以下のように、「共同親権 Q and A」を作りました。近日中に Wikipedia 「共同親権」に投稿予定です。Wikipedia
は、誰が書いても良い百科事典です。また誰が修正しても良い百科事典です。私が書いた文が良いとも限りませんので、どうぞどんどん書き直して下さい。


(1)共同親権で、親の意見が一致しない場合は、どうなるのか
協力して親権を行うのが望ましいが、それが困難な場合は、交互に親権を行う(文献1)。例えば、父親の家にいる時は父親の意見を優先させ、母親の家にいる時は母親の意見を優先させる。また、意見を優先させる側を、1年ごとに交代する方法も行われる。

意見の不一致が起きやすい状況は同じである(文献2)。例えば、課外活動(塾、スポーツクラブ、稽古事など)にかかるお金を誰が負担するかということで争いが起きやすい。最初に「課外活動にかかる費用は、父親が60%を負担し、母親が40%を負担する」などと決めておくと良い。既成の育児計画(文献1など)を参考にして、最初にしっかりした育児計画(養育プラン)を作成しておくと、後の多くの争いを避けることができる(文献2)。

父親の家と母親の家とで、教育方針が異なっても、子どもはその状態に良く順応する。相手の育児方針を批判せずに、自分の育児方針を良くすることだけを考えて、親としての自分の役割を立派に果たすことだけを考えるのが良い(文献1)。

(2)片親は、まず自分の単独親権を求めて、その実現が困難な場合に共同親権を求めるということか
単独親権と共同親権では、考え方が全く異なる(文献4)。単独親権では、子どもを相手から排除しようとするが、共同親権では、子どもの発育に両方の親を関与させようとする。

単独親権を求める場合には、相手と敵対する。「相手は親として失格であり、自分は親として適任である」などと主張して、子どもを奪い合う。そして、二人の親を持つという子どもの権利を否定する。逆に、共同親権では、協力して子どもを育てようとして相手との信頼関係を築く。また、子どもの大切な権利を守ってあげることにより子どもとの信頼関係を築く。

(3)単独親権と共同親権の違いは絶対的なものか
両者の違いは、相対的なものであり、量的な差に過ぎない。身体的親権(子どもと一緒にいる時間)は、0%から100%まで、連続的に変化する。また法的親権(決定権)も、多くの項目について、分けて担当することが可能である。

実際、米国の多くの州で、共同親権の定義は、子どもと一緒にいる時間が決められた基準以上であることとされている。決められた基準は、20%~40%の値である。逆に単独親権の定義は、子どもと一緒にいる時間が決められた基準以下であることとされている(文献3)。

(4)単独親権から共同親権になると、養育費はどうなるのか
父親と母親の合意があれば、どのような養育費にすることも可能である。裁判所が決める場合には、例えば米国では、次のような方法が用いられる(文献3)(文献5)。
 
(単独親権の場合の養育費は、まず子どもが必要とするお金を計算し、それを父親と母親が収入に応じて負担する。もし母親が100%の時間を子どもと過ごすのであれば、父親が負担する金額は、全額母親に渡される)。

共同親権における養育費の考え方の一つは、共同親権になると子どもに必要な生活費が増えるという考え方である。例えば、ベッド、布団、玩具、衣類、本、ゲームなどは、両方の家に用意する必要がある。単独親権の場合に子どもが必要とする金額に適当な数(通常は1.5)をかけて、共同親権の場合に子どもが必要とする金額とする。これを子どもの総収入とする。これを、父親と母親が、それぞれの収入に応じて負担する。子どもの総収入と総支出は同額である。子どもの総支出のうち、子どもと一緒にいる時間の分だけ各親が支出すると期待される。各親の「負担額」と期待される「支出額」の差額が、父親が母親に渡すお金(養育費)である。

もう一つの考えは、単独親権の時の養育費を、固定的な部分(施設費など)と、変動する部分(食費など)に分ける考え方である。固定的な部分は、父親と同じ生活水準を提供する部分でもある。そうして共同親権になれば、変動する部分だけを、子どもと一緒にいる時間に比例して減らす。これは、国連の子どもの権利委員会が推奨する方法である(文献3)。