(1)「自己主張トレーニング」(アルベルティーら、菅沼ら訳)を読みました。
 
著者は「アサーティブネスとは、率直であり、正直で礼儀正しいものであり、相手の意見と自分の意見を共に尊重するもの」と述べています。著者の目的は、「協力や平等を奨励すること」です。アサーティブネスにより「家族やグループのコミュニケーションが向上する」と述べています。
 
著者は、次のようなことは、アサーティブネスの一部分であると述べています。
・自分の進路や人間関係、ライフスタイル、スケジュールを自分自身で決定すること
・「いや」ということができ、自分の時間や力をどこまで費やすかを自分で決めること
他人に支配されないために、まずは自分で自分を支配するということです。さらに、相手を支配しないということです。これは、自分や相手が、その関係を嫌になって、その関係から脱落することを防ぎます。
 
著者は、アサーティブネスが選択の問題であることを強調しています。相手から困難なことを要求されたときに、不満ながらもそれに従うという選択肢があります。また、相手を非難して拒絶するという選択肢があります。また、自分の希望を述べ相手の希望を聞いて、理性的に協議して決めるという選択肢もあります。
 
アサーティブネスを選択しない場合もあるわけです。これまで困難な要求に対してずっとイエスと言ってきた人が、アサーティブネスの本を読んで、それ以後、急に自己主張をするようになって、必ずノーと言うことではありません。
 
著者は、どんな人も常にアサーティブであるわけではないと述べています。次のようなことを考慮してアサーティブになるかどうかを決めるとのことです。
・それが、自分にとってどのくらい大事なことか
・アサーティブな行動によってもたらされる結果や危険について認識しているか
・臨機応変にあらゆる手を尽くして結果を出そうとしているか
 
著者は「アサーティブネスは学習によって身に付けていくもの」であると述べています。また「アサーティブになることに成功するコツは、ゆっくりと一歩ずつ自分の行動を変えていくこと」と述べています。
 
特定の人との人間関係において、相互の率直さを少しずつ育てていくということです。相互理解と信頼に基づいて、コミュニケーションを円滑に行う関係を築いていくといことです。
 
例えば work - family バランスの問題は、家庭も仕事も共に大切であるので、簡単に解決できるような問題ではありません。しかし、アサーティブネスにより、コミュニケーションの不足から発生するトラブルを、減らすことができます。それは普段から、誠実で正直な関係を少しずつ築いておくということです。
 
 
(2)京都大学シンポジウム「性差科学の最前線」を読みました。
長谷川真理子教授は、進化生物学の立場から、この問題を取り上げておられます。また、日高敏隆名誉教授は、動物行動学の立場からこの問題をとりあげておられます。いずれも、非常に興味深いお話です。
 
男も女も、自分の遺伝子を子孫により多く残そうとする点は同じですが、生殖へ参加する仕組みが女と男では異なっているので、その戦略は大きく異なっています。
 
 
(3)職場の5分だけの勉強会で、「実践するドラッカー、利益とは何か」を読みました。ドラッカーは、次のように述べていました。
 
①「利益をあげることが組織の目的ではなく、利益は組織存続の条件である」
②「あらゆる組織は、人と社会をより良いものにするために存在する。すなわち、組織にはミッションがあり、目的があり、存在理由がある」
③「組織とは、個としての人間一人一人、および社会的存在としての人間一人一人が貢献を行い、自己実現する手段である」
④いかなる組織といえども、顧客に聞かなければ、何を成果とすべきかはわからない。顧客を満足させられなければ成果はない」
⑤「利益の第一の機能は、仕事ぶりを判定するための尺度である」
 
利益は、組織存続のための必要条件に過ぎず、それを1日中追い求めるようなものではないということのようです。人の役に立つような仕事を、懸命にすればよいということでしょう。