(1)鳥飼教授が言われる「ノーベル賞受賞者なのに英語が話せない人」とは、益川教授のことでしょう。それにしても、英語ができないのに仕事ができるなどということがあり得るのでしょうか。益川教授の自伝を読んでみました。(「私の履歴書」、日経新聞、2009.11.1~2009.11.30)。
大学入学時の英語の成績は、200点中30数点であったそうです。大学院の入学試験では、ドイツ語はほとんど白紙であったそうです。しかし、大学院入学後の論文紹介で、外国語の論文を3つ皆に紹介したが、1つ目の論文は、ノーベル賞受賞の研究と密接に関連する論文であったそうです。また大学院では、重要な論文を原典で徹底的に読まされたそうです。原典というのは英語であろうと思います。また南部教授の論文をむさぼり読んで身に付けたと書かれています。それも、英語の論文であったはずです。
つまり、益川教授の英語は、「専門の読み」に徹した英語であるわけです。野口教授の本にあった図に書き込むと下図のようになります。この部分ができるわけです。

益川教授の戦略は、語学学習に関する一つの見識です。我々に指針を示す、語学学習の偉大な成功例です。
「外国語上達法」(千野栄一先生)には、外国語を習得するには、「学ぶ目的を明確にせよ」と書いてあります。その目的に必要な分だけを学ぶということです。
千野先生は、ある技術者の例を挙げておられます。ある外国人の技術者は、日本語の論文だけを読めるようになりたいとして、千野先生に教え教えを請いました。その人は、週1回、1年3ヶ月で読めるようになったそうです。非常に効率の良い外国語学習であったそうです。
外国語の学習には、非常に多くの時間とエネルギーが必要になり、そのコストも馬鹿になりません。鳥飼教授は、そのことを言いたいのだろうと思います。「自分は非常な努力をしてここまでの英語力を身に付けた。それだけの努力を全ての人が行なうことは意味があるのだろうか」ということだろうと思います。不必要な事を勉強しても身につかないし、時間が無駄であるということでしょう。
私も、本が読めれば良いので、方針をやや変更して、ヒアリングをしばらく捨てようと思います。
「外国語上達法」(千野栄一先生)には、外国語を習得するには、「学ぶ目的を明確にせよ」と書いてあります。その目的に必要な分だけを学ぶということです。
千野先生は、ある技術者の例を挙げておられます。ある外国人の技術者は、日本語の論文だけを読めるようになりたいとして、千野先生に教え教えを請いました。その人は、週1回、1年3ヶ月で読めるようになったそうです。非常に効率の良い外国語学習であったそうです。
外国語の学習には、非常に多くの時間とエネルギーが必要になり、そのコストも馬鹿になりません。鳥飼教授は、そのことを言いたいのだろうと思います。「自分は非常な努力をしてここまでの英語力を身に付けた。それだけの努力を全ての人が行なうことは意味があるのだろうか」ということだろうと思います。不必要な事を勉強しても身につかないし、時間が無駄であるということでしょう。
私も、本が読めれば良いので、方針をやや変更して、ヒアリングをしばらく捨てようと思います。
それにしても中学高校で、主に英会話をやっていて良いのでしょうか。外国旅行をしたときに買い物はできるようになったでしょうか。世界の知恵と知識を学ぶための、英語学習の効果はあがっているのでしょうか。
(2)公衆衛生において、木村盛世氏、坪野吉孝氏、村重直子氏に共通するのは、英語がよくできるということです。英語ができれば、英語圏で行われている研究・実践レベルに到達し、CDCやWHO等の優れた仕事を理解し、実践することが可能になります。
(3)高校の英文法の教科書が無くなっていることについて、少し心配になりました。無くても大丈夫なのでしょうか。文法が分からないと、非常な遠回りになります。
一つの文法が分からなかったために非常に苦労した話を金田一京助先生がどこかに書いておられたように記憶しています。最近、金田一先生の随筆を4冊読みましたが、それが書いてあるところには行き当たりませんせした。
国語の教科書にも載っていた「心の小径」を読みました。金田一先生はこの時に、樺太アイヌの人の所に40日間滞在して、4000語の樺太アイヌ語を採集し、3000行のユーカラを記録し、主要な文法を記録したそうです。40日後にはかなり話せるようになっていることが本から読み取れます。
なお、当時の北海道アイヌ語の辞書は、外人宣教師が作った「北海道アイヌ語を英語に訳す辞書」が一つあっただけであるそうです。英語ができないと、アイヌ語の研究もできないわけです。また、ユーカラをアルファベットで書き取っておられます。
(4)日本からアメリカ合衆国へ行っている留学生の数が、また減ったそうです(11月15日、VOA、IISによる)。日本は、韓国や台湾よりも少ない留学生の数です。先が暗い末期的な状況です。
