神戸市立中央図書館には、郷土図書の部屋があり、神戸ゆかりの作家の本が置いてあります。水木氏の本も5冊ほどあります。
 
私は約20年前、毎日、水木通りを通って大学の図書館に行っていました。水木しげる氏のペンネームがこの水木通りから付けられたことを、当時の私は知っていました。先日、水木通りの写真を撮ってきました。
 
 
水木氏には以下のような特徴があり、私には学ぶべき点が多くあります。
(1)多産であること
    ・多数のマンガや本を書いておられます。インタビューやテレビ出演も多くあります。
(2)関係する人に深い愛情を注いでおられること
    ・幽霊や妖怪を考案するのも、死んだ人に対する愛情表現の一つです。
     「死んだ人は、死後も生きている」ということです。
    ・フロイトは、精神的な健康を保つための方法を聞かれて「働くことと愛すること」と答えたそうです。
(3)勉強家であること
    ・非常な勉強家であることが、分ります。
    ・多く収集した情報を適切に管理しておられます。
    ・同氏が行った仕事は、「幸福とは何か、どうすればそれが得られるか」という問いに対する回答で
     あって、その実践です。
    ・著者が非常な勉強家であるので、読む価値があるのです。世界の重要な原則を踏まえているのです。
    ・単なる娯楽作品ではありません。
(4)早くから経営者の視点があること
    ・「会社に8時間いれば良い」というような雇われ人の体質ではありません。
(5)自分の一生を生きていること
    ・お金のために「宇宙もの」を書いてもうまくいかないと考えておられます。自分の道を歩くしかないと
     考えておられるようです。

障害があっても、それでつぶれていません。手が不自由であれば、他の人々を恨んで、自分の周りにいる人にあたるだけで人生が終わっても不思議ではありません。水木氏は、片腕が無いことをあまり意識しておられないようです。
 
「ゲゲゲの女房」は夫人の布枝氏が書いた本です。私はTVを見ていません。NHKのホームページに、毎回の放送のあらすじがあります。ネットのニュースの批評によれば「これまでのヒロインのように冒険に出かけない点が良い」のだそうです。家庭を守って夫を支えることは、女性の重要な仕事であり、布枝氏はこの仕事をしっかり行っておられます。この点でも大きな価値があります。

マンガや本の執筆は、「もの作り」ではありません。読者の精神に語りかけ、より良い生き方を示す情報提供産業であり、未来産業です。先進国における産業の、今後の方向性を指し示すものです。あるべき未来産業とはどのようなものであるかが分かります。水木氏の仕事は、この点でも価値があります。水木氏の生き方の一部分を自分にコピーすることができるということです。
 
ところで、水木氏によれば、テレビには「テレビ君」という名前の妖怪が住んでいるそうです。やはりそうだったのです。テレビには妖怪が住んでいて、テレビを見ている人の魂を奪ってしまい、テレビに釘づけにするのです。水木氏自身は、「忙しくてテレビを10年間見ていない」とアサヒグラフのインタビューで述べておられました。
 
おそらく、ネットにも「ネット君」という妖怪が住んでいて、インターネットをする人の魂を奪って、いくらでも時間を無駄にさせるのでしょう。恐ろしいことです。