(1)ウィスコンシン州から子どもを連れ去った日本人主婦に対して、アメリカの裁判所では25年の刑が求刑されました。現在は、司法取引により、執行猶予の状態になっているそうです。なぜ、そんなに重い刑なのでしょうか。
(2)アメリカ合衆国政府の文書には「親による子どもの連れ去りは、最も悪質な児童虐待である」と書いてあります。なぜ「最も悪質な児童虐待」なのでしょうか。
(3)ハワイ州政府の文書で「親が一人ついているではないか。それで何が問題だと言うのか」という題の文書があります。それには、「連れ去りは、重大な犯罪行為である」と書いてあります。なぜ、そうなのでしょうか。
(4)日本の在外大使館は、多くの国では連れ去りが犯罪とされていることについて、在外邦人に注意を呼びかけています。なぜ、多くの国では連れ去りが犯罪とされるのでしょうか。(南北アメリカ大陸諸国、ヨーロッパ諸国、両オセアニア国)
(5)ハーグ条約は、主要先進国を含む89ヵ国が締結しており、日本も近日中に締結予定です。ハーグ条約は、国境を超えた子どもの連れ去りに対して、原則的に強制的に、子どもを元の国へ送還するというものです。なぜ強制執行を行って子どもを送還するのでしょうか。
子どもは、ある時、車でどこかへ連れて行かれます。そうして、もう二度と元の所へは戻れないのです。子どもは、慣れ親しんだ環境を失います。親しい友人を失います。そうして片親を失うのです。子どもは、突然連れ去られ、片親に会えなくなり、心をコントロールされます。これらによる悪影響は、長く子どもの心に残ります。
連れ去った親は、子どもをかくまいます。そうして、残された親に会わそうとしません。会えないようにするために連れ去るのです。子どもは、当然、家に帰りたがります。そして、残された親に会いたがります。しかし、会わせません。
連れ去った親は、子どもから見て唯一の情報源です。連れ去った親は、「父は死んだ」とか、「母親は、お前を捨てた」とか「お前のことを好きではないから、もう会いに来ない」などと言うでしょう。子どもは、頼りにする親から、一番大切なことについて嘘をつかれるのです。子どもが必要とする情報は与えられません。
それどころか、精神的にも親子の関係を切られるのです。同居親は生殺与奪の権限を握ります。子どもは、同居親にすがって生きていくしかありません。唯一残った親から捨てられないようにしなければなりません。同居親は、子どもを意のままに支配します。もう一人の親との親子関係を切られることについて、子どもは不満を言わなくなります。
植民地の宗主国は、植民地の人々を内的に支配します。毎回力を示すのでは、自分たちが植民地の人々の利益に反していることを、その都度証明することになります。ヒトラーも、支配地域における内的支配の重要性を認識していました(ジーン・シャープによる)。普通の夫婦喧嘩には支配はありませんが、DVには支配があります。いずれの場合も、支配の有無が決定的に重要な要素です。
子どもを内的に支配するためには、逃げて、かくまい、会わせないことが、必須の条件です。子どもは、非常に弱い立場にあります。一人では生きて行けません。
子どもには、どちらの親も必要です。父親は、子どもの発達に重要な役割を果たしています。連れ去りにより、父親からの保護、支持、教育、遊びなどのいっさいが、子どもの手に入らなくなります。
子どもは、以前は家庭内の王様であったものが、連れ去りにより、同居親の道具に成り下がります。子どもは、同居親が相手からお金を得たり、怒りを示したり、仕返しをしたり、力を示すための道具になります。子どもの切実な願いは、聞き入れられません。生存でおどかされて、支配されるのです。連れ去りは、弱い立場に子どもを置いて、親子関係を切るために行うのです。申し訳程度の面会の席に、連れ去った親が同席しようとするのは、子どもへの支配を途切れさせないためです。
連れ去りの動機は、「子どものため」ではありません。会わせないことがその証拠です。会わせるつもりなら、離れていても、インターネットを利用した無料のTV電話を使うこともできます(スカイプなど)。電話や手紙もあります。残された親は、子どもに会うためには、どのような面倒な条件をも受け入れるでしょう。
子どもは、人間として尊重されるのではありません。所有物のように支配されるのです。子どもは、人の目が通らないところで、ゆっくり改心させられます。そのような時には、精神的虐待が、身体的虐待へ発展することもあります。例えば、同居親が新しい異性を作ろうとする時に、子どもが邪魔になるかもしれません。同居親は、新しい異性に対して、自分にとって子どもは重要ではないことを示すもしれません。そのような場合に、子どもは一人の人間として尊重されるのではなく、同居親に都合の良いように扱われるのです。
子どもには、自由な意思の表出が認められません。親に都合の良い意見を言わなければなりません。もう一人の親を攻撃しなければなりません。子どもは、生き延びるためには、内的な支配を受け入れざるをえないのです。
同居親からみれば、思い通りに事が運んだ気がしているでしょう。自分に不利なことは無くなります。うまく行かなかった結婚生活の仕返しができたのです。連れ去りにより子どもを独占できたのです。子どもは自分のものになったのです。子どもへの虐待のうち、同居の母親による虐待が多いのは、連れ去りの状態では人の目が通らずに、好き勝手にする状態となり、恣意的になり、堕落し、止めどが無くなるからです。
子どもが医療機関を受診する必要がある場合に、受診させないのも虐待の一種です。医療機関を受診させれば、これまで必要があったのに受診させなかった実態が明らかになります。自分から虐待の証拠作りをしているようなものです。放置すれば、その病気は悪化して、取り返しのつかない事態になるかもしれません。しかし連れ去った親は、不用意な病院受診をしないでしょう。子どもが一番大切なのではなく、子どもは自分のために使う道具にすぎないのです。
ガルシア氏は、子どもが戻ってきた時に、「母親には充分に会わせる。私は仕返しをしない。今晩、さっそく電話をかけさせる」と述べておられました。この点が、決定的に異なるのです。
連れ去っている人は、今すぐ虐待の状態を解消するのがお勧めです。連れ去りが子どもへの虐待であることが、人々の共通認識になる日が、日本でもいずれ必ず来るでしょう。子どもに他の親との交流を心から勧めることがお勧めです。子どもが自由な意見を表出することを認めて促してあげることがお勧めです。子どもの希望を可能な限りかなえてあげることがお勧めです。
国家レベルでも、虐待支援状態を今すぐ解消するのがお勧めです。世界には、子どもへの虐待について無神経な国の製品を買いたくない人がいるかもしれません。自国の子どもへの虐待に無神経な国は、他国の人々への虐待にも無神経でしょう。円安にして世界の人から富を盗むのではなく、懸命に勉強をして、世界の人の役に立つことです。
参考文献
1.stars anad stripes
2.米国政府文書
3.ハワイ政府文書
4.外務省文書
5.米国法務省文書
6.Huntington
7.Nancy Faulkner
8.米国BAR
9.When Parents Kidnap
10.「被虐児117例の検討」、日本小児科学雑誌、99巻12号、2069~2077、1995年)
11.離婚毒 片親疎外という児童虐待
私の過去のブログ
1.親による連れ去りは、なぜ重罪か
2.連れ去りが子どもに与える影響
1.stars anad stripes
2.米国政府文書
3.ハワイ政府文書
4.外務省文書
5.米国法務省文書
6.Huntington
7.Nancy Faulkner
8.米国BAR
9.When Parents Kidnap
10.「被虐児117例の検討」、日本小児科学雑誌、99巻12号、2069~2077、1995年)
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