児童虐待の加害者は、以下のように、実父よりも実母が多いです。
(1)児童相談所における虐待の相談件数は、平成19年度には40639件あり、主たる虐待者は、実母62.4%、実父22.6%であった。(厚生労働省)
(2)日本法医学会による「被虐待児の法医解剖剖検例に関する報告、第2回調査、1990~1999年」によれば、被虐待死亡例459人中、虐待の加害者は、実母49.2%、実父15.9%、実母と実父9.6%であった。
小児科診療、2011年、91巻10号、p1531、「児童虐待死亡例の検討ー法医学の視点から」
(3)東邦大学小児科に20年間に来院した被虐児50例のうち、加害者が判明したのは35例あり、うち実母が20例、実父8例、実母と実父が3例であった。
日本小児科学会雑誌、2004年、108巻6号、p864
(4)大阪府立急性期・総合医療センター小児科に10年間に入院した215例のうち、主たる虐待者は、実母が55%、実父18%、実母と実父が9%であった。
日本小児科学会雑誌、2011年、115巻1号、p77
(5)児童相談所の川崎二三彦氏は、上記の厚生労働省の統計を示して、「主たる虐待者のうち、6割以上を占めているのは実母である」と述べている。
(5)児童相談所の川崎二三彦氏は、上記の厚生労働省の統計を示して、「主たる虐待者のうち、6割以上を占めているのは実母である」と述べている。
岩波新書、「児童虐待」、2006年
(6)小児科医の池田由子氏は、「母親が多い」と述べている。「よく見られるのは、母親が夜遊びして帰宅せず、酔った父親が泣き止まぬ赤ん坊にいらいらして折檻して殺してしまったり、夫に捨てられた妻や、若い未婚の母が、どこからも援助が得られず、むしゃくしゃして、父親に似ている子どもに当り散らすというような例である」と述べている。
中公新書、「児童虐待」、1998年