フード・ポリティクス(肥満社会と食品産業)、マリオン・スネル著、を読みました。

この本は、Wikipedia「ロビー活動」に参考文献として挙げられています。著者は、ニューヨーク大学の教授で、専門は公衆栄養学です。終身在職権を持っておられます。
 
この本のはしがきには次のように書いてあります。「食品会社は、―タバコ会社や製薬会社やその他すべての商品を扱う会社と同じく―いつでも、国民の健康より株主のニーズを優先する」。
 
私は、若いころに「なぜ健康のために最善の手が打てないのか」について勉強しようと思いました。そうして今日まで勉強してきました。その結論は、この本の著者と同じです。人々が不健康な状態にあることで利益を得る人々がいるということです。
 
また、この本には次のように書いてあります。「業界の視点に立てば、一人前の分量を多くするのは、マーケッティングの点で有効なのである。食品の原価は、人件費や、価値を加えるその他の要因の費用に比べて低い(P30)」。これが、肥満の人が増加する理由の一つです。
 
栄養ピラミッドに対する各食品業界の圧力について書いてあります(p63)。
 
栄養の専門家に対するスポンサーシップについて書いてあります(p144)。そうして「科学というより広告のように見えてしまう」と述べています。
 
母乳か粉ミルクかについて業界のセールス活動について書いてあります(p177)。
 
その他、批判者を告訴することや、子どもをターゲットにして宣伝することなどが書かれています。

ロビー活動とは、狭義には国会議員に対して働きかけを行うことです。食品産業は、当然国会議員に対して強力に働きかけを行っています。しかし、その他にも、食品会社は、一般国民に対して、自分たちに有利になるような情報提供をしています。その情報提供活動を重視しています。
 
食品会社は、マーケッティングを行っています。個々の施策が、どの程度利益を増大させるかをその都度評価して、最大限に有効な手を打っています。
 
そうした食品会社に対抗できるような手段は何であるかを、慎重に考える必要があります。

肥満している人の割合が非常に大きいのはアメリカ合衆国であり、小さいのは韓国と日本です。それは、寿命とも密接に関係しています。日本人の寿命は、世界の中でも非常に長いほうです。日本においては、肥満に関しては、食品会社が好き勝手にしているわけではなく、健康を守る側の適切な対策が功を奏しています。業界の要望をコントロールして国民の利益を守るための、有効な仕組みが働いています。
 
私は「英語が答えである」と常々考えています。それを詳しく言えば「科学的な研究により、最善の答えを得ることができる」ということです。科学的な研究成果は英語で発表されるので、「英語を使って調べると、最善の答えが得られる」ということです。米国の政治体制が常に正しい思っているわけではありません。