(1)「アメリカ合衆国における子どもの養育の決定」 The Determination of Child Custody in the USA という文章を読みました。以下のような文がありました。
「法的共同親権を可能にする法律が制定されれば、裁判所による法的共同親権の採用が劇的に増加するという実例がある。1980年代の終わりごろまでには、カリフォルニア州において、法的共同親権の採用が可能になったが、その後、判決の75%から90%は、法的共同親権を採用した。身体的共同親権を可能にする法案が施行された後に、身体的共同親権も採用されるようになったが、より遅いスピードであった。」
「法的共同親権を可能にする法律が制定されれば、裁判所による法的共同親権の採用が劇的に増加するという実例がある。1980年代の終わりごろまでには、カリフォルニア州において、法的共同親権の採用が可能になったが、その後、判決の75%から90%は、法的共同親権を採用した。身体的共同親権を可能にする法案が施行された後に、身体的共同親権も採用されるようになったが、より遅いスピードであった。」
法的共同親権を採用しても、養育費は変動しないので、裁判所は容易に法的共同親権を採用するだろうと思います。法律家にとって、本音では、権利関係は実はどうでも良くて、金の流れだけが問題であるという可能性があります(例えば日本の法律家にとって、子どもの権利は、実はどうでも良くて、金が増えるか減るかだけの問題である可能性があります)。
法的共同親権においても、子どもの予後が改善するという研究があります。例えば次のような研究です。「法的共同親権の実施が、非同居親による子どもへの関わり方に及ぼす影響」 Effects of Joint Legal Custody on Nonresident Fathers' Involvement with Children。
そうなる理由は、「法的共同親権が実施されれば、非同居親が子どもと過ごす時間が増えて、子どもの予後が改善される」ということであるそうです。
(2)共同親権情報提供グループ(イギリス) Shared Parenting Information Group (SPIG) UK のホームページを見ました。このホームページでは、基本的な概念についても分かりやすく説明してくれています。他の多くの研究を踏まえています。
例えば、共同親権が父親と母親の争いを激化させるかどうかについて、12の実証的論文を参照して、簡単な説明を行っています。
「共同親権では、両親の間の争いは、減るか変わらないかのいずれかである。共同親権は、両親の間での裁判を減らす効果がある。」
(3)「共同親権と単独親権における子どもの適応の差。メタ・アナリシスによる研究(2002年)」 Child Adjustment in Joint Custody Versus Sole Custody Arrangements: A Meta Analytic Review という文書を読みました。共同親権と単独親権で、子どもの予後を比較する研究は、多くあります。そうした33の研究に対して、メタ・アナリシスを行っています。
「法的共同親権で育てられた子どもと、身体的共同親権で育てられた子どもは、単独親権で育てられた子どもよりも、良く順応している。両親のそろった家庭で育てられた子どもと変わらないほどである。」
「法的共同親権で育てられた子どもは、父親と多くの時間を共に過ごす。」
「共同親権を行っている親は、単独親権を行っている親と比較して、現在も過去も争いが少ない。」
「過去の争いのレベルを同じにして比較しても、共同親権の方が、子どもにプラスが多い。」
「共同親権が子どもの発達にプラスになるのは、共同親権が、子どもと両方の親との良好な関係の維持を、容易にするからであろう。」