米国の厚生省は、児童虐待を次のように分類しています(ウェブPDF

児童虐待 
   ・身体的虐待
   ・性的虐待
   ・ニグレクト(無視)
   ・精神的虐待

このうち、ニグレクトを次のように説明しています。「ニグレクトは、子どもへの基本的なケア、食物、衣服、大人による見守り、教育、養育などを、子どもに提供しないことである」。子どもに必要な医療を受けさせないことも、このニグレクトに含まれます。

米国厚生省は次のように述べています。
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虐待の加害者
2003年には、90万6千人の子どもが虐待やニグレクトの被害者となった。そのうち、ニグレクトが最も多く、同年には、被害者となった子どものうち60.9%を占めた。身体的虐待は18.9%を占め、性的虐待は9.9%を占め、精神的虐待は4.9%を占めた。2003年には、約1500人の子どもが、虐待やニグレクトで死亡した。

児童虐待の加害者の多くは、子どもの親であり、全体の83.9%を占めた。ただし、この数字には、産みの親や義理の親も含まれている。

実際のケースの40.8%は、母親単独によるものであった。また18.8%は、父親単独によるものであった。16.9%は父親と母親によるものであった。母親は、父親よりも2倍近く多く、虐待やニグレクトに関与していた。

虐待を防止する要因としての父親
・父親が子どもと密接な親子関係を築くと、子どもの虐待は減る。
・子どもの家庭に父親が関与すると、虐待は減る。
・生物学的な両親と一緒に暮らす子どもは、虐待の被害者となることが少ない。
・父親が子どもに関与すると、母親の育児の負担が減り、親による子どもへの貢献の総和は増える。
 それ故、どちらかの親が子どもをニグレクトして、ケアや見守りを放棄することが最小になる。
・父親のいない家に住む子どもは、父親と住む子どもに比べて、身体的虐待や性的虐待やニグレクトの高い
 危険に直面する。1997年の調査によれば、片親の家庭の子どもは、両親のいる家庭の子どもに比べて、
 約2倍の割合で、児童虐待の被害者になった。(前者は1000人中27.4人、後者は1000人中15.5人)。

虐待と父親
父親は、貧困、失業、薬物依存、自己評価が低いなどの場合には、ストレスのレベルが高くなり、虐待に結びつきやすくなる。
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つまり、父親が子どもに充分に関与すれば、虐待される子どもは減るということです。父親が子どもに充分に関与すれば、母親による虐待も、父親自身による虐待も減るということです。