「家族心理学」Family Psychology(2005年、オックスフォード大学出版)という本の第12章「離婚した非同居の父親が、子どもをより良く養育するために」を読みました。著者のアリゾナ州立大学Sanford Braver教授 のホームページに、この文章のPDFがあります(ただし旧版です)。
この文章では、以下のように、非同居の父親が、親としての役割を果たして、子どもの精神的予後を改善させるには、どうすれば良いかが論じられています。
「Amato(1991年)らは、次の各要因が子どもの精神的な予後を悪化させていると述べている。
・離婚後に父親と母親が激しく争うこと
・非同居親との交流が減ること
・同居親と子どもとの関係が悪化すること
・経済的に貧しくなること
・生活環境が変化すること
・環境に適応するための子どもの技術が未熟なこと
・離婚後に父親と母親が激しく争うこと
・非同居親との交流が減ること
・同居親と子どもとの関係が悪化すること
・経済的に貧しくなること
・生活環境が変化すること
・環境に適応するための子どもの技術が未熟なこと
Arditti(1992)らの多くの研究者は、父親が離婚の過程で、無力感を感じていると報告している。父親が、離婚の過程に関与できない無力感を感じると、離婚後の生活はより怒りに満ちたものになり、元妻との関係はより困難なものになる。
我々は、次の情報を父親に与えることによって、父親が親としての役割から身を引くのを、減らすことができると考えている。
・父と子のポジティブな関係は、子どもの健全な発達に重要であること
・子どもの心は傷つきやすいこと
・子どもは、親からの支援を必要としていること
・父と子のポジティブな関係は、子どもの健全な発達に重要であること
・子どもの心は傷つきやすいこと
・子どもは、親からの支援を必要としていること
多くの研究が示しているのは、父親としての役割を果たそうと強く思う父親は、離婚後に子どもに関わろうとする度合いが強いことである。
研究によれば、一緒に暮らしていなくても、暖かくて、父親の権威を保つような養育を行えば、子どもの精神的予後を良好にすることは可能である。
子どもと面会交流をするだけの関係であっても、子どもの人生に大きな影響を与えるような機会と手段は充分にある。これを父親に伝えることは重要である。
父親が、元妻との交渉に際して、怒りにとらわれる代わりに、争いをうまく扱う技術を用いることは意義がある。父親に対して、ストレス解消トレーニングを勧める対策がある。また、自分の怒りをうまく扱う技術の習得を勧める対策がある。人が怒る過程をよく理解して、自分のいらいらした気持ちを自覚し、アサーティブネス(意見表明)や問題解決に結びつけることである。
我々は、父親教育のプログラムを作成した。このプログラムに従って、ビデオテープを通じて、父親の役割を学んで、セラピストの指導の下に討論を行い、さらに自分で見るビデオテープを視聴した父親たちは、母親との争いが減少するなどの効果があった。」