砂糖の毒性に関して、記事を2つ読みました。
 
(1)「WHOの砂糖の新提案で、嵐が吹き荒れている」Storm brewing over WHO sugar proposal 、Nature 2014年3月13日、Vol 507, p150
http://www.nature.com/polopoly_fs/1.14854!/menu/main/topColumns/topLeftColumn/pdf/507150a.pdf
 
これは、イギリスの科学雑誌 Nature の記事です。科学記者のBrian Owensによる記事です。
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過去にWHOは、「大人の1日の砂糖摂取量は、総摂取カロリーの10%を超えてはならない」という基準を作成した(2003年)。米国砂糖協会は、ワシントンDCに本部を持っており、食品産業の強力なロビー集団の一つであるが、この時には、「WHOがその基準を緩和しないのなら、WHOへの寄付を停止する」として米国政府に圧力をかけた。WHOは、この基準を緩和しなかっただけでなく、今回(2014年3月5日)、この基準をさらに厳しくして、5%以下とする計画を発表した。

このWHOに追随して、科学者たちは、食品産業との戦いを激化させている。マサチューセッツ州ボストンにあるハーバード大学公衆衛生学の栄養学の長であるWalter Willet教授は、「新しい基準には合理的な理由がある。摂取カロリーの5%を超える砂糖を摂取すると、糖尿病の危険性が高まる」と述べている。
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             (Brian Owensによる図。同文書より)
 
 
(2)「砂糖の毒性についての真実」The toxic truth about sugar、Nature 2012年2月2日、Vol 482, p27

これも、イギリスの科学雑誌 Nature の記事です。この記事を書いたのは、カリフォルニア大学のRobert Lustig教授らです。
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砂糖の消費を減らすためには、タバコとアルコールの対策が参考になる。タバコとアルコールの対策で効果があるのは「供給サイドの対策」である。すなわち課税、販売制限、年齢制限である。

我々は、砂糖(蔗糖やコーンシロップ)を加えた食物への課税を提案する。カナダやいくつかのヨーロッパの国では、甘くした食品に、少額の課税を実施している。アメリカ合衆国もソーダ1リットルにつき34セントの課税を検討している。しかし、この課税では、消費を減らすことはできない。1本1ドルのソーダ缶を、2ドルにすべきである。

もう一つの効果的な対策は、販売の制限である。例えば、小売店が開いている時間を減らすとか、小売業者の密度や場所を制限するとか、購入できる人を制限するなどである。アメリカ合衆国の多くの学校は、ソーダの自動販売機を撤去したが、ジュースやスポーツドリンクの自動販売機を撤去していない。
 
ある年齢(例えば17歳)までは、砂糖の入った飲料を買うことができないような規制を提案する。南フィラデルフィアやペンシルバニアの親たちは、コンビニ店の前で、子ども達への働きかけを行っている。
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