タネン教授によれば、以下のようです。男性と女性は、異なる文化圏に属しており、コミュニケーションの仕方や内容が異なっています。男の子どもが遊ぶときには、サッカーなど、グループで競争を行いますが、女の子どもが遊ぶときには、ママごとなど、個人的な交流を行います。また核家族は、最近だけの特殊事情であり、過去数百万年にわたって、人類の男性は集落外で狩を行い、女性は集落内で育児や家事を行ってきました。
男性は、コミュニケーションを、目的を達成するための手段だと考えています。女性は、コミュニケーションを、人間関係をより親密にするための手段だと考えています。男性は、客観的なデータを基にしてにより判断しますが、女性は個人的経験を基にして判断します。男性の会話は、必要な情報を伝達するためのものです。男性は自分の考えをストレートに表現します。女性の会話は、お互いを認め合い、支持し合い、共感するためのものです。
男性にとって、衝突や対立は、お互いの地位や人間関係を確立するための正常な手続きに過ぎません。しかし、女性は口論を避けます。もし口論したら、今生の敵になります。女性は、男性のけんか腰を本当の攻撃だと受け取ることがあります。小さな衝突があっても、その人間関係が駄目になるわけではありません。相手の誤りを明瞭に指摘した方が、相手にとって有益である場合も多く有ります。
男性は、人間関係がうまくいっている場合には、その人間関係について話をする必要が無いと考えています。女性は、充分に話をして相手と心が通じ合う場合にだけ人間関係がうまく行くと考えています。
ウッド教授は、どうすれば異性とうまくコミュニケーションができるかについて、次のように述べています。
(1)相手に対して、善悪の評価をするのを止めよう。
(2)相手のコミュニケーションの方式について、それも正当であると認めよう。
(3)相手が翻訳する手がかりを与えよう。また、相手からの手がかりを見つけよう。
ところで、弁護士など離婚産業の人は、男女がどうすればうまくやっていけるかについて、熱心に説明することはありません。だから、そうした情報提供も、共同養育運動の守備範囲内です。
現在の日本の成長戦略の一つに「女性の活躍」が挙げられています。しかし日本では、男女の違いに関する欧米の研究成果は、人々に把握されていません。外国では、女性が首相や大統領を務める国が多くあって、女性の長所が把握され、生かされています。
参考文献
(1)タネン教授、「わかりあえない理由」
(2)同教授、「どうして男はそんな言い方、なんで女はあんな話し方」
(3)ウッド教授、Wikipedia 「コミュニケーション」内、「コミュニケーションの男女差」
(4)NHKスペシャル取材班、「女と男」