Parenting After Divorce という本を読みました。著者は、臨床心理学者です(2007年)。なかなか良い本でした。この本を読んで特に良いと思ったのは、以下のような記述です。


(1)父親と母親の争いが少ないケースや中等度のケースでは、共同親権が可能である。争いが激しいケースは全体の15~20%ほどであるが、そのままでは、共同親権はできない。争いは、双方に原因がある。争いに対処する最も良い方法は、争いに参加しないことである。

(2)争いのレベルを下げるには、以下のようにするのが良い。
①交戦をやめて、戦いから撤退すること。子どもを休戦地帯に置き、相手親とは接触しないこと。相手への緊急でない手紙は、1ヶ月に2回までとすること。

②「協力する育児」が出来ないのなら、「別々の育児」を行って、相手に干渉しないこと。相手の育児の仕方にとやかく言わないこと。逆に相手から何か言われたら、無視すること。多くの子どもは、「二つの家」という状態に、うまく順応する。

あなたがすべきことは、相手を批判することではない。子どもがあなたのところにいる時間に、あなたが親としてできる最も良いことを、子どもにしてあげることである。相手の子育てでなく、自分の子育てに注意を集中させよ。

(3)時間とエネルギーを費やして、注意深い育児プランを子どものために作ることは、子どもに問題解決と争いの解消の仕方について教えることである。(巻末に、詳しい育児プランの例が載っている)。

臨時の出費については、次のような取り決めを予め作っておく。
「両方の親は、子どもの課外活動、子どもの医療費、子どもの健康保険料については、共同で支払う。それについては、父親が55%を支払い、母親が45%を支払う。子どもが日々生活するうえで必要な出費は、そのときに子どもと一緒にいる親が支払うものとする」

父と母の権限が、完全に同等であれば、意見が異なる時に困る。「偶数の年は母親の考えが優先する。奇数の年には父親の考えが優先する。」のように決めておく。
 
(4)子どもが青年期(13歳~17歳)であれば、親としての役割を果たすとは、親が良いメンターになることだ。

(5)ある10歳の子どもは次のように言った。「子どもが選ぶことができるのなら、私は共同親権を選びたい。そうすれば両親に同じ時間だけ会うことが出来る。また私は、両親に、争うのは止めてと言いたい。」

また、ある19歳の子どもは次のように言った。「私が言えるのは、離婚は、両親が考えているよりも、ずっとひどく子どもを傷つけるということです。」