EU におけるロビー活動」、ヨースら著、平島監訳、2005年という本を読みました。
 
この本も、Wikipedia「ロビー活動」に参考文献として挙げられています。この本は、日本企業がヨーロッパにおいてロビー活動をするための手引書です。監訳者の平島氏は、東大教授です。

「ロビー活動とは、贈賄のことだと考えている人もいる(p4)」と著者は述べています。しかし著者によればロビー活動とは、「正確な情報により、意思決定権者および意思決定プロセスに影響を与えること(p6)」であるとのことです。「政治家や官僚は、必ずしも充分な情報を持っていないため、業界が必要な情報を提供して、意思決定に協力する(p7)」ということです。

従って著者によれば、「ロビーストに重要なのは、誠実さと公明正大さ(p141)」です。自分に有利なことだけを伝えるのではありません。

著者は、ロビーストには、次のようなことが必要であると述べています(p141-p144)。
・自分の立場を明らかにすること
・当該案件に関する充分な知識を持っていること
・自分の要求をいつでも簡潔に精緻に表現できること
・議員や官僚に金品を渡さないこと
・世論を納得させること
・信頼を得ること

信頼を基盤にして、人間関係を築いて行くということです。

共同親権の父と呼ばれたジェームズ・クックは、カリフォルニア州において、共同親権法の成立に貢献しました。ジェームズ・クックは、ロビーストでした。ジェームス・クックは、議会を騙したのではなく、議会を買収したのでもなく、議会に正確な情報を提供したのです。公明正大で、誠実だったのです。それで議会から信頼を勝ち得たのです。そうして子どもたちに福音をもたらしたのです。ありのままの「真実」が一番人を動かします。