
 
「生理学的にみて、砂糖を摂る必要は全くない」(p21)

「砂糖の働きについて、すでに知られている事柄のほんの一部分でも、使用されている他のどんな食品添加剤にに現れたとしたら、その物は、即刻使用禁止にされるであろう」(p21)
 
この本は、1976年の初版を訳したものです。ユドキンもこの本の中で、栄養学者と食品会社との関係について述べています。
 
(4)「Fat Chance
「北極探検家のステファンソン  (Vilhjalmur Stefansson)(1879-1962)は、1900年代の初めに、北極エスキモーのイヌイットの所で、数年間暮らした。イヌイットは、炭水化物を全く摂らない。彼は、イヌイットでは、がんや心臓病や糖尿病の罹患率が非常に低いことを世界で最初に報告した。彼は、1920年代にアメリカ合衆国に戻ってから、ある実験を行った。彼は、医学的な監視の下で、1年間にわたって、肉だけを食べて暮らした。彼は、健康について悪い影響は特に認められなかったと報告している」(p106)
 
著者によれば、最近ではイヌイットの所でも、加工食品が販売されているので、上記のような状況は、残念ながら、失われているとのことです。

なお、生肉には、グリコーゲンが含まれるので、炭水化物を全く摂っていないわけではないそうです。炭水化物を全く摂らない食事も、1年という短期間なら、大きなトラブルは、(主観的には)少ないかもしれません。イヌイットも、狩により魚と生肉だけで暮らすのは、1年のうち数ヶ月間だけであるそうです。