(1)世界で最も権威ある小児科学教科書の「ネルソン小児科学」最新版は、児童虐待の対策の一つとして、次のように述べています(p142)。

「家族の機能を高めること、例えば父親が子どもの世話に多く関与するよう奨励することは、我々の提言の一つである。」

(2)アメリカ合衆国政府は、父親が子どもへの関与を増やすように、国民に広報しています。

(3)アメリカ合衆国は、児童虐待の予防のために、いろいろな施策を行っています。

その結果、アメリカ政府当局は、児童虐待のうち身体的虐待、性的虐待、精神的虐待は、減少傾向にあると述べています。(統計1統計2

(4)WHOの「暴力と外傷の予防」部門の Mikton 氏は、児童虐待予防のための7つの施策の効果を、先行する研究を検討して評価しています

「その結果、7つの施策のうち、家庭訪問、親教育、頭部外傷予防、多方面の介入には、児童虐待を減らす効果が認められた。また、7つの施策のうち、家庭訪問、親教育、性的虐待予防には、リスク要因を減らす効果が認められた。」

(5)フィンランドの国立健康福祉研究所では、以下のように述べて、児童虐待を予防するために、育児の重荷を分け合うことを勧めています。
 
 
・母親は、小さい子どもを虐待することがある
・母親は、育児のストレスや重荷を分かち合う人を必要としている
・人間の子どもは、非常に多くの世話を必要としている
・人間の子どもは、自立するまでに長い時間がかかる
・一人で育児が出来るという人はいない
・親の利益と子の利益は完全には一致しない
・母親が支援なく放置されると子どもは虐待を受けることがある
・複数の大人が育児に関わると、子どもの発達は促進される
日本は、諸外国に比較して次のような特徴があります(堀尾記す)。
 ①父親が子育てに関与するする時間が、欧米諸国より短い。
 ②死因の検討が充分に行われていない。
 ③離婚後に片親がほとんど子どもに関与できなくなる。
 ④児童虐待を担当する人員が欧米よりかなり少ない。

これらの内容の一部を、Wikipedia 「児童虐待」に加筆しました。