(1)PASがあるとき(片親引き離し症候群)
子どもが、非同居親と面会交流をするにあたって、非同居親に対して、反発を示したり、非難をするような場合があります。このような場合には、「お前は間違っている」とか「同居親に洗脳されているだけだ」というような対応はせずに、「別の見方もある」という程度にとどめて、面会交流を少しでも楽しいものにする努力が必要です。
 
子どもにしてみれば、同居親に教えられたことが真実であると思っていますから、いきなり否定されても、かえって反発するだけでしょう。
 
頭から否定せずに、そうかと言って肯定もせずに、「別の見方がある」という程度に受け流すのがお勧めです。
そして、少しでも楽しい時間を過ごして、親しくなるために努力することが大切です。誤解が解けるのは、もっとずっと後になるでしょう。そのためにも、関係が維持されることが重要です。
 
(2)子どもが「会いたくない」と言うとき
まずは深刻に受け止めないことがお勧めです。子どもにも都合があります。子どもが希望する課外活動もあります。
 
子どもが会いたくないと言う場合には、その理由を確認することが重要です。子どもの都合や事情を尊重する必要があります。スケジュール調整の問題かもしれません。
 
子どもが会いたくないと言っても、「そうか。分かった。では、もう会うのを止めよう」というように、非同居親の方から関係を切るのはお勧めではありません。自分の方から関係を切ると、関係が永久に戻らない可能性があります。
 
子どもは、会いたい時には会いに来てくれなかったので、見捨てられたと思い込んでいるかもしれません。それが理由で怒っているのかもしれません。非同居親が会いたくても会えない事情を説明することが必要です。また、普段から、子どもに対する愛情を表現しておくことが重要です。決して見捨てていないことを子どもが分かってもらうことです。言葉で説明するのではなく、繰り返す行動で示すことが有効です。
 
思春期になると、親と一緒に過ごすよりも、友人と一緒に過ごすことを好むようになるかもしれません。しかし、その場合でも、親の役割が減るわけではありません。親の重要さが減るわけでもありません。親としての役割をしっかりと果たすことが重要です。
 
PAS(片親引き離し症候群)の一環である場合もあります。子どもは、自分の本当の利益とは異なる態度をとるように強制されている場合です。子どもは、内的に支配されているのです。
 
子どもから見て、親は有難いものです。持っているお金は、いずれ全部もらえるし、持っているエネルギーももらえます。病気の時には、移植のために臓器をくれるかもしれません。他の人には聞きにくいことも聞くことができます。何でも教えてくれます。世間から見放されるような状況になっても、親だけは助けてくれます。
 
このように有難い親に「会いたくない」というのは、不自然です。子どもは損です。生存について脅かされているということです。困難な状況にいるということです。最終的に子どもを助けるのは、非同居親しかありません。真に子どもの利益を守るのは、非同居親しかないのです。
 
いずれ、全てが明らかになる日が来ます。日本も世界の先進国と同じ結論に達する日が来ます。自立した子どもが全てを理解して、最後の審判を行う日が来るのです。
 
スポーツに例えると、現在はリードされているが、いずれは必ず勝てる試合をしているということです。リードされている状況で、試合を捨てしまってはいけません。非同居親があきらめてはいけません。
 
(3)今、出来ること
①あまり会えない時にも出来ることがあります。将来の子どもとコミュニケーションを行うことです。それは、今の記録を残すということです。非同居親が、子どものために頑張っていることを記録して、将来の子どもに見せるということです。何でも記録しておくのがお勧めです。
 
クラウドにアップするのがお勧めです。子どもが非同居親の名前で検索する日が来るでしょう。
 
②同居親に説明することも必要です。全てを正直に正確に説明することが必要です。「子どもの利益とは何か」「離婚が子どもに与える衝撃」「なぜ日本の司法と、欧米の司法は異なるか」「なぜ欧米では、連れ去りが重罪とされるのか」「なぜ先進国では共同親権が行われるか」「子どもの精神的な予後を良くするにはどうすれば良いか」など、説明すべきことは多くあります。
 
いずれ子どもが全てを理解し、日本の司法がやり方を改める日が来ます。同居親の会わせない行為が非難される日が来るのです。
 
真に子どものためを考えて行動することがお勧めであることを説明する必要があります。そうしないと、後で子どもとの関係が壊れる可能性があります。
 
③親の役割を果たすことが必要です。子どもとただ一緒にいれば良いということではありません。
父親は、子どもとの遊びを通して、子どもが次に入り込む世界を子どもに紹介します。そしてその準備をさせます。努力をして、技術を上達させる必要性を子どもに説明します。ゲームのルールを守ることを子どもに教えます。父親が学校の勉強に関与すれば、子どもの成績も向上します。これらの一部は、あまり会えなくても、その他の通信手段を使って、可能な場合があります。
 
④少しでも子どもの近くに住むことがお勧めです。情勢が許す範囲で、一番近くに住んで下さい。「距離が離れるにつれて、子どもとの関係が切れやすくなる」ことを示した研究があります。
 
⑤子どもに愛情を示すことが必要です。