(1) 「父親から子どもへの関与を増やすために 3 」 Building Blocks for Father Involvement 3
これは米国厚生省による文書です。
これは米国厚生省による文書です。
「ヘッド・スタート」(さい先の良いスタート)という米国の幼児向け教育プログラムの内容の一つは、父親から子どもへの関与を増やすということです。
この教育プログラムをある地域で実行して成功して父親の関与が増加した場合に、成功した要因は次のようなことが多かったと報告されています(p8)。
1. 父親のニーズが何であるかを把握した
2. このプログラムで働くスタッフや、父親が関与するようにコーディネートする人達へ、教育や訓練を提供した
3. このプログラムを終了した父親に依頼して、メンターや人集めをする人やグループ作りをする人として活動してもらった
4. 「ヘッド・スタート」プログラムは、母親や子どものためばかりではなく、父親のためのものであることを明確にするようなイメージ作りをした
逆に、成功しなかった場合に、その要因は以下のようなことが多かったと報告されています(p8)。
1. 父親と意思の疎通を行わず、父親を信用しなかった
2. この教育プログラムは父親のために作用して本当に効果があることを父親に確信させなかった
3. 父親のいない家庭で育った若い父親が悪循環に陥ることに対処せず、悪循環からの脱却を手伝わなかった
4. 若い男性に「責任」について教えなかった
5. 子育てがうまく行くためには一貫性と時間が重要な鍵になることを父親に教えなかった
6. 新しい対象者の募集をおろそかにした
7. プログラムを受けている父親と、プログラムの内外にいる人との間の好ましい体験に注目せず、その体験を共有しなかった
8. 完璧無欠の家庭など存在しないことを父親や母親に教えなかった。それゆえ、失敗したとしても何度もやり直す許可を、父親や母親に与えなかった
(2)「子どもの教育に、子どもの家族が関与すること」 Family Involvement in Children's Education
この文章は、米国教育省が作成した文書です。その要旨の部分を訳しました。本もあります。
この文章は、米国教育省が作成した文書です。その要旨の部分を訳しました。本もあります。
30年に及ぶ研究により明らかにされたのは、家族が子どもの教育に関与すると、学校における子どもの発達に非常に良い影響を与えるという事実である(Eagle,1989; Henderson & Berla, 1994; U.S.Department of Education, 1994; Zingler, 1987)。
子どもの教育に家族が関与すると、子どもは、そうでない場合と比較して、テストでより高い点を取り、より良い成績を取り、より休まずに通学し、宿題をよりしっかり行い、より積極的な姿勢や態度を示し、高等学校を卒業する可能性がより高く、より高い教育を受ける。こうした理由で、子どもの教育において、家族の関与を高めることは、学校にとって重要な目標であり、特に親の収入の少ない家庭の子どもや、その他のうまく行かない危険性のある子どもにおいて重要である。初等・中等教育法は、収入の少ない家庭の子どもや、学業到達度の低い子どもが、知識や技術を学ぶことによって、全ての子どもに標準的な到達度に到達することを可能にするようにデザインされたものである。タイトル1は、連邦政府の最も大がかりな、初等・中等教育を支援するプログラムである。子どもの教育において、家族の関与を増やすことは、その初等・中等教育法のタイトル1の最も重要な目標となっている。
(3)「父親は重要である。子どもの勉強に父親が関与すること」 Fathers matter! Involving Fathers in Children's Learning
これも米国教育省が作成した文章です。始めのところに、3つの問いがあり、その答えについて解説しています。
その部分を抄訳しました。
これも米国教育省が作成した文章です。始めのところに、3つの問いがあり、その答えについて解説しています。
その部分を抄訳しました。
問① 「両親がそろっている家庭で、母親が子どもの教育に関与しなければ、子どもの成績は良くない。」という文は正しいか。
答① 正しくない。研究によれば、父親の関与は子どもの成績に大きく関係するが、母親の関与はあまり関係しない。
問② 「非同居の父親が子どもの学校に関与しても、子どもの学業成績にあまり影響を及ぼさない。」という文は正しいか。
答② 正しくない。就学後6年から12年の子どもにおいて、非同居の父親が学校に関与することは、子どもにとって非常に重要である。
問③ 「父親による関与は、年長児にとっても、年少児と同じくらいに重要である。」という文は正しいか。
答③ 正しい。年長児になると父親と共にいる時間は少なくなるが、特に男の子においては、子どもの発育のために父親は重要である。