共同監護ハンドブック 「 The Joint Custody Handbook 」(を読みました。
 
著者の Miriam Galper Cohen 氏は、女性であり、離婚後、子どもの単独親権を得たものの、元夫と協力して、共同親権と同じように、子どもを両方の家で育てています。この著者も元夫も、再婚して別々の家庭で、それぞれの配偶者と暮らしています。
 
著者は、臨床心理士ですが、その仕事を通じて、離婚した人々にインタビューを行っています。この本は、著者の体験と、著者の調査研究と、離婚した人々に対するインタビューを元に書かれています。
 
この本には、半分ずつの共同監護を実際に行うための具体的な方法が簡潔に書かれています。この本を読んで分かるのは、共同監護は「理想郷」ではないということです。
 
例えば、子どもの夏休みを2週間ずつに分けたとすると、2週間が過ぎるとつらい別れが来るのです。子どもも自分も、悲しみでしばらく仕事が手に付かなくなることがあるそうです。
 
面倒な問題はいくらでもあります。子どもが嫌がった時にはどうするのでしょう。子どもが学校にいるときに熱を出したら、誰が迎えに行くのでしょう。教科書や参考書は、双方の家を移動するたびに全部を運ぶのでしょうか。学校の教師は、協力してくれるのでしょうか。
 
共同監護は、理想郷のようなものではなく、離婚した以上、子どもが受ける損失を最少にするには、こうするしかないということです。
 
それでも、双方の親が、子どもを二人で育てる重要性を理解していて、協力できる場合は良いのですが、片親が共同監護に反対している場合は、トラブルは拡大されうまく行きません。裁判所が無理に強制したような共同監護は、うまくいかないそうです。
 
裁判所による強制は、相手の心からの協力を引き出すことはできません。命令すれば逆効果のこともあるでしょう。
 
ある人は、カナダ議会の委員会で「罰で脅すサービスは、決して子どもへの援助にはなりません。」と述べています。(ジョイス・プレストン
 
そうなら、日本の現状と大して変わらないということになります。日本でも、双方の親が合意すれば、裁判官がそれを否定することは、ほとんど無いでしょう。
 
共同監護は、子どもの利益にかなうものであっても、個々の裁判官の利益にかなうものではありません。だからこそ、日本の裁判官は認めていないのです。今後も、得にならない面倒なことを、心から喜んでやってくれるわけはありません。家族法を改正して、裁判官に判断を強制するだけです。
 
結局、相手への説明は、自分でするしかないということです。
 
幸いにして、科学的真実の観点から言えば、親が離婚しても両方の親が子どもに関与した方が、子どもの将来が改善されることは真実です。子どもの親は、二人です。父親と母親では、親としての役割が異なります。
子どもの本音は、非同居親ともっと多くの時間を過ごしたいということです。自分が健全に成長する過程を通じて、それぞれの親に援助して欲しいということです。
 
子どもはいつまでも幼いままではなく、いずれ成長して大人になります。その時には、諸外国のように家族法が改正されており、共同監護が常識になっているでしょう。そしてその時代から今の時代を振り返ることになります。全ての事情が子どもに明らかになる日が来るのです。
 
こうしたことが、力になるでしょう。