(1) 「女と男」(NHKスペシャル取材班)という本によれば、ゴットマンは、夫婦への講習会で、次の2つの質問をして、夫婦に考えてもらうそうです。それは、「あなたの人生の夢は何か」と「あなたが人生で成し遂げたいことは何か」です。そして、それぞれの回答を、夫婦に互いに把握してもらうそうです。つまり、相手の人生の目的や、相手が人生で成し遂げたいことを把握するということです。

人生を旅にたとえた場合、相手の目的地や旅行方法を知らなければ、円滑に一緒に旅行することは困難です。夫婦関係においても「ビジョン」の部分が大きいということです。
 
(2) 随時尿から1日摂取塩分量を推定する方法には、かなりの誤差があるようです。(論文1論文2)。
減塩についてのサイトがありました。(ブログ1ブログ2
このブログに書いてあったNHK番組のサイトを見ました。(番組1番組2
日本は、減塩の後進国です。

ブログや番組で紹介されていた英国のCASHのホームページを見ました。(文書1文書2
英国政府は1日6gと言っています。
1日塩分量を簡単に計れるのでなければ、目標を立てる意義は少ないかもしれません。
今後は24時間の蓄尿をして塩分の量を測定しようと計画しています。

NIH(CDCを含む)や、このCASHのような情報提供ができれば、日本でも構造改革ができる可能性があります。しかし、CASHが作られたきっかけは、食品会社が保守党に、「塩分を減らす規制をするなら寄付を中止する」と脅かしたことであるそうです。今の阿部内閣が、食品産業だけでなくその他の多くの産業を敵に回すことは考えられないので、日本にはNIHはできないということです。
 
ただし、可能性はあります。現にNIHはあります。CASHもあります。英国では塩分の規制に関して産業界と政府との合意ができつつあるそうです。
 
(3)離婚が子どもと家族に及ぼす影響について」(本田麻希子ら、2011年)という論文を読みました。
この論文には、次のような良い点があります。
①教育学の論文であること
日本では珍しいので貴重です。しかし中身の大半は、心理学です。
 
②子どもの意見を引用していること
例えば、次のような子どもの意見を引用しています。「いやだったことは、自分に選択権が与えられ、両親のどちらと住むかを選ばされたこと。当時の自分には負えないような責任を負わされた」。
 
③次のように英語の論文を正しく引用していること
「共同監護の子どもは、一般的適応、情緒・行動的適応、学業達成度などの多目的尺度で、単独親権の子どもより高い適応度を見せた」。
 
④子どもの権利条約が論文中に出てくること
棚瀬氏の論文を引用する中で、子どもの権利条約に触れておられます。子どもの権利条約には、「親が喧嘩しているのなら、片親と子どもを会わせなくても良い」などとは書かれていません。
 
しかし、この論文には、次のような問題点もあります。
①家庭問題情報センターの主張をそのまま取り入れている
エフピックFPICは、離婚前の夫婦仲の悪さが子どもの心に悪影響を及ぼすことを過度に強調しています。それは、FPICが離婚産業の一つであるからです。以前、FPICの文書を見たときに、「子どもとの交流にFPICが付き添うと、1回3時間で5万円」と書いてありました。ずいぶん高いですね。また以前、FPICのホームページを見たら、モデルケースの場合、「養育費は15万円」と書いてありましたが、司法統計によれば、子ども1人の場合、養育費は月に3~4万円が多いようです。また、FPICのホームページには、「夫婦が仲良くするにはどうすれば良いか」の記事は、見当たりませんでした。
 
映画の椿三十郎なら次のように言うでしょう。「心理学の役目は何だ。人に仲良くさせることじゃあねえか。離婚をたきつけやがって。変だとは思わねえのか」。「本当に悪いやつは、とんでもない所にいる」。
 
②離婚は子どもの適応に関係ないとしている
離婚が子どもの適応に悪影響を及ぼすことは、著者が情報源とするAmato,Kelly,Emery も明瞭に述べている通りです。
 
③離婚は子どもの学業成績にあまり影響を及ぼさないように書いている
離婚が子どもの学業に悪影響を及ぼすことは、著者が情報源とするAmato,Kelly,Emery も明瞭に述べています。
確かにLamb は、「離婚自体が悪影響を及ぼすのではない」と述べています。離婚に伴って起きる状況の悪化によって、悪影響が生じるのです。子どもからみれば、親が2人いて、その2人がしっかり自分の面倒を見てくれれば、父と母が法的な婚姻関係にあるかどうかは、そんなに重要ではないかもしれません。

著者は、「経済条件を統制した比較研究では‥‥」と簡単に言うのですが、離婚の前後で経済条件が変わらない人は、非常に限られています。大半は、悪化するのです。平均的な家族を考えてみれば分かります。ある夫婦が別々に住むようになると、住居費が2倍かかるのです。水光熱費の基本料金も2倍かかります。仕事を休んで裁判所に行かなければなりません。弁護士など、離婚産業への支払いもあります。夫の雇い主は、「自分の家庭さえうまくできない人に、大切な仕事を任すことはできない」と考えるかもしれません。

離婚の前後で生活水準が下がらないのは、例えば夫婦共にインテリで、夫婦が離婚後も良い関係にあって、子どもへの悪影響を最小にしようと努力しているような場合かもしれません。父親が子どもと充分に会って、養育費を多く払っている場合かもしれません。

なお、別々の家庭で比較しても同じことです。離婚前に母子で月20万円を使うレベルの生活をしている家庭と、離婚後に母子で月20万円を使うレベルの生活をする家庭を比較しても同じです。後者は、例外的にとんでもなく恵まれた家庭です。

離婚すると、いろいろな悪条件が発生します。Lambは、子どもの発達に、父親が大きな役割を果たしていることを明らかにしていますが、親が離婚すると、子どもは父親にあまり会えなくなり、父親から学ぶことが少なくなります。そうしたことが積み重なって、学業成績の低下が生じるのです。

現実には、著者が引用する3人が言うように、学業成績の低下は、しっかり生じるから、教育学上の大問題なのです。

「子どもが父親とあまり会わない」ことによる学業成績の低下は、どの子どもにも生じ得ることです。離婚の子どもにだけ生じるわけではありません。アメリカ政府とアメリカPTAは、父親が子どもへの関与を増やすように呼びかけています。

著者の書き方だと「離婚では学業低下は起きないので、対策は必要ない」と言っているように見えます。離婚そのものによって起きるのではなく、離婚に伴って発生する悪条件によって、学業成績の低下が起きるのです。悪条件を減らす努力が必要です。例えば、子どもと父親との時間を増やすような対策が必要です。引用した3人が訴えている通りです。
 
④連れ去りの弊害について触れていないこと