1. ウィキペディア「離婚後共同親権」の「合意形成の困難さ」の項目に、以下のような記事を書きました。

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対策

この問題は欧米諸国ではあまり深刻な問題ではない。実際、アメリカ合衆国では大半の州で離婚に際して養育計画の提出が必要であるが、離婚するケースの90%から95%では、夫婦だけで養育計画が作成されている。裁判所が養育計画を決めるケースは少ない。
 
合意形成について以下のような対策が行われる。
 
(1)子どもを中心とする
親が自分の利益を主張し合えば意見は対立するが、子どもの真の利益を最優先にすれば、意見の対立は少なくなる。子どもの本心を聞き、他の多くの子どもの平均的な意見を参考にして、子どもの権利条約など子どもの専門家の意見を参考にする。
 
(2)養育計画をあらかじめ作っておくこと
離婚後に子どもがスポーツや塾などの課外活動を行う場合に、誰が費用を負担するかという問題で争いになることがある。離婚する際に、課外活動の費用負担の割合をあらかじめ決めておけば、その後の争いを予防できる。
 
(3)うまく行っている例に倣うこと
うまく機能している養育計画を参考にする。決めるべき項目も、そうした養育計画の具体例を参考にする。欧米諸国では、共同親権制度は基本的にうまく機能している。
 
(4)交渉の技術を習得する
意見の異なる相手と交渉して妥協点を探す技術は、誰にとっても重要である。交渉の技術とは、相互の主張を充分に理解し合った後で、双方が満足できる妥協点を探す努力をすることである。子どもは、身近にいる親を真似するので、「交渉が困難な相手とは交渉しない」という親が身近にいれば、子どももそうなる可能性が高い。親が離婚した子どもは、他者と親密な関係を樹立することが困難なことがあり、自分自身も離婚に終わることがある。「交渉する技術を持つこと」は、親としての重要な能力である。
 
(5)交互親権にする
協力して子どもを育てるのが望ましいが、どうしても意見が一致しない場合は、交互親権にする。子どもと一緒にいる親が、その場の問題を決定する。その方式でうまく決まらない件については、1年ごとに交代するような交互親権とする。子どもは、親の教育方針が異なっていても、比較的容易に順応できる。
 
(6)コミュニケーションを充分に行うこと
争いのうち、説明不足が原因であるものが多い。相手の事情を充分に把握し、自分の事情をきちんと伝えておか
なければならない。コミュニケーションにおいては、ビジネスライクに要件を伝えることが勧められる。最も重要視しなければならないのは、子どもの事情であり、子どもの本心である。合意を形成するにあたって子どもの意見を聞くと、子どもの精神的予後が改善される。ただし、最終決定は、親が行う。

参考文献
Shared parenting SBN-13: 978-1587613463
Joint Custody & Shared Parenting ISBN-13: 978-0898624816
Planing for Shared Parenting
The Best Parent Is Both Parents: A Guide to Shared Parenting in the 21st CenturyISBN-13: 978-1878901569
Parenting after Dicorce ISBN-13: 978-1886230842
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2. 弁護士の今後
司法試験合格者が500人から2000人に大増員されて競争が激しくなり、過払い請求の収入も先細りする状況にあるそうです。
ある大きい法律事務所の経営者は、次のように述べています。(ダイヤモンド・オンライン
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(今後は)、交通事故や離婚などの分野を扱っていくということだ。(中略)。一部の医療過誤や知的財産など特殊なものを除けば、司法試験に合格した者であれば、それほど高い専門性がなくても十分扱える。他の弁護士はこんなこと言わないだろうが、交通事故や離婚の訴訟に、高い法律の専門性や豊富な経験がなければできないということはない。
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弁護士や裁判官は、子どもの心理や家族の心理について、トレーニングを受けていません。子どもの精神的な予後を改善するにはどうすればよいかを知りません。
法廷ではなく、当事者の話し合い、親へ情報提供が勧められます。 
 
3. 被虐児に虐待を加えた者
前に述べた神奈川県立子ども医療センターによる報告です。(「被虐児117例の検討」、日本小児科学雑誌、99巻12号、2069~2077、1995年)。117人の被虐児に対して臨床的検討を行ったところ、虐待者のうち、実母は計80人、実父は計19人であったとのことです。義父・養父は、わずかに計3人です。

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4. 米国の小委員会の採決
産経新聞は、次のように伝えています。
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「米下院外交委人権問題小委員会は27日、国際結婚の破綻に伴う「子の連れ去り」問題の解決に取り組まない国に対し、制裁を求める法案を可決した」。「法案は、夫婦の一方が米国籍を持つ子供を連れ去るケースが未解決のまま10件以上ある国に、文化交流の停止や貿易制限などを検討するよう大統領に求める内容。法案成立には、上下両院の可決と大統領の署名が必要だ」。
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かつて、日本の領海を侵犯した中国人船長に対して、中国から「釈放しないのなら、レアアースを日本には輸出しないぞ」と言われて、日本政府が直ちに釈放したことがあります。

今は、外圧によってしか変わらないのかもしれません。遡及しないなど、ハーグ条約だけでは、あまり有効ではないので、米国としては、当然の対応かもしれません。