以下のような、「虫歯の歴史」という文章を書いて、Wikipedia 「う蝕」に加筆しました。
 
(英語版Wikipedia の「う蝕」Dental Cariesにあった「歴史」の項目を読みました。また、参考文献に挙げた文献「Epidemiology of Dental Disease」を読みました)。



虫歯の歴史
(出典は主に英語版Wikipedia)
  • 旧石器時代の化石人類には、虫歯は極めてまれであった[46]
  • 今から100万年以上前にいたオーストラロピテクスには虫歯があった。
  • 狩猟採集生活から、農耕生活に移行すると、虫歯は増加した。
  • 紀元前5000年ごろ、シュメール人は、歯にいる虫が、虫歯を作ると考えていた。同様の考えは、インド、エジプト、日本、中国にも見られた。
  • 古代エジプト人の虫歯は、現代人よりはるかに少なかった。当時は、精製された炭水化物が無かったからである。ただし、石臼を使って穀物粉を作ったために、石の粉が混入して、歯が磨耗する問題があった[46]
  • ローマ帝国では、「調理した食品」の消費が増えて、虫歯は少しだけ増加した。
  • 西暦1000年以前では、虫歯を持つ人の割合は、3~4%であり、どの集団も10%以下であった。しかし、西暦1000年ごろ、サトウキビが西洋社会に紹介されて、虫歯を持つ人の割合は大きく増加し、24%ほどになった[46]
  • 近代歯科学の父と呼ばれるピエール・フォシャールPierre Fauchardは、虫が虫歯を作るのではなく、砂糖が歯や歯肉に悪い影響を与えてできると述べた。
  • 1850年ごろに、さらに虫歯の数が急増した。産業革命により、サトウキビの利用が増大し、精製小麦粉、パン、甘い紅茶が摂取されるようになったからである。
  • 1890年代に、W.D.Millerは、口の中にいる細菌が、炭水化物から酸を作り、それが歯の構造を破壊するという説を提唱した。
  • 1924年に、ロンドンにいたKilian Clarkeは、う蝕の部位から、連鎖球菌のストレプトコッカス・ミュータンスを発見した。Kilian Clarkeは、これがう蝕の原因菌であると主張したが、それが証明されたのは1960年代であった。
  • 第二次世界大戦中、砂糖の不足により、日本、ノルウェイ、アイルランドでは、砂糖の配給制が行われ、虫歯が減少した[46]

 翌日(2013.12.19)追記
Wikipedia 「う蝕」に、下のような「動物の虫歯」を加筆しました。

動物の虫歯
野生動物には虫歯は無い[48]。しかし、霊長類のうち、果物を多く食べる種には、虫歯ができることがある[49]。虫歯を持つ頻度が高いのは、チンパンジー>オラウータン>ゴリラである[46]
ペットには、しばしば虫歯ができる。歯科のある動物病院もある。