親の離婚が子どもに及ぼす影響とその対策について、小児科の英語の教科書でどのような記載が行われているかを調べてみました。一口で言えば、当然ながら、必要な記載が行われているということです。
(1)Nelson Textbook of Pediatrics 、18th edition 2007年
これは、世界で最も権威ある小児科の教科書です。
17章、別居、喪失、死別という章があります(p86-p91)。そのうち、別居と離婚の記載は、計1ページほどです。
離婚が子どもに与える影響について、次のように述べています。
・影響は、親の離婚後2年以内に認められることが多い
・抑うつ症状が、離婚後5年以上も続く子どもがいる
・学習障害や職業上の困難が離婚後10年以上後に起きることがある
離婚後5年の時点では、子どもは次のようであると述べています。
・3分の1の子どもは、非常に不幸で、今の生活に不満足
・3分の1の子どもは、満足な順応を示す
・3分の1の子どもは、上記の混合状態
離婚後10年の時点では、子どもは次のようであると述べています。
・45%の子どもは、良好な状態にある
・41%の子どもは、学業成績低下、社会的適応の低下、情緒障害などがある
また、成人後について次のように述べています。「成人後も、親が経験したことを繰り返すことを恐れて、密接な人間関係を樹立することが困難な人もいる」。
そして、「医療従事者は、重要な役割を果たすことができる」と述べています。それには「離婚後の両親のあり方が、子どもに大きな影響を与えることを、両親に伝えること」が重要であると述べています。そして「離婚後も両親が子どもの生活に継続的にかかわることが、子どもにとって最も有益なことである」と述べています。
(2)Rudolph's Pediatrics (21th edition)2003年
この小児科学の教科書には、Family discord, Divorce, and Remarriage (家庭不和、離婚、再婚)という項目があります(p523-p526)。
離婚が多いことについて、「小児科医は、不和のプロセスが決定的に進行してしまう間に、適切にガイダンスを与える機会を失っているのである」と述べています。
また次のように述べています。「年に1回の健診のときに次の3つの質問をすれば事態を把握できるであろう。①家庭内の不和は次第に悪化しているか。②子どもは、精神面の診療を必要としているか。③両親のいずれか(特に母親)は、落ち込んでいるか」。
この教科書は共同親権(身体的、法的)を勧めていますが、夫婦間の争いが激しい場合には勧めていません。
参考文献には、Wallerstein ワーラーステインの文章も挙げられています。
(3)Nelson Essentials of Pediatrics 、6th edition 2011年
この教科書は、学生向けのコンパクトな教科書です。(1)と同じ会社が発行しています。
26章 Divorce, Separation, Bereavement (離婚、別居、死別)という章があります(p98-p100)
次のような項目に分かれています。
・概説
・離婚が子どもに及ぼす影響(年齢別)
・親が離婚すると子どもはどうなるか
・小児科医の役割
「たいていの州は、身体的共同親権と法的共同親権のいずれかを認めている」と述べています。また「両親間の争いが非常に激しいと、共同親権は困難である」と述べています。
「小児科医は、子どもが必要とすることを、子どもに代わって、両親に伝えることができる」と述べています。
子どもが必要とすることの例として、次のことが挙げられています。
・子どもが離婚の原因でないことを、子どもに保障すること
・変わらずに子どもを世話し続けることを、子どもに保障すること
・子どもが離婚の原因でないことを、子どもに保障すること
・変わらずに子どもを世話し続けることを、子どもに保障すること
(4)Handbook of Child and Adolescent Pshchiatry 1997年
Volume 4 Varieties of Development
Volume 4 Varieties of Development
10章 Children in Divorce Litigation 「離婚の法的手続きと子ども」(p88-p99)
11章 Alterations in Family Life Following Divorce: Effects on Children and Adolescent 「離婚後の家族生活の変化:子どもや青年に及ぼす影響」(p99-p111)
離婚が子どもに及ぼす影響とその対策について、23ページにわたって、詳しく述べられています。