(1)米国厚生省の「父親が子どもに関与するために(1)」Building Blocks for Father Involvement という文書を読みました。

アメリカ合衆国政府は、子どもの教育プログラム「Head Start(さい先の良いスタート)」に出資していますが、このプログラムの主要な内容の一つは、父親が子どもへの関与を増やすことです。この文書は、そのプロラムの中で、父親の関与を増やす意義について説明したものです。以下のような文章がありました。

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約30年前に、発達心理学の最高の学者であるマイケル・ラム氏は、「子どもの発達における父親の貢献が忘れられている」と述べて、子どもの発達に、父親が重要な役割を果たしていることを、我々に気づかせてくれた。

その時以来、子どもの健全な発達に父親がいかに重要で独特な貢献をしているかを調べる研究が多数行われてきた。その結果、研究者たちは次のことを理解するに至った。子どものうち、母親と父親が充分に関与して育った子どもは、より高い運動能力と知的能力を持ち、身体的健康や精神的健康を享受し、より巧みな問題解決能力を持ち、より自信に満ち、より好奇心豊かで、人の気持ちをよりよく理解できるのである。

父親が充分に関与して育った子どもは、学校から脱落することがより少なく、学業成績がより良好で、大学へより多く進学し、成長しても、犯罪や暴力行為に加担することがより少なく、結婚せずに早期に子どもを持つことがより少ない。

(ブッシュ大統領は、2001年に、次のように述べた)
「過去40年以上にわたって、父親がいないことは、我々の社会にとって深刻な問題であり続けている。我々が理解しているのは、父親のいない家庭で育った子どもは、長く続く精神的ダメージを受けることだ。父親のいない家庭で育った子どもは、貧乏で終わり、あるいは学校からドロップアウトし、薬物中毒になり、結婚外で子どもを作り、刑務所で終わるなどの可能性が、より高いのである。父親がいないことは、そうした状況の唯一ではないが重要な要因であることを、我々の国は認識しなければならない。」

(クリントン大統領は、1995年に、次のように述べた)
「我々の社会において、最も大きい社会問題は、子どもの住むところから、父親がいなくなる割合が増えていることであろう。なぜなら、それは多くの社会的な問題を引き起こすからである。子どもの案内をして子どもを助ける父親がいなくて、子どもの世話をする父親がいなくて、男の子に男らしい大人になるにはどうすれば良いかを教える父親がいなくて、女の子に男から尊重されるように教える父親がいないのならば、この問題はもっと深刻なものになる。」

父親は、家庭内の2人目の大人ではない。はるかにそれ以上のものである。子どもに充分に関与する父親は(特に生物学的父親は)、子どもに、他の誰も行うことができないようなポジティブな利益をもたらす。父親は、子どもを守り、経済的に支え、男の性役割モデルとなる。父親の育児の仕方は、母親のそれとは相当に異なっている。そして、この差は、子どもが健全に発達するのに重要である。
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オバマ大統領も、父親は子どもにしっかり関与するように呼びかけています。
・ テレビCM
・ 父の日の演説


(2)同じ文書の後半は、父親と母親の違いについて述べています。
 
子どもに接する時間は、母親の方が長いですが、子どもに与える影響は、父親も母親と同じくらい大きな影響を与えます。父親と母親は、以下のように異なっていて、子どもの健全な発達には、両者が共に、子どもに密接に関わることが必要です。

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父親は、子どもと遊ぼうとするが、母親は、子どもの世話をしようとする。父親は、子どもをくすぐり、子どもにタックルし、子どもを空中に放り投げる。母親は「まあ、そんなに高くして」などと言う。父親は、時には怪獣の役で、子どもを追いかける。父親が遊ぶときの声は大きいが、母親は静かに話す。母親は、ゆりかごを、ゆっくり揺らすが、父親は強く揺さぶる。父親は競争を奨励するが、母親は平等を尊ぶ。父親は子どもの自立を奨励するが、母親は子どもの安全を願う。

父親は子どもに、いつ「もう充分とするか」とか、いつ「休止するか」を教えて、自己コントロールの仕方を教える。父親は子どもに、臆病と攻撃的の中庸を教える。子どもは、母親の温和さと、父親の荒々しさの両方を必要とする。父親と母親が、それぞれの仕方で、愛情と親しさを子どもに伝えることにより、子どもは安心感と自信を得る。

子どもの遊び場に行って耳を澄ませば、子どもに、もっと高くとか、もっと早くとか言って励ましているのは誰かが分かる。また子どもに注意するよう促しているのは誰かが分かる。父親は子どもが限界を超えることを奨励するが、母親は危険に注意を払うよう促す。

母親は通常、言葉を単純化して、子どものレベルで話す。父親は、自分の言葉をあまり修正しない。

父親の話は、より短く、より直接的で、より的を得ている。顔つきで表現し、微妙なボディー・ランゲッジを使って表現する。母親は、もっと説明的で、個人的で、言葉を使って子どもを元気づける。

父親は、正義や公正さや義務(ルールに基づくもの)に重きを置くが、母親は共感や世話や援助(人間関係に基づくもの)に重きを置く。父親と母親の両者がいれば、健全で適切なバランスを作りだすことができる。

父親は子どもに、現実社会の厳しさに備える準備をさせるが、母親は、それから子どもを守る。

父親と母親とでは、食べ方が異なる。着物の着方が異なる。人生の生き方が異なる。

父親は、子どもが16歳から22歳くらいの時に、(特に男の子どもに)労働市場を紹介する。父親が近くにいないと、子どもは、最初の仕事を手に入れるのに必要なモチベーションや知り合いを持っていないことがある。

男の子は、自分の男らしさと力を、ポジティブなものに変換する仕方を父親から学ぶ。父親は、適切な男らしさや年齢相応の行動がどのようなものかを、男の子が理解する手助けをする。母親がこうしたことを男の子に教えるのは困難である。
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「男と女には差はない」と考えておられる男の人は、1ヶ月間くらいハイヒールをはいて暮らしたら良いでしょう。女とは違う生き物であることが分かるでしょう。男用のハイヒールは手に入りませんが、背を高く見せるクツは売られています。
 
男と女では、生殖の仕組みが違います。生殖に費やすコストも異なります。子どもを多く作ろうとしたときに、男では上限はありませんが、女では20人を超えることは困難です。男と女では、生きてゆくための戦略が異なります。ジョン・グレイは「男は火星人、女は金星人」と述べています。

ミードの「女はこうして作られる」は、生物学を全く無視した感想文です。サモアの女の子達による小遣い稼ぎのガセネタです。

そもそも、女親と男親が、同じで差は無いのなら、親は一人で充分ということになります。実際、赤ちゃんの食事の介助をするだけなら、親は一人いれば充分です。しかし上記のように、子どもの精神的発達には、全く別の存在である父親と母親の両者が共に必要なのです。上記の文は、男親がぜひ必要な理由を説明しているのです。
 
アルカイダの打った弾丸を支配する物理法則と、アメリカ軍が打った弾丸を支配する物理法則は同一です。「いろいろな立場があり、いろいろな考え方がある」のではありません。唯一絶対の自然科学があるだけです。それを無視すれば、損するだけです。

(3)不眠症の治療薬メラトニンについて、Wikipedia 英語版の「不眠症」のメラトニンの項目を以下のように訳して、日本語版に加筆しました。

内科外来患者さんの5%くらいは、不眠症の患者さんであると、私は推定しています。睡眠薬には、習慣性があって、ひとたび飲み始めると、やめられなくなる場合があります。続けて飲んでいると、次第に薬の効き目が悪くなって、量が増えてゆく場合があります。そうなると、どこまで増えても止まりません。ついには、マイケルジャクソンのようなことになる場合もあるのです。可能なら、薬物を使わない一般療法がお勧めです。眼科の坪田先生は、メラトニンを飲んでおられるそうなので、以下のように Wikipedia 英語版で調べてみました。

メラトニン
メラトニンは、松果体で合成され、暗闇中または夜に血液中に分泌されるホルモンであり、睡眠のサイクルをコントロールしている[28]

メラトニンの類似物質である
ラメルテオンの研究結果は良好である[29]。ラメルテオンとタシメルテオンは、メラトニンのリズムを変えて、睡眠時間を増やす。しかも翌日に不快な症状をもたらさない。また今のところ、習慣性があるという証拠は無い。しかし、メラトニン系のたいていの薬剤は、長期に服用した場合の副作用については、まだ充分には明らかではない。FDA(米国食品医薬品局)は、現時点では全てのリスクが明らかではないとして、ラメルテオン以外の薬品を承認していない。ラメルテオンを服用する場合は、寝る直前に服用するのが良い[30][31]

研究によれば、自閉症の範疇の病気、学習障害ADHD(注意欠陥・多動性障害)、関連するその他の神経学的疾患の子どもたちに、メラトニンの服用が、有効である場合がある。こうした子どもたちは、睡眠障害をしばしば持っている。例えば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもには、多動性による入眠障害があり、その結果、日中の大半の時間は、疲れた状態にある。ADHDなどのある子どもは、睡眠を改善するために、就寝前にメラトニンを服用すれば、睡眠のサイクルがコントロールできる[32]

メラトニンは日本では販売されていないが、米国ではサプリメントとして健康食品店や一般薬局で販売されている。メラトニンは、時差ぼけの対策に使用されることがある。メラトニン類似物質のラメルテオン(商品名:ロゼレム®)は、武田薬品が日本と米国で販売している。ラメルテオンは、不眠症の治療歴のある人には効果が認められていない[34]


これまでも、当ブログにて不眠症の記事を書いたことがあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/horio_blog/27749113.html 
http://blogs.yahoo.co.jp/horio_blog/37986532.html 簡単なリンク集を作りました。