(1)徒然草は、「何事にも先達は、あらまほしき」と述べています。それはその通りですが、事はそう簡単ではありません。
先達に教えてもらうためには、「岩清水八幡宮は、複雑な構造をしており、訪問すればすぐ分かるような単純な構造ではない」ことを、事前に知っていなければなりません。教えてもらうためには、「自分は岩清水八幡宮の構造を良く知らない」という自覚が必要です。
しかし、自分が知らないということは、どうすれば分かるのでしょうか。私は、私の知らないことを、事前に知るには、どうすれば良いのでしょうか。例えば私は、良い成果を挙げるために、あと何を学べばよいのでしょうか。
自分の先達が、どこにいるのかという問題もあります。これまでに良い成果を挙げた人なら誰でもよいのでしょうか。鴨川をよく知っている人でも、岩清水についてはあまりよく知らないかもしれません。
適切な先達が身近にいたとして、その先達がヒマかという問題もあります。複雑なことを教えるには、多くの時間がかかります。有能な人は忙しいので、我々を個別に教えてくれるような時間は無いかもしれません。
いずれも、「コミュニケーションの失敗」を引き起こします。ところで、日本ではがんで亡くなる人が1年間に30万人もいます。がんの過半数は予防可能ですが、その30万人の死亡の一部は、リスク・コミュニケーションの失敗によるものである可能性があります。人間に起きる病的現象の一部は、先達がいれば防げるようなリスク・コミュニケーションの失敗によって起きている可能性があります。
(2)慶応大学眼科の坪田教授の本「理系のための人生設計ガイド」は、この方面の先達が、我々に詳しく直接に教えてくれる本です。こういう本は貴重です。
坪田教授は、慶応の教授になる頃には、英文の論文が250編、和文の論文が250編あったそうです。坪田教授は、非常に忙しい時間の中で、一般向けの本を多く書いておられます。若い人が必要とすることを、懇切丁寧に、教えて下さっています。この本に書いてあることを、若いうちに身につけておけば良かったということです。
(3)職場の5分だけの勉強会で、坪田教授の別の本「理系人間のための人生戦略」を読みました。これは、主に精神論の部分を扱っています。
①人生で何をしたいかを決めよう (不明な場合は自分を観察する)
②自分は何に向いているかを知ろう
③何をどうすべきかを考えよう (具体的な短期目標、長期目標を作る)
④気楽なコミュニケーションの力を学ぼう
⑤自分は自由なのだと知ろう (何をするか、①を基にして判断する)
⑥すぐやる、100%やる、ごきげんにやる
自分がどちらの方向に向かおうとしているかを明らかにして、そちらへ真っ直ぐに進むということです。これもVW(ビジョンとハードワーク)を目指すものです。