(1)椎名毅議員の質問に回答する法務大臣などのように、離婚後に共同親権にすると、元夫婦の間で意見が一致しなくて困るという懸念を持っている人がいます。

親権の内容は、子どもの学校を決めたり、子どもの宗教を決めたり、子どもの病院を決めたりすることです。子どもに会えていない親は、子どもに会うためなら全部譲るはずです。親権の内容は、子どもの居所以外は、全部譲ることができるものです。例えば、子どもが行く大学は、子ども自身が決めるでしょう。

だから、共同親権においては、子どもの時間配分だけが対立点です。法的共同親権はあまり重要ではなく、身体的共同親権だけが重要です。

また、欧米では、現実には、意見の対立で困っていません。現実はむしろ逆です。子どもを奪い合わなくて良くなるので、協力関係が促進されます。子どもを奪われる心配が無いので、子どもの将来を改善させることだけを考えれば良いのです。それで、子どもの予後が改善されます。だからこそ、欧米先進国では、共同親権制度を採用して、それを維持しているのです。法務委員会において、外国政府の担当者の話を聞くなど、実際の外国の例を参考にすればよく分かるでしょう。

ただし、全体の10%から15%は、対立が深刻で、共同親権や共同養育には適さない夫婦もあるそうです。

アメリカでは、離婚に際して、詳細な養育計画書を提出して、裁判所の了解を得ることが必要ですが、約半数の夫婦は、夫婦だけで合意に達して、養育計画書を提出します。また、調停人や弁護士の意見を聞いて合意に達する人もあります。合意できずに裁判所が決めるのは、5%に満たない人々です。(米国弁護士会、Guide to Family Law、1996年)

そのように養育計画書は、将来の紛争を減らす効果があります。例えば、「塾やスポーツクラブなどの課外活動に対する負担割合を6対4にする」などと決めておくと、将来の紛争を減らすことができます。

弁護士は、人々の間に争いが増えると裁判になって収入が増えます。共同親権にすれば争いが増えるのなら、それで弁護士の収入は増えるはずです。弁護士の業界は、外国の状況を調べて報告するなど、全力でロビー活動をして、共同親権を実現しようとするでしょう。実態は、逆です。あまり熱心ではありません。弁護士会が、夫婦がうまくやっていくための活動を熱心にはしていないのと同様です。
 
死刑廃止や夫婦別姓に反対する人々は、その根拠として、しばしば「国民の多くが反対している」と主張します。しかし、共同親権に反対する人々は、そのような発言をしません。国民の多くは、共同親権に賛成しているからです。国民の多くは、離婚後にも両方の親が子どもに関わって行くことに、賛成しているのです。そして、反対する人々は、そのことを薄々知っているのです。

2)野口悠紀雄教授の本「金融緩和で日本は破綻する」を読みました。また、浜田宏一教授の本「アメリカは日本経済の復活を知っている」を読みました。全く正反対のことが書いてあります。1月に、NHKのテレビ討論があったそうです。 米国の偉い学者の提言もあります。

私は、30年位前にサミュエルソンの「経済学」を読みましたが、よく分かりませんでした。ほんの素人です。だから、どちらの先生が正しいかについては、全く分かりません。 

しかし、気分的には、野口教授を応援しています。「苦労して正当な努力をする」方が、「お札を刷って空からばらまく(バーナンキ)」方より、正しいように見えます。「借金して皆でキリギリスをすれば、すぐに破綻するので、復活が早まる」ということでしょうか。IMFは、お金を貸す際に、近代的な家族制度への移行を求めるでしょうから、運動にとっては、早く破綻した方が早く子どもに会えて、望ましいかもしれません。