①「高葛藤家族の別居後の養育」(関係者のマニュアル)を読みました。
Parenting after separation for families in high conflict

これは、カナダのアルバータ州政府の文書です。A4で100枚の文書です。その3分の1だけを読みました。この文章のまえがきには、次のように書いてあります。

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多くの家族は、高葛藤を経験する。高葛藤は、多くの場合、本来なら比較的簡単であるはずの問題を扱うために、彼らを法廷に連れ戻す。彼らは、たいていの場合、協力して活動することができない。なぜなら、彼らの紛争のゴールとは、誰が正しくて誰が誤っているかを決めることだからだ。また、ある者にとってゴールとは、支配力を得てそれを維持することであり、また別の者にとっては、仕返しをすることである。

多くの高葛藤の家族にとって、すべての話題は、葛藤の源泉になりかねない。親たちは、「1センチ譲れば、1キロ取られてしまう」などと言って、「もし防御の手を緩めると、有利さを全て奪い取られてしまう」と、強く警戒している。

別居のこの分野の研究は、両親の間に継続的な葛藤があれば、子どもの小さい頃の適応や大きくなってからの適応に、大きな障害となることを明らかにしている。葛藤において忘れ去られているのは、子どもが何を必要としているかである。
 
私は誰なのか
 
私の中には、母親と父親がいる
私がどこへ行こうと、彼らは私の一部分である
彼らが離婚したとき、彼らは互いを嫌っていた
彼らは私を嫌っていたのだ
彼らが互いを傷つけ合っていた時、彼らは私を傷つけていたのだ
母親が、私を父親に会わせたくなかったとき、母親は私の顔を見たくなかったのだ
父親が、私が母親を好きであって欲しくなかったとき、父親は私を好きではなかったのだ
今、それは終わって、彼らはうまく付き合えるようになった
今、私の中の母親と父親とともに、私は本当の自分になることができる 
(レイチェル、11歳)
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Greifは「Out of Touch」という本の中で、「離婚後に起きるトラブルを防ぐためにできる重要なことを3つ挙げるとすると、それはコミュニケーション、コミュニケーション、コミュニケーションである」と述べています(p199)。

また、交渉の技術を持っていないことは、家庭不和の大きな原因になります。先日の集会において、棚瀬先生は「ハーバード流、NOと言わせない交渉術」を必読書として挙げておられました。

また、ポジティブ心理学は、自分の良い点に注目し、相手の良い点に注目するように勧めています。そうしないと、自分は不幸になり、相手とは不和になります。斉藤一人氏は「ツイてる、と何回も言えば良い」と勧めておられます。


②日本医師会の周産期・乳幼児保健検討委員会は、生育基本法の制定に向けて、平成25年10月に、日本医師会長あてに答申を行いました
 
この答申は、生育基本法の制定を提案しています。しかし、今回の答申に含まれるのは、制度の骨格と理念の部分のみであり、具体的な実施方法については、引き続き検討すべきであるとしています。
 
我々に関係するのは、この答申の次の部分です。
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「生育基本計画に盛り込むべき事項」

(5) 養育者の育児への参画を支援する制度の充実
母親だけでなく父親および祖父母や近親者などの養育者の育児への参画を充実させるための、国、地方公共団体、地域、職場の施策を実施するための計画を立てる。
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この部分については、特に文句はありません。具体的に、何をどうするかが問題です。次のようなことが考えられます。
・片親家庭の子どもが精神的トラブルを抱えている場合の指導
・子どもの精神的発達には、父親の関わりが不可欠であることの広報
・英語の小児科学教科書に書いてあることを実践


③NYTニューヨーク・タイムズの「Skypeを用いた面会交流」という記事を読みました。
この記事によれば、以下のようです。なお、Skypeというのは、インターネットを用いた無料のテレビ電話のことです。(両者が共にパソコンでインターネットを通じてSkypeを使えば無料ですが、固定電話や携帯電話を使うと有料です)。
 
・10余りの州が、バーチャル面会交流法を施行している。この法律は、Eメールや、ウェブ・カメラや、その他のインターネットを用いた仕組みを、子どもと親との接触を維持する目的で、裁判官が採用することを認めている。
・こうした法律は、2004年にユタ州で最初に成立した。ユタ州のある父親が、4歳半の娘と、Skypeを用いて交流することを、裁判所に求めたことをきっかけとして法律が作られた。
・この父親は、「会話の時間は、電話では平均5分であったが、Skypeでは平均15分である。最も長いときは45分であった」と述べている。
・パソコンの画面を通して会話をすることは、全く何もしないよりは、良いように見える。
・しかし、パソコン画面いっぱいの父親の顔が、週末の交流に匹敵するわけでもない。また、母親が画面で見るサッカーのトロフィーは、実際のサッカー観戦に比べるべくもない。
・文明の利器は、常に両刃の剣である。Skypeによる面会交流が裁判所によって採用されるようになると、同居親の長距離移動が、容易に許可されるようになるかもしれない。
・あるオーストラリアの父親は、母親を遠くに転居させないために裁判所で戦っていた。しかし、「Skypeを使えば、時間と空間を乗り越えられる」と考えて、戦いをやめて母親の転居を容認することにした。しかし子どもは、Skyapeを使った会話で、「遠くへ行くのは嫌だ」と父親に言った。


(後日記入2013.11.21)
この内容の一部をWikipedia 「面会」の「スカイプを用いた面会交流」に投稿しました。