ジーン・シャープのこの本は、独裁体制を倒すための本です(英語版)。権力についての正確な分析と深い洞察があります。それで、共同親権運動にも大いに参考になる点があります。

(1)現状を分析する必要がある
     離婚に際して、子どもの奪い合いをさせて紛争化させれば、弁護士の収入になります。
     裁判官は、片親だけに養育をさせて、弁護士に協力しています。
 
(2)政権の外にある組織の協力が必要である
     宗教団体、労組、大企業、学校、地方自治体などの協力が必要です。
     現状を説明して、問題点を把握してもらう必要があります。
 
(3)運動のシンボルカラー、シンボルマークが必要である
     黄緑リボンkimidori-ribbonがそれのようです。
 
(4)英語のスローガンを掲げよ
     英語のスローガンの一つを、ホームページに書きました。
     The Best Parent is Both Parents (良親は両親)
     Kids Love Both Parents (子どもは両方の親が好きです)
     Stop Child Abduction (子どもの誘拐をやめさせよう)
 
(5)周到な計画が必要である
     最終目標は、各親ともに子どもの時間の30%以上を、子どもと一緒に過ごすことです。
     中間目標は、法的親権を共同または交互に行うことです。
     当面の目標は、協力してくれる既存組織を増やすことです。
     また、メディアを通じて広報を行うことです。
     また、紛争中の当事者に情報提供を行うことです。

     ラジオやテレビで宣伝をする
     いたる所に張り紙をする
     支持者にお金を出してもらう
     経済的レジスタンスを行う (弁護士に経済的利益を与えない)

(6)いくつものステージに分けた行動計画が必要である
     ジーン・シャープ氏は198の方法を列挙しています。
     共同親権運動では、ステージ別の行動計画を見たことはありません。

(7)行動計画を公開すべきである
     今、何をどうすれば良いかが皆にわかります。
 
(8)些細なことで消耗しないように
     限られたエネルギーを、最も効果的な部分に投入する必要があります。
 
(9)相手の強い点は何か
     裁判官は、権力の重要な一端を握っています。
     各政党は、自分に有利な判決を出してもらうために、法曹の利益を
     守るのです。
     法曹は、政権や大企業や農協などと、利益共同体を形成しています。
     共同親権運動の担い手に対して、厳しい判決を出すことも予想されます。
 
(10)相手の弱い点は何か
     憲法、条約、法律に拘束されます。
     弁護士や裁判官自身も、離婚により子どもに会えなくなることがあります。
     子どもの権利条約を守っていません。
     弱者の権利を守るという職業倫理に違反しています。
     外国で重罪とされる連れ去りを、日本では弁護士が勧めています。

(11)当方の強い点は何か
     共同親権は世界の趨勢であり、諸外国は共同親権制度を採用しています。
     科学的研究も共同親権を支持しています。
     国連や、ユニセフも、両方の親が充分に子どもに関わるよう勧めています。
     諸外国も、ハーグ条約の批准など、日本に圧力をかけています。
     国民の支持があります。
     子どもも父親に会いたがっています。
     必ず勝てる戦いであり、いずれ日本でも実現することです。
 
(12)当方の弱い点は何か
     子どもを連れ去られた多くの親のうち、わずかな人しか組織されていません。 
     (多くの人は、自分の問題を解決したい。国家の問題の解決はどうでも良い)。
     情報提供が十分ではありません。
     短期目標や、中期目標が明確ではありません。
     次のステップへ移行する行動計画が明確ではありません。
     そもそも日本では、社会運動は、あまりうまく行っていません。
 
(13)小さな成果も祝うべきである
     本の出版は大きな成果です。前進です。おめでとうございます。
 
(14)転向(当局が意見を変えること)は、滅多に起こらない
 
(15)調整(部分的な手直し)は時々起こるが、我々の行動の目的ではない。
     昨年の民法改正は、この調整であると考えられます。しかし、交流の実態は
     あまり変わっていないようです。実質的な意味の少ないガス抜きです。
 
(16)相手の残虐さを予期すべきだ
     相手は、子どもと親を引き裂いても平気なのです。
     運動が力を持つようになると、相手は、嫌なことをしてくるでしょう。
     リーダーが誰か分からないようなカモフラージュが必要かもしれません。
 
(17)外国はあてにならない
     外国は、自国の利益のためにしか動きません。
     日本も、外国の民主化のために、痛みを伴うような努力をしていません。
 
(18)勝利は一つ一つのステップを重ねることにより得られる
     最終目的だけでは、途中のモチベーションが維持できません。
 
(19)警察官に石を投げる必要はない
     警察官も離婚すると子どもに会えなくなるのです。弁護士も裁判官も同じです。仲間なのです。
     仲間に石を投げる必要はありません。


追伸
「10日えびす」に行ってきました。
夫婦善哉」を読みました。「「一人より女夫(めおと)の方がええいうことでっしゃろ」。関西の人は、起業家精神が旺盛です。また、うまいものが好きです。